安全衛生情報センター
平成22年の林業における労働災害による死亡者数は、別紙のとおり、8月7日現在の速報値で34人と前年 同期より8人増加(約31%)しているところであり、災害発生時の作業の状況について見ると、間伐作業中 の災害が約4割を占めているほか、不適切な「かかり木」処理及び複数の労働者が比較的接近して作業を 行っていたことが原因による災害が認められるところである。 また、被災者の経験年数等についてみると、経験年数が少ない高年齢者による災害が発生するなど、他 業種からの参入により、林業作業の経験が浅い者が被災している状況が窺えるところである。 上記のような災害発生の背景には、近年、雇用の受け皿としての期待が大きく、地球温暖化防止対策の 推進等もあいまって、間伐作業をはじめとする作業が増加傾向にあることのほか、建設業等他業種に属す る事業者が間伐作業を請け負う事案も散見されることなどが窺えるところであり、特に、今後、間伐作業 が本格化することに伴い、死亡災害の更なる増加も懸念されるところである。 このような状況を踏まえ、林業・木材製造業労働災害防止協会においては、別添1のとおり、関係事業 者への自主点検の実施も含む緊急対策を実施するとともに、別添2のとおり、地方駐在安全管理士を活用 したパトロール等の実施により、林業における死亡災害をはじめとした労働災害の増加に歯止めをかける ための取組みを推進しているところである。 ついては、林業・木材製造業労働災害防止協会各支部、林野行政機関等と連携のもと、貴局管内におけ る間伐作業の発注状況を把握するとともに、下記の事項に特に留意の上、事業者等に対して労働安全衛生 関係法令の遵守を徹底する等により、林業における死亡災害をはじめとする労働災害の防止の徹底を図ら れたい。 また、指導等の実施状況については、本省において今後の林業における労働災害防止対策の推進に資す るため、引き続き、当課建設安全対策室あて情報提供されたい。 なお、別添3のとおり、林野庁林業労働対策室長より、各都道府県林業労働担当課長あて、林業におけ る労働災害防止について要請がなされていることにも留意されたい。
1 事業場に対する個別指導、集団指導等の実施に当たっては、本年度に林業・木材製造業労働災害防止 協会が作成したリーフレット「リスクアセスメントを始めましょう(間伐作業編)」(別添4)等を活用し 間伐作業における危険性又は有害性等の調査等(リスクアセスメント)の普及・促進、新規就業者等によ る労働災害の防止に努めること。 2 「かかり木の処理の作業における労働災害防止のためのガイドライン」(以下「ガイドライン」とい う。)に基づく措置の徹底を図ること。特に、経験年数の少ない者ほど伐木作業等に伴い、かかり木を 生じさせやすいため、上記1及び下記4の実施に当たってはガイドラインに基づく措置の適切な実施に留 意すること。 3 現場において複数の労働者が作業を行う場合には、事業者に対し、法令に定める合図や退避確認等を 徹底させることはもとより、別の作業者による作業による危険も考慮した作業計画を策定し、これに基 づく作業を行わせるよう指導すること。 4 林業・木材製造業労働災害防止協会や林野行政機関等から労働安全衛生関係のパトロール等の要請が あった場合には、積極的にこれを活用し、管内事業場に対する効率的・効果的な指導に努めること。別添2(PDF:122KB)