平成21年度リスク評価対象物質に係る労働者の健康障害防止対策の徹底について

基安発1013第1号
平成22年10月13日
都道府県労働局長 殿
厚生労働省労働基準局安全衛生部長

平成21年度リスク評価対象物質に係る労働者の健康障害防止対策の徹底について

 平成21年度「化学物質のリスク評価検討会」において、酸化プロピレン等14物質についてリスク評価を
行い、先般その報告書が取りまとめられたところである。
 本報告書を踏まえ、物質のリスクレベルごとに下記1〜3のとおり労働者の健康障害防止対策について取
りまとめたので、関係事業者等に対し、周知徹底を図られたい。
 今後、本報告書を踏まえた法令の整備等を行うこととしているが、下記1の物質については、法令の整
備を待たず、速やかに下記の措置をとるよう関係事業者等に対し周知、徹底を図られたい。
 併せて、別添1により関係事業者団体等の長に対して傘下会員事業者への周知等を要請したので了知さ
れたい。
 なお、検討会報告書の概要及び本文を別添2として添付するとともに、報告書全文(本文及び別冊)を厚
生労働省のホームページ(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000e8q1.html)に掲載してい
るので了知されたい。
1  高いリスクが認められたため特定化学物質障害予防規則による規制を行う等の対策が必要とされた物
 質について
  次の4物質については、リスク評価の結果、当該物質を製造し又は取り扱う事業場の作業工程に共通
 して労働者に健康障害を発生させるリスク(以下単に「リスク」という。)が高いことが認められたため、
 当該作業に係るリスク低減のための健康障害防止措置等の検討を行い、その結果に応じて特定化学物質
 障害予防規則による規制を行う等の対策が必要とされているが、その施行を待たず、速やかに労働安全
 衛生法(昭和47年法律第57号。以下「法」という。)第28条の2第1項の規定に基づき、当該物質に関し有
 害性等の調査を行い、その結果に基づいて労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号。以下「安衛則」
 という。)第576条第577条第593条第594条等の規定に基づく措置を講ずることにより、リスクの
 低減がなされるよう、都道府県労働局及び各労働基準監督署(以下「労働局等」という。)は関係事業者
 等に対し周知徹底を図ること。その際、平成20年1〜3月に報告された有害物ばく露作業報告のデータを
 適宜活用すること。
  特に、下記(4)の1,3-プロパンスルトンについては当該物質のガスを吸入することによるリスクより
 も、当該物質の皮膚への付着によるリスクが著しく高いとされていることから、安衛則第594条の措置
 を確実に講ずることが重要であること。
 (1) 酸化プロピレン
 (2) 1,4-ジクロロ-2-ブテン
 (3) ジメチルヒドラジン
 (4) 1,3-プロパンスルトン

2  高いリスクが認められたためさらに詳細なリスク評価が必要な物質について
  次の5物質については、リスク評価の結果、一部の事業場においてリスクが高いことが確認されたた
 め、平成22年度において、引き続き詳細なリスク評価を行い、その結果によりリスクの高い作業を明ら
 かにするとともに、当該作業に係るリスク低減措置について検討することとしているが、これらの物質
 は、有害性の高い物質であり、かつ、事業場において適切な管理がなされていない可能性があることか
 ら、平成22年度における詳細なリスク評価の結果を待たず、速やかに法第28条の2第1項の規定に基づき、
 当該物質に関し有害性等の調査を行い、その結果に基づいて安衛則第576条第577条第593条第59
 4条等の規定に基づく措置を講ずることにより、リスクの低減を図るよう、労働局等は関係事業者等に
 対し周知徹底を図ること。
  なお、下記(1)のインジウム及びその化合物については、当面のリスク低減措置について別途指導通
 知を発出する予定であるので申し添える。
 (1) インジウム及びその化合物
 (2) エチルベンゼン
 (3) コバルト及びその化合物
 (4) 酢酸ビニル
 (5) 1,2-ジブロモエタン
  (注)「コバルト化合物(塩化コバルト及び硫酸コバルトに限る。)」については、平成21年度にリスク
評価を行い、作業工程共通の高いリスクが認められたが、「コバルト及びその化合物」と併せ全体として
平成22年度に詳細なリスク評価を行うこととしている。

3  上記に比べてリスクは高くないものの事業場での適切な管理が必要な物質について
  次の(1)及び(2)の物質については、リスク評価の結果、一部の事業場における高いリスクが認められ
 たものの、ばく露要因を解析したところ、当該物質を製造し又は取り扱う事業場の作業工程に共通のリ
 スクとは認められなかったことから、経過をみることとされた。また、(3)及び(4)の物質については、
 リスク評価の結果、リスクが高くないと確認された。
  しかしながら、これらの物質は有害性の高い物質であり、かつ、事業場において適切な管理がなされ
 ていない場合にはリスクが高くなる可能性があることから、法第28条の2第1項の規定に基づき、当該物
 質に関し有害性等の調査を行い、その結果に基づいて安衛則第576条第577条第593条第594条等の
 規定に基づく措置を講ずることにより、自主的なリスクの低減を図るよう、労働局等は関係事業者等に
 対し周知すること。
 (1) 2-クロロ-1,3-ブタジエン
 (2) 2,4-ジニトロトルエン
 (3) アセトアルデヒド
 (4) アクリル酸エチル


別添2pdf(PDF:1,041KB)
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