労働災害防止計画の推進について
基発第0319001号
平成20年3月19日
都道府県労働局長 殿
厚生労働省労働基準局長
労働災害防止計画の推進について
平成20年度を初年度とする新たな労働災害防止計画(以下「災防計画」という。)の策定については、
平成20年3月19日付け厚生労働省発基安第0319001号により、厚生労働事務次官から通達されたところで
ある。
災防計画は、我が国において、今後5年間にわたる労働災害防止を進めるために実施すべき主要な対策
等を示したものであるので、貴職においては、下記の事項に留意の上、その効果的な推進を図られたい。
なお、関係府省、都道府県、労働災害防止団体及び事業者団体等に対し、それぞれ別添1から別添3ま
でのとおり要請を行ったので申し添える。
記
1 災防計画について
災防計画は、労働災害を巡る状況、安全衛生対策に係るこれまでの取組及びその成果等を踏まえ、今
後5年間に、国が自らとるべき施策を明らかにするとともに、労働災害防止の実施主体である事業者等
において取り組むことが求められる事項を具体的に示したものであること。また、災防計画中、「1
計画のねらい」にもあるとおり、対策の効果を得るためには、国の取組に対応して、事業者、労働者
をはじめとする関係者が自ら安全衛生対策を推進することが重要であることから、広く災防計画の周
知を図り、関係者の積極的な取組を促進する必要があること。
(1)災防計画における安全衛生対策に係る基本的な考え方
災防計画における基本的な考え方は、「危険性又は有害性等の調査等」を広く定着させることによ
り、 事業場におけるリスクの低減を図り、労働災害全体を減少させるとともに、死亡災害等の重篤
な労働災害が多く発生している作業、機械設備等について、対策の強化を検討し、必要な対策の充実
を図ることにより、重篤な労働災害を一層減少させることであること。
また、目標を設定し、その目標の達成に向けた取組を計画的に実施し、評価を行うことにより、災
防計画の効率的、効果的な実施を図ることとしたこと。
(2)目標
第10次の労働災害防止計画と同様に死亡者数及び死傷者数の減少について目標を設定したことに加
えて、労働者の健康確保の観点から、定期健康診断における有所見率の増加傾向に歯止めをかけ、減
少に転じさせることを掲げたこと。
これらの目標に向けて、平成24年までの間、逐年での減少等を図ることとしたのは、死亡者数及び
死傷者数については、平成19年と平成24年とを比較して減少させるだけでなく、毎年の減少傾向を維
持するとともに、定期健康診断における有所見率については、増加の度合いを年々減少させ、平成2
4年までに減少に転じさせることを示したものであり、災防計画の最終年における目標達成に向けた
傾向の維持を図る趣旨であること。
(3)重点対策及びその目標
重点対策及びその目標は、災防計画における安全衛生対策に係る基本的な考え方に即した対策のう
ち、目標の達成等に資するために特に重点として取り組むべき対策を設定し、国が取り組む対策、事
業場において進めるべき対策等を行動目標として示すとともに、対策による労働災害発生件数、実施
率の傾向又は水準を示したものであること。なお、評価に当たっては、結果の達成だけでなく、行動
目標に対する取組状況をも重視する必要があること。
2 都道府県労働局における取組について
(1)労働災害防止対策を推進するための計画の策定
各都道府県労働局においては、災防計画及び記の1を踏まえ、管内における産業、経済の状況、労
働災害や労働者の健康を巡る状況等管内の実情に即した労働災害防止対策を推進するための計画(以
下「推進計画」という。)を策定すること。
策定に当たっては、災防計画の5(1)に掲げる「目標」については同じ事項に係る目標を設定し、
また、5(2)に示す「重点対策及びその目標」については可能な限り同じ事項に係る目標を設定する
こと。なお、これらの目標に係る数値、表現等については、各局の実情に応じたものとして差し支え
ないが、原則的には全国の目標と比べて低い目標を設定することは適切でないこと。
例えば、基準とすべき平成19年の数値がそれ以前の数年の数値と比較して極端に乖離している場合
など、平成19年の数値を基準とすることが妥当でない場合には、過去数年における平均値を基準とし
た目標の設定等で差し支えないこと。
また、災防計画に基づく具体的な業種別労働災害防止対策について別紙のとおり示すので、推進計
画の策定に際して参考とすること。
(2)労働災害防止団体等との連携
労働災害防止対策を進める上では、労働災害防止団体、関係事業者団体及び関係行政機関との協力、
連携が不可欠であることから、推進計画への協力を要請するとともに、推進計画の実施に当たっては
これらの関係団体等と十分に連携を図ること。
(3)国民一般における安全衛生意識の高揚
労働災害防止対策を効率的、効果的なものとするためには、事業者、安全衛生担当者、労働者等の
関係者のみならず、労働者の家族、教育関係者等を含む幅広い層に労働災害防止の必要性を認識させ、
社会全体の意識を向上させていく必要があることから、全国安全週間、全国労働衛生週間等のほか、
関係機関の協力も得ながら、様々な機会を捉えて労働災害防止の重要性を広く訴えていくこと。