安全衛生情報センター
労働基準行政においては、従来から自動車運転者の労働条件の改善、長時間労働を背景とした交通労働 災害の防止等に重点的に取り組んでいるところであるが、平成15年6月23日、愛知県新城市の東名高速 道路において発生した15名が死傷する大型トラック等の追突事故を始め、トラックが関係する重大な交 通労働災害が相次いで発生していることは憂慮すべき事態である。これらの災害の原因等については関係 都道府県労働局において鋭意調査中であるが、その背景の一つとして自動車運転者の長時間労働等も指摘 されているところである。 労働基準行政としては、トラックの事故は一度発生すれば労働者以外の者も巻き込む重大な災害につな がることから、こうした事態を重く受け止め、自動車運転者の長時間労働を背景とした交通労働災害防止 に万全を期すこととし、下記のとおり、トラック関係事業者に対し緊急に次の対策を実施することとした ので、適切な対応を期されたい。
1 トラック関係事業者団体に対する緊急要請の実施(7月) 本省において、トラック関係事業者団体(社団法人全日本トラック協会、日本貨物運送協同組合連合 会及び陸上貨物運送事業労働災害防止協会)に対して、労働基準法、「自動車運転者の労働時間等の改 善のための基準」(以下「改善基準」という。)及び「交通労働災害防止のためのガイドライン」の遵 守徹底等を団体傘下の事業者に指導する旨の緊急要請を行う。 2 トラック関係事業者に対する緊急自主点検の実施(7・8月) トラック関係事業者に対し、労働基準法、改善基準等の遵守について緊急に自主点検を実施し、早急 な自主的改善を促す。 3 トラック関係事業者に対する一斉監督の実施(9月) 2の自主点検結果等を踏まえ、長時間労働等が疑われるトラック関係事業者に対し、秋の全国交通安 全運動実施期間の時期を中心に、全国一斉に監督指導を行う。 4 重大な交通労働災害を発生させたトラック関係事業者に対する厳正な対応 重大な交通労働災害を発生させたトラック関係事業者について、労働時間等に重大・悪質な違反が認 められる場合には、司法処分を含め厳正な対処を行う。