労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令の施行について
基発第1030007号
平成15年10月30日
都道府県労働局長 殿
厚生労働省労働基準局長
労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令の施行について
労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令(平成15年政令第457号)が平成15年10月16日に公布され、
平成16年10月1日から施行されることとされたところであるが、その改正の趣旨、内容等については、下
記のとおりであるので、その施行に遺憾なきを期されたい。
記
1 改正の趣旨
石綿のうちアモサイト(茶石綿)及びクロシドライト(青石綿)については、平成7年政令第9号による労
働安全衛生法施行令第16条の改正により、その製造、輸入、譲渡、提供又は使用(以下「製造等」という。)
が禁止されているが、近年、その他の石綿についても代替品の開発が進んできていること等を踏まえ、
国民の安全確保等の観点から石綿の使用が不可欠なものではなく、かつ、技術的に代替化が可能な石綿
含有製品について、その製造等を禁止するものである。
2 改正の要点
(1) 石綿(アモサイト及びクロシドライトを除く。)を含有する石綿セメント円筒、押出成形セメント板、
住宅屋根用化粧スレート、繊維強化セメント板、窯業系サイディング、クラッチフェーシング、クラッ
チライニング、ブレーキパッド、ブレーキライニング及び接着剤(以下「石綿セメント円筒等」とい
う。)の製造等を禁止すること(第16条及び別表第8の2関係)。
(2) この政令は平成16年10月1日から施行すること(附則第1条関係)。
(3) 削除
(4) 平成16年10月1日において現に石綿セメント円筒等を試験研究のために製造し、又は使用している
者については、平成16年12月31日までの間は、改正後の労働安全衛生法施行令第16条第2項の要件に
該当しない場合にも、当該石綿セメント円筒等を製造し、又は使用することができること(附則第2条
第2項関係)。
3 細部事項
(1) 石綿(アモサイト及びクロシドライトを除く。)には、クリソタイル(白石綿)、アンソフィライト、
トレモライト及びアクチノライトが含まれること。
(2) 石綿(アモサイト及びクロシドライトを除く。)をその重量の1%を超えて含有する石綿セメント円筒
等の製造等が禁止されるものであり、すべての石綿セメント円筒等の製造等が禁止されるものではな
いことに留意すること。
なお、石綿セメント円筒等以外の石綿を含有する製品については、従前のとおりとすること。
(3) 石綿セメント円筒は、石綿及びセメントを主原料として製造される円筒で、主に煙突として用いら
れるほか、地下埋設ケーブル保護管、臭気抜き、温泉の送湯管、排水管等にも用いられるものである
こと。
(4) 押出成形セメント板は、セメント、ケイ酸質原料及び繊維質原料を主原料として高温・高圧下で空
洞を持つ板状に押出成形し、硬化させたものであり、主に建築物の非耐力外壁又は間仕切壁等に用い
られるものであること。
(5) 住宅屋根用化粧スレートは、セメント、ケイ酸質原料、混和材料等を主原料とし加圧成形されたも
のであり、主に、住宅屋根に張られた板の上にふく化粧板として用いられるものであること。
(6) 繊維強化セメント板は、セメント、石灰質原料、パーライト、ケイ酸質原料、スラグ及び石膏を主
原料とし、繊維等を加え成形させたものであり、主に、工場等の建築物の屋根や外壁に用いられるも
のであること。
(7) 窯業系サイディングは、セメント質原料及び繊維質原料を主原料とし、板状に成形し、硬化させた
ものであり、主に、建築物の外装に用いられるものであること。
(8) クラッチフェーシングは、クラッチディスクの円板面又は円筒端面にはり付けて使用される摩擦材
部品であり、主に、クラッチディスクとフライホイールの間に配置され、駆動力の伝達を制御するも
のとして用いられるものであること。
(9) クラッチライニングは、クラッチシューの円周面にはり付けて使用される摩擦材部品であり、主に、
クラッチシューとクラッチドラムの間に配置され、駆動力の伝達を制御するものとして用いられるも
のであること。
(10) ブレーキパッドは、キャリパーに取り付けて使用される摩擦材部品であり、主に、ディスクロー
ターをその両側からはさみ込むことで制動力を発生させるものとして用いられるものであること。
(11) ブレーキライニングは、ブレーキシューの円周面にはり付けて使用される摩擦材部品であり、主
に、外側に広がることでブレーキドラムの内側との摩擦により制動力を発生させるものとして用い
られるものであること。