石綿による疾病の認定基準について(平成18年2月9日 基発第0209001号により廃止)
基発第0919001号
平成15年9月19日
都道府県労働局長 殿
厚生労働省労働基準局長
石綿による疾病の認定基準について
(平成18年2月9日 基発第0209001号により廃止)
標記については、昭和53年10月23日付け基発第584号(以下「584号通達」という。)により示してきた
ところであるが、今般、「石綿ばく露労働者に発生した疾病の認定基準に関する検討会」の検討結果を踏
まえ、石綿にばく露した労働者に発症した石綿肺等の業務上外の認定に関し、下記のとおり認定基準を定
めたので、今後の取扱いに遺漏のないよう万全を期されたい。
なお、本通達の施行に伴い、584号通達は廃止する。
記
第1 石綿による疾病と石綿ばく露作業
1 石綿による疾病
石綿との関連が明らかな疾病としては、次のものがある。
(1) 石綿肺
(2) 肺がん
(3) 胸膜、腹膜、心膜又は精巣鞘膜の中皮腫
(4) 良性石綿胸水
(5) びまん性胸膜肥厚
2 石綿ばく露作業
石綿ばく露作業の主なものには、次の作業がある。
(1) 石綿鉱山又はその附属施設において行う石綿を含有する鉱石又は岩石の採掘、搬出又は粉砕その
他石綿の精製に関連する作業
(2) 倉庫内等における石綿原料等の袋詰め又は運搬作業
(3) 次のアからオまでに掲げる石綿製品の製造工程における作業
ア 石綿糸、石綿布等の石綿紡織製品
イ 石綿セメント又はこれを原料として製造される石綿スレート、石綿高圧管、石綿円筒等のセメ
ント製品
ウ ボイラーの被覆、船舶用隔壁のライニング、内燃機関のジョイントシーリング、ガスケット
(パッキング)等に用いられる耐熱性石綿製品
エ 自動車、捲揚機等のブレーキライニング等の耐摩耗性石綿製品
オ 電気絶縁性、保温性、耐酸性等の性質を有する石綿紙、石綿フェルト等の石綿製品(電綿絶縁紙、
保温材、耐酸建材等に用いられている。)又は電解隔膜、タイル、プラスター等の充填剤、塗料等
の石綿を含有する製品
(4) 石綿の吹付け作業
(5) 耐熱牲の石綿製品を用いて行う断熱若しくは保温のための被覆又はその補修作業
(6) 石綿製品の切断等の加工作業
(7) 石綿製品が被覆材又は建材として用いられている建物、その附属施設等の補修又は解体作業
(8) 石綿製品が用いられている船舶又は車両の補修又は解体作業
(9) 石綿を不純物として含有する鉱物(タルク(滑石)、バーミキュライト(蛭石)、繊維状ブルサイト(水
滑石))等の取扱い作業
(10) 上記(1)から(9)の石綿又は石綿製品を直接取扱う作業の周辺等において、間接的なばく露を受け
る可能性のある作業
第2 石綿による疾病の取扱い
1 石綿肺(石綿肺合併症を含む。)
石綿ばく露作業(前記第1の2の(1)から(10)までに掲げる作業をいう。以下同じ。)に従事している
か又は従事したことのある労働者(以下「石綿ばく露労働者」という。)に発生した疾病であって、
じん肺法(昭和35年法律第30号)第4条第2項に規定するじん肺管理区分が管理4に該当する石綿肺又は
石綿肺に合併したじん肺法施行規則(昭和35年労働省令第6号)第1条第1号から第5号までに掲げる疾病
(じん肺管理区分が管理4の者に合併した場合を含む。)は、労働基準法施行規則(昭和22年厚生省令
第23号)別表第1の2(以下「別表第1の2」という。)第5号に該当する業務上の疾病として取り扱うこと。
2 肺がん
(1) 石綿ばく露労働者に発症した原発性肺がんであって、次のア又はイに該当する場合には、別表第1
の2第7号7に該当する業務上の疾病として取り扱うこと。
ア じん肺法に定める胸部エックス線写真の像が第1型以上である石綿肺の所見が得られていること。
イ 次の(ア)又は(イ)に掲げる医学的所見が得られ、かつ、石綿ばく露作業への従事期間が10年以
上あること。
(ア) 胸部エックス線検査、胸部CT検査、胸腔鏡検査、開胸手術又は剖検により、胸膜プラーク
(胸膜肥厚斑)が認められること。
(イ) 肺組織内に石綿小体又は石綿繊維が認められること。
(2) 上記(1)のア及びイに該当しない原発性肺がんであって、次のア又はイに該当する事案は、本省に
協議すること。
ア 上記(1)のイの(ア)又は(イ)に掲げる医学的所見が得られている事案
イ 石綿ばく露作業への従事期間が10年以上である事案
3 中皮腫
(1) 石綿ばく露労働者に発症した胸膜、腹膜、心膜又は精巣鞘膜の中皮腫であって、次のア又はイに
該当する場合には、別表第1の2第7号7に該当する業務上の疾病として取り扱うこと。
ア じん肺法に定める胸部エックス線写真の像が第1型以上である石綿肺の所見が得られていること。
イ 次の(ア)又は(イ)に掲げる医学的所見が得られ、かつ、石綿ばく露作業への従事期間が1年以上
あること。
(ア) 胸部エックス線検査、胸部CT検査、胸腔鏡検査、開胸手術又は剖検により、胸膜プラーク
(胸膜肥厚斑)が認められること。
(イ) 肺組織内に、石綿小体又は石綿繊維が認められること。
(2) 上記(1)のア及びイに該当しない胸膜、腹膜、心膜若しくは精巣鞘膜の中皮腫又は胸膜、腹膜、心
膜及び精巣鞘膜以外の部位の中皮腫であって、次のア又はイに該当する事案は、本省に協議すること。
ア 上記(1)のイの(ア)又は(イ)に掲げる医学的所見が得られている事案
イ 石綿ばく露作業への従事期間が1年以上である事案
4 良性石綿胸水及びびまん性胸膜肥厚
石綿ばく露労働者に発症した良性石綿胸水又はびまん性胸膜肥厚については、石綿ばく露作業の内
容及び従事歴、医学的所見、必要な療養の内容等を調査の上、本省に協議すること。
なお、当該疾病が業務上と認められる場含には、別表第1の2第4号8に該当する業務上の疾病として
取り扱うこととなる。