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化学物質等による眼・皮膚障害防止対策の徹底について

改正履歴
基発第0811001号
平成15年8月11日

都道府県労働局長 殿

厚生労働省労働基準局長




化学物質等による眼・皮膚障害防止対策の徹底について


 化学物質等(化学物質及び化学物質を含有する製剤その他の物をいう。以下同じ。)による眼又は皮膚への障害の防止については、かねてよりその徹底を図ってきたところであるが、依然として、化学物質等による眼又は皮膚への障害が、化学物質等による職業性疾病全体の約半数を占めており、その件数は近年増加するとともに、重篤な障害となった事例も発生しているところである。
 また、これらの健康障害は、配管の点検、容器の開閉等の短時間作業を含む作業においても、水酸化ナトリウム、硫酸、鉱物油等の化学物質等が飛散して労働者の身体に接触する等により発生しているところである。
 これらの健康障害の発生を防止するためには、適切な保護具の使用等を徹底することが重要であることから、下記の事項に留意の上、これらの化学物質等を取り扱う事業者等を指導されたい。
 また、別添により関係事業者団体等に対して傘下会員事業者への周知等を要請したので了知されたい。




  1  皮膚障害防止用保護具の備付けが必要な物には、次のものがあること。
(1) 特定化学物質等障害予防規則(昭和47年労働省令第39号。以下「特化則」という。)第44条に規定する皮膚障害防止用保護具の備付けが必要な皮膚に障害を与えるおそれのある特定化学物質等には、別紙1に掲げるものが含まれること。
(2) 労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号。以下「安衛則」という。)第594条に規定する皮膚障害防止用保護具の備付けが必要な皮膚に障害を与える物には、別紙2に掲げるものが含まれること。

2  安衛則第593条に規定する有害物で保護眼鏡等の眼障害防止用保護具を備えなければならないものには、別紙3に掲げるものが含まれること。

3  保護具の備付けが必要な化学物質等を取り扱う作業には、当該化学物質等を容器に密閉したまま取り扱う等労働者がばく露するおそれのない作業は含まれないものであること。

4  短時間であっても、化学物質等が眼又は皮膚へ接触し当該器官に障害を与えるおそれのある作業を行う場合には、保護眼鏡、保護衣、保護手袋等の保護具を使用するよう事業者等に対して指導すること。

5  保護眼鏡、保護衣、保護手袋等の保護具は、取り扱う化学物質等の性状、化学物質等を取り扱う作業等に応じた適切なものを選定するよう事業者等に対して指導すること。なお、これらの保護具に係る規格として、JIST8115(化学防護服)、JIST8116(化学防護手袋)、JIST8117(化学防護長靴)、JIST8147(保護眼鏡)等があること。

6  破損等のない適切な保護具の使用を徹底するため、使用前の保護具の点検及び日常の保守管理を適切に実施するよう事業者等に対して指導すること。

7  適切な保護具の使用等を徹底するため、作業規程等に保護具の使用等を明記するとともに、安衛則第35条に基づく雇入れ時等の教育はもとより、あらゆる機会を捉えた労働者に対する教育の実施及び労働者の保護具の使用状況の確認を行うよう事業者等に対して指導すること。

8  特化則別表第3の(十七)の五酸化バナジウムを製造し、又は取り扱う業務の項の下欄第三号中「指端の手掌部の角化等」の「等」には、皮膚炎及び結膜炎が含まれること。

9  眼又は皮膚に障害を与える化学物質等を取り扱う業務に従事する労働者については、当該化学物質に係る労働安全衛生法第66条第2項に基づく健康診断を受診している者を除き、事業者は安衛則第44条又は第45条に基づく定期健康診断実施の際、当該労働者がばく露するおそれのある化学物質等の名称及びその有害作用、ばく露することによって生じる症状・障害等に関する情報を化学物質等安全データシート(MSDS)等を用いて当該健康診断を行う医師に通知の上、自覚症状及び他覚症状の有無の検査にあわせて眼又は皮膚の障害の有無の確認を求めることが望ましいこと。