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改正履歴 | |
基発第501号 平成13年6月1日 |
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都道府県労働局長 殿 | |
厚生労働省労働基準局長 |
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機械の包括的な安全基準に関する指針について |
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機械による労働災害は、休業4日以上の労働災害全体の約3割を占め、死亡災害等重篤な災害も多発するなど、依然として労働災害防止上の重要な課題となっている。このような機械による労働災害を防止するため、労働安全衛生法その他の労働安全衛生関係法令等において、検査等の制度、譲渡等の制限等の規制を設け、危険性の高い機械については厚生労働大臣の定める規格を具備したものでなければならないこととしているほか、事業者に対して機械の使用に当たっての措置等を定めるなど、製造段階から使用段階にわたる安全確保を図っているところである。 しかしながら、事業場内において使用される機械は多岐にわたるとともに、技術革新等により新しい機械も導入等されていることから、機械による労働災害をさらに減少させていくためには、すべての機械の安全水準の向上を図る措置が望まれるところであり、第9次労働災害防止計画においても、すべての機械に適用する包括的な安全基準の整備を図ることとされたところである。 このような状況を踏まえ、今般、別添のとおり、「機械の包括的な安全基準に関する指針」(以下「指針」という。)を策定したので、下記事項に留意の上、管内の機械の製造者等及び事業者が労働者に機械を使用させている事業場に対し、指針の周知を図るとともに機械による労働災害の一層の防止に努められたい。 なお、関係事業者団体に対しても同指針につき周知方協力を要請したので了知されたい。 |
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記 |
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1 | 指針の目的について 指針は、すべての機械に適用できる包括的な安全方策等に関する基準を示したものであり、機械の設計、製造等を行う製造者等及び機械を労働者に使用させる事業者がこの指針に従って安全方策等を行い、機械の安全化を図っていくことが望まれる。 指針においては、安全な機械の製造等に当たって行うべき具体的な安全方策の方法等を示しているが、安全方策はこれに限定されるものではなく、製造者等及び機械を労働者に使用させる事業者は、個々の機械の危険源及び危険状態から生ずる危険の種類等に応じて、有効と考えられる安全方策を行うことが必要である。 |
2 | 指針に基づく機械の安全化の手順について 機械の安全化の過程につき、その手順を別図1に示す |
3 | リスクアセスメントについて 指針においては、危険性の大きさをリスクという概念で捉え、リスクを低減することが安全化であるとしている。 このため、リスクの見積り及び評価に係るリスクアセスメントは、機械の安全化を進めるためには必ず行う必要があるものである。リスクアセスメントは、安全方策の実施により、機械のリスクが許容可能な程度にまで低減されているかを判断するものであるが、行われた安全方策によっては、機械を使用する者がこれを取り外して使用すること等も考えられることから、行われた安全方策が機械の機能や使い易さを損なっていないかについても判断することが望ましい。 なお、リスクアセスメントと安全方策の手順を別図2に示す。 |
4 | 製造者等が行う安全方策について 機械の安全化を図るためには、製造者等は、リスクの低減が確実に行われる安全方策を優先して実施することが必要であり、その優先順序を指針の6の(1)に示している。 製造者等は、優先順序に従い、機械の使用者の知識、安全意識等に頼らない設備上の安全方策を行うことが必要であり、コストが上昇する又は操作性等が低下する等の理由から、設備上の安全方策を図ることによりリスクを低減させることができるにもかかわらずこれを行うことなく使用上の情報の提供にのみ頼ることは適当でない。 また、製造者等は、機械の使用者等から、機械に対する安全方策の追加、機械の改造等の理由で当該機械に関する問い合わせがあった場合に適切な助言が行えるよう、当該機械の安全化について実施したリスクアセスメント及び安全方策等について記録を作成し、保存しておくことが望ましい。 |
5 | 使用上の情報の提供について 機械を安全に使用するためには、製造者等から当該機械の使用について必要な情報が提供されることが不可欠である。この情報については、単に機械の使用方法に限ることなく、機械のリスク等に関する情報も併せて提供することが、機械による労働災害を防止するためには必要である。 機械の安全方策は、製造者等によって十分に行われることが原則であるが、リスクをすべて許容可能な程度まで低減することができない場合もある。このような場合において、機械による労働災害を防止するためには、製造者等から機械を使用する事業者に安全な使用のための情報を提供し、事業者がそれを受けて安全方策の追加等の措置を行うことが重要であることから、本質的な安全設計、安全防護及び追加の安全方策によってもリスクが十分に低減できない危険源及び危険状態について、使用上の情報として提供すべきものとしている。 |
6 | 機械を使用する事業者が行う安全方策について 機械による労働災害を防止するためには、製造者等において安全方策を行うばかりでなく、労働者に機械を使用させる事業者においても、製造者等から与えられた情報に基づき、適切な安全方策を行うことが不可欠である。 事業者が行うべき安全方策には、一般には次のような事項がある。 [1]機械の適正な設置 [2]労働者の保護具の整備及びその使用についての指示 [3]作業標準の作成、作業指揮系統の明確化等の作業管理体制の整備 [4]労働者に対する教育、訓練の実施 事業者は、これらの措置について製造者等から提供された使用上の情報に基いて行うことが原則であるが、他の機械と組み合わせて使用する場合等新たな危険の生じるおそれがあるときは、その都度、リスクアセスメントを行い安全方策を検討すること、製造者等から追加的に情報を得ること、製造者等による教育、訓練の実施を求めること等も必要である。 また、機械の安全化のために、機械の使用者の立場から気づいた点については、製造者等に情報を提供することが望ましい。 |
基発第501号の2 平成13年6月1日 |
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中央労働災害防止協会会長 建設業労働災害防止協会会長 陸上貨物運送事業労働災害防止協会会長 港湾貨物運送事業労働災害防止協会会長 林業・木材製造業労働災害防止協会会長 鉱業労働災害防止協会会長 殿 |
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厚生労働省労働基準局長 |
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機械の包括的な安全基準に関する指針の策定について |
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労働基準行政の推進につきましては、日頃より格別の御協力を賜り厚く御礼申し上げます。 さて、機械による労働災害は、休業4日以上の労働災害全体の約3割を占め、死亡災害等重篤な災害も多発するなど、依然として労働災害防止上の重要な課題となっております。このような機械による労働災害を防止するため、労働安全衛生法その他の労働安全衛生関係法令等において、検査等の制度、譲渡等の制限等の規制を設け、危険性の高い機械については厚生労働大臣の定める規格を具備したものでなければならないこととしているほか、事業者に対して機械の使用に当たっての措置等を定めるなど、製造段階から使用段階にわたる安全確保を図っているところです。 しかしながら、事業場内において使用される機械は多岐にわたるとともに、技術革新等により新しい機械も導入等されていることから、機械による労働災害をさらに減少させていくためには、すべての機械の安全水準の向上を図る措置が望まれるところであり、第9次労働災害防止計画においても、すべての機械に適用する包括的な安全基準の整備を図ることとされたところです。 このような状況を踏まえ、今般、別添のとおり、「機械の包括的な安全基準に関する指針」(以下「指針」という。)を策定いたしました。 つきましては、本指針に沿って機械の安全化が実施されるよう、貴協会会員に対する本指針の周知徹底につきまして、特段の御配意を賜りますようお願いいたします。 |