| ||
改正履歴 | ||
基発第127号 平成12年3月14日 |
||
都道府県労働基準局長 殿 | ||
労働省労働基準局長 |
||
産業廃棄物処理業等における爆発・火災の防止について |
||
近年、産業廃棄物処理業等において、スプレー缶内のLPガスによる爆発災害、多種の産業用廃油の混合による爆発災害、容器をガス溶断中の爆発災害等、産業廃棄物の処理過程における爆発・火災が多く発生している状況にある。 これらの災害は、取り扱う産業廃棄物の危険性を十分に把握せずに作業を行ったこと、産業廃棄物の分別が十分でなかったこと等により発生しており、こうした災害を防止するためには、事前に産業廃棄物の物理的、化学的性質等の危険性情報を十分に把握し、その性質に応じた取扱いを徹底することが必要である。 ついては、関係事業場に対し、下記事項について周知徹底を図り、産業廃棄物処理業等における爆発・火災の防止に努められたい。 | ||
記 |
||
1 | 安全衛生管理体制の整備 安全管理者、安全衛生推進者等の選任等法定の安全衛生管理体制を整備するとともに、危険物を取り扱う作業を行う場合には、作業指揮者を選任し、危険物を取り扱う設備及びその附属設備にっいて、随時点検し、異常を認めたときは、直ちに必要な措置をとる等その職務を行わせること(労働安全衛生法(以下「法」という。)第11条、第12条の2、労働安全衛生規則(以下「規則」という。)第257条関係)。 |
|
2 | 産業廃棄物の受入れ 産業廃棄物の受入れについては、危険物に関する知識のある者が行うとともに、以下により危険性情報の入手に努めること。 |
|
(1) | 産業廃棄物の排出事業者から、産業廃棄物を適正かつ安全に処理するために必要な危険性情報を入手すること。その際には、化学物質等安全データシート(MSDS)等により情報を得ることが望ましいこと。 | |
(2) | 産業廃棄物管理票制度(廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)第12条の3の規定に基づき、産業廃棄物の運搬又は処分を他人に委託する事業者が、産業廃棄物の種類等を記載した書面(マニフェスト)を交付する制度)により産業廃棄物の種類等を確認すること。 |
|
3 | 産業廃棄物の取扱い 危険物を含む産業廃棄物を輸送する場合には、運転者にイエロー・カード(物質の危険有害性、事故時における措置・連絡通報事項等を明記した書面)を携行させること等により、当該廃棄物の危険性情報を周知させること。 また、産業廃棄物中に含まれる過酸化水素と金属、過酸化物とアクリロニトリル等異種の物が接触することにより化学反応を起こし、爆発・火災が発生していることから、産業廃棄物の取扱いに当たっては次の措置を講ずること。 |
|
(1) | 混触危険性の有無を確認すること。 | |
(2) | 産業廃棄物中の混触危険物質が混合しないよう、産業廃棄物の分別を確実に行うとともに、これらの物を接近して貯蔵し、又は同一の運搬機に積載しないこと (規則第264条関係)。 |
|
4 | 危険物が存在して爆発又は火災が生ずるおそれのある場所における措置 スプレー缶のガス抜き作業中、抜き取った可燃性ガス等が滞留し、電気機械器具の火花が着火源となる爆発災害等が発生していることから、これら可燃性ガス、引火性の物の蒸気又は可燃性の粉じんが存在して爆発・火災が生ずるおそれのある場所においては、以下の措置を講じること。 |
|
(1) | 通風、換気、除じん等の措置を講じること(規則第261条関係)。 | |
(2) | 上記(1)の措置を講じても、なお、爆発の危険のある濃度に達するおそれのある場所において電気機械器具を使用するときは、適切な防爆性能を有する防爆構造電気機械器具を使用すること(規則第280条関係)。 |
|
5 | 内部に危険物を有していた容器を溶断により解体する場合の措置 ガソリン等の入っていたドラム缶等、内部に危険物を有していた容器を溶断により解体する際に、残存していた危険物に着火し爆発する災害が多発していることから、これらの作業を行う場合においては、ガス溶接技能講習修了者等に行わせるとともに、当該容器の内部に危険物が存在しないことをガス検知機器により確認し、危険物が存在する場合には、当該容器内部の換気又は不活性ガスによる置換を十分に行うこと(法第61条(同法施行令第20条第10号)、規則第285条関係)。 |
|
6 | 作業マニュアルの整備等 あらかじめ安全な作業方法を十分に検討して、作業マニュアルを作成すること。また、当該作業マニュアルを関係労働者に周知させるとともに、当該作業マニュアルに従い作業を行わせること。 |
|
7 | 安全教育の実施 関係労働者に対し、取り扱う産業廃棄物の危険性、安全な取扱い方法等について、マニフェスト、イエロー・カード及び化学物質等安全データシート(MSDS)等による情報も活用し、安全教育を十分行うことにより安全な作業の徹底を図ること。 |