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改正履歴
基発第147号の4
平成10年3月31日
粉じん障害防止総合対策の一層の徹底を図るため、関係事業者団体及び事業場の自主的な活動に基づく
粉じん障害防止総合対策推進運動(以下「推進運動」という。)を行うこととし、本省においては、労災
指定団体を中心とする事業者団体等に対して、別添1及び2のとおり推進運動の実施及び協力を要請した
ので、各局においても、本省要請団体の支部に対する推進運動の取組を指導されたい。
また、各局独自に、本省要請団体以外の粉じん作業に関係する団体に対しても、別添3を参考に推進運
動の実施及び協力を要請するとともに、広報活動を行うことにより、推進運動の積極的展開を図られたい。
なお、各局における推進運動に係る実施指導状況については、別添4により報告されたい。
別添1
基発第147号の2
平成10年3月31日
別記事業者団体の長 殿
労働省労働基準局長
粉じん障害防止総合対策運動の実施について
労働基準行政の運営につきましては、日頃から格別の御配慮を賜り厚く御礼を申し上げます。
さて、粉じん障害の防止対策に関しましては、昭和56年度より4次にわたり粉じんに係る適切な作業環
境管理、作業管理、健康管理、労働衛生教育等の徹底を内容とする総合的な対策を推進してきたところで
あり、また、平成3年度からは関係団体及び事業場の自主的な取組による粉じん障害防止対策の一層の徹
底を図るため粉じん障害防止総合対策推進運動の実施をお願いしてきたところでであります。
その結果、じん肺の新規有所見者数は、減少してきているものの、依然として平成8年において新規に
600人を超える有所見者が発生していること、アーク溶接作業等について粉じんの有害性等の認識が薄い
こと、事業場における作業環境評価が十分でないこと等から、別添1のとおり平成10年度を初年度とした5
か年計画による第5次粉じん障害防止総合対策推進要綱を策定したところです。
つきましては、貴団体及び会員事業場の自主的な取組による粉じん障害防止対策の一層の徹底を図るた
め、平成10年度より、別添2の粉じん障害防止総合対策推進運動実施要綱に基づき、粉じん障害防止総合
対策推進運動を実施するようお願いいたします。
また、実施に際しましては、別添3を参考に自主点検表を作成し当該推進運動の進捗状況等を把握しつ
つ計画的に実施していただくようお願いいたします。
なお、貴団体に係る本運動の実施計画について、別添4により、平成10年7月末日までに、また、貴団
体が策定した本運動の実施計画に基づく貴団体における本運動の実施状況について(様式任意)、平成14
年7月末日までに、小職あてに報告して下さい。
おって、貴団体において粉じん対策に係る好事例、効果のあった啓発手法等がございましたら、今後の
指導、啓発の参考とさせていただきますので、ご報告いただきますようお願いいたします。
別記
事業者団体
日本ゴム工業会
(社)セメント協会
日本硝子製品工業会
日本陶業連盟
耐火物協会
全国赤煉瓦協会日本石炭協会
コンクリートポールパイル協会
全国コンクリート製品協会
全国ヒューム管協会
(社)石膏ボード工業会
ロックウール工業会
研削材工業協会
(社)日本鉄鋼連盟
普通鋼電炉工業会
日本フェロアロイ工業会
(社)日本鋳物工業会
(社)日本ダイカスト協会
(社)日本強靭鉄協会
日本鋳鍛鋼会
(社)日本非鉄金属鋳物協会
(社)全国鐵構工業協会
(社)鉄骨建設業協会
(社)日本橋梁建設協会
(社)日本機械工業連合会
(社)日本電気工業会
(社)日本造船工業会
(社)日本中型造船工業会
(財)日本小型船舶工業会
(社)日本造船協力事業者団体連合会
(社)自動車産業経営者連盟
炭素協会日本鉱業協会
(社)日本砕石協会
日本石材協会
石灰石鉱業協会
(社)日本砂利協会
(社)日本下水道管渠推進工法協会
(社)日本建設業協会
(社)全国中小建設業協会
(社)日本港運協会
(社)日本アルミニウム合金協会
日本可鍛鋳鉄工業会
(社)日本土木工業会
(社)日本溶接協会
別添1
第5次粉じん障害防止総合対策推進要綱
第1 目的
粉じん障害防止総合対策推進要綱(以下「要綱」という。)は、第5次粉じん障害防止総合対策
(以下「総合対策」という。)の効果的推進を図り、中長期的な観点に立脚した粉じん作業に関する
適正な作業環境管理、作業管理及び健康管理を推進することによって、じん肺の発生及び進行を防止
することを目的とする。
なお、じん肺新規有所見者の発生を一層減少させるため、じん肺新規有所見者の発生数が多いアー
ク溶接作業及び発生率が高いトンネル建設工事業における粉じん作業に対する対策の徹底を図ること
とする。
第2 計画の期間
平成10年度から平成14年度までの5か年とする。
第3 総合対策の重点事項
総合対策の計画期間中において行うべき対策の重点事項は、以下のとおりとする。
1 アーク溶接作業に係る粉じん障害防止対策の推進
2 トンネル建設工事における粉じん障害防止対策の推進
3 特定粉じん作業に係る粉じん障害防止対策の推進
4 離職後の健康管理の推進
第4 具体的実施事項
総合対策を推進するに当たり、各重点事項ごとに以下の対策を実施するものとする。
1 アーク溶接作業に係る粉じん障害防止対策の推進
(1) 粉じんの有害性の認識の徹底
アーク溶接作業については、事業者、労働者の双方に粉じんの有害性に係る認識を深めるため、
安全衛生セミナーその他集団指導、関係団体の各種会議等の場において、粉じんの有害性について
一層の周知を徹底するとともに、アーク溶接作業に従事する労働者に対して特別教育に準じた教育
を実施するものとする。
なお、労働安全衛生規則第36条第3号に規定する特別教育の機会をとらえ、粉じんの有害性、呼
吸用保護具の使用方法等についての教育も併せて実施するものとする。
(2) 粉じん作業場の明示等
アーク溶接作業を行う作業場には、粉じん作業場であることの明示及び呼吸用保護具の適正な着
用方法等の必要な事項についての掲示等を行うものとする。
(3) プッシュプル型換気装置等の普及を通じた作業環境改善の推進
アーク溶接作業については、事業者に対し、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置の設置を
はじめとする粉じんの発散防止対策を推進し、作業環境の向上を行うものとする。
特に、製品に溶接欠陥を生じさせる等作業によっては、局所排気装置の設置による粉じんの発散
防止対策が困難な場合もあるといわれているが、これらの中にはプッシュプル型換気装置の設置に
より、溶接欠陥を生じさせることなく有効な発生源対策が可能となる場合があると考えられること
から、この場合は、プッシュプル型換気装置の導入を推進するものとする。
(4) 呼吸用保護具の着用の徹底及び適正な着用の推進
イ 呼吸用保護具の着用の徹底
粉じん障害を防止するためには、密閉化、湿潤化により作業場内に粉じんを発生させないこと
又は局所排気装置若しくはプッシュプル型換気装置等により作業場に発生した粉じんを除去する
ことにより、良好な作業環境とすることが原則であるが、これらの作業環境の改善措置が困難な
作業については、呼吸用保護具の着用を徹底するものとする。
ロ 呼吸用保護具の適正な選択、使用及び保守管理の推進
呼吸用保護具については、型式検定に合格したもの又は昭和57年12月14日付け基発第767号
に規定する電動ファン付き呼吸用保護具(JIS T8157電動ファン付き呼吸用保護具を含む。)
であるほか、個々の労働者に適したものとなるよう留意すること。また、呼吸用保護具は、平素
から点検及び手入れを励行して本来の性能を保持することが重要である。このため、平成8年8月
6日付け基発第505号「防じんマスクの選択、使用等について」に基づき、呼吸用保護具の適正な
選択、使用及び保守管理を徹底するものとする。
なお、これに当たっては、呼吸用保護具のフィルターの交換日等を記録する管理台帳を整備す
るとともに、各作業場ごとに、呼吸用保護具の適正な着用、取扱い方法等に関する指導、呼吸用
保護具の保守管理及び廃棄を行う「保護具着用管理責任者」を、衛生管理者の資格を有する者そ
の他労働衛生に関する知識、経験等を有する者から選任し、呼吸用保護具の適正な使用の徹底を
図るものとする。
(5) 健康管理対策の一層の推進
イ じん肺の有所見者に対する健康管理教育の推進等
じん肺有所見者のじん肺の進行を防止するため、産業医等による継続的な保健指導を実施する
とともに、平成9年2月3日付け基発第70号「じん肺有所見者に対する健康管理教育のためのガイ
ドライン」に基づく健康管理教育を推進するものとする。
ロ じん肺健康診断及びその結果に基づく事後措置の徹底
粉じん作業に従事する労働者のじん肺健康診断の実施及びその結果に基づく事後措置の徹底を
図るものとする。特に、じん肺有所見者に対しては、労働者の実情等を勘案した上で、じん肺管
理区分が管理2の労働者に対しては粉じんばく露の低減措置、管理3イの労働者に対しては粉じん
ばく露の低減措置又はじん肺法(昭和35年法律第30号)第21条第1項の勧奨を行った場合におけ
る粉じん作業以外の作業への転換措置、管理3ロの労働者に対しては粉じん作業以外への転換措
置が、それぞれ取られるようにするものとする。
2 トンネル建設工事業における粉じん障害防止対策の徹底と健康管理の推進
(1) 特別教育の徹底等
特定粉じん作業に従事する労働者に対する特別教育の実施の徹底を図るとともに、特定粉じん作
業以外の粉じん作業に従事する労働者についても、特別教育に準じた教育の実施を図るものとする。
(2) 呼吸用保護具の着用の徹底及び適正な着用の推進
第4の1の(4)と同様の対策を推進するものとする。
(3) 健康管理対策の一層の推進
第4の1の(5)と同様の対策を推進するものとする。
(4) 元方事業者に対する指導
元方事業者は、関係請負人が行う粉じん障害防止対策について、必要な指導を行うこと。特に、
特別教育及び健康管理教育等に対する指導及び援助を行うとともに、事業場内に、昭和54年8月29
日付け基安発第19号「特定粉じん作業に係る特別の教育の推進について」及び昭和61年7月16日付け
基安発第30号「建設業粉じん作業特別教育指導員講習の実施について」に基づく粉じん作業特別教育
指導員(インストラクター)を養成するものとする。
3 特定粉じん作業に係る粉じん障害防止対策の推進
(1) 作業環境測定及びその結果に基づく適正な措置の徹底
特定粉じん作業については、粉じん障害防止規則に基づき局所排気装置又はプッシュプル型換気
装置の設置、湿潤化、密閉化等の措置が規定されているところであるが、屋内作業場において良好
な作業環境を維持するためには、これら粉じんの発散防止対策の有効性を確認する必要がある。こ
のため、常時特定粉じん作業が行われる屋内作業場においては、作業環境測定の実施を徹底するも
のとする。
なお、作業環境測定を実施した結果、作業環境評価基準(昭和63年労働省告示第79号)に基づく
評価が第3管理区分又は第2管理区分に区分された作業場においては、粉じん障害防止規則第26条
の3及び第26条の4に基づき、施設、設備、作業工程及び作業方法の点検を行い、その結果に基づ
き、施設又は設備の設置又は整備、作業工程又は作業方法の改善その他必要な措置を講じるととも
に、同規則第26条第3項に基づき、改善措置の内容を記録するものとする。
(2) 局所排気装置等の検査及び点検の実施の徹底
局所排気装置又はプッシュプル型換気装置及び除じん装置については、所要の性能を発揮するよ
うに定期的な検査を実施することが重要である。このため、局所排気装置又はプッシュプル型換気
装置及び除じん装置について、法定の定期自主検査及び点検の実施の徹底をするとともに、1月に
1回以上の頻度で自主的な点検を実施すること。
なお、法定の定期自主検査及び点検並びに自主的な点検については、それぞれの設備ごとに「検
査・点検責任者」を選任するものとする。
また、局所排気装置及び除じん装置の定期自主検査については、それぞれ局所排気装置の定期自
主検査指針(昭和58年2月23日付け自主検査指針公示第5号)及び除じん装置の定期自主検査指針
(昭和58年2月23日付け自主検査指針公示第6号)に基づき実施するとともに、検査・点検責任者に
ついては、昭和58年10月11日付け基発第563号「局所排気装置等の定期自主検査者等養成講
習について」(以下「563号通達」という。)に定める「局所排気装置等の定期自主検査者講習」
を修了した者を充てることとする。
さらに、系列下にある事業場における局所排気装置等の検査及び点検の実施の徹底を図るため、
可能な限り親企業の労働者が563号通達に定める「局所排気装置等の定期自主検査インストラクタ
ー講習」を受講し、その者が系列下にある事業場の検査・点検責任者に必要な知識及び技能を付与
させるものとする。
その他、粉じんの発生源を密閉する設備、湿潤な状態に保つための設備並びに湿式型さく岩機及
びその水源についても、その日の作業を開始する前に点検し、これらの施設、設備が所要の性能を
発揮するよう留意するものとする。
(3) たい積粉じん対策の推進
粉じん作業場の作業環境を改善する方策の一つとして、作業場を常に清潔に保ち、床面等のたい
積粉じんによる2次発じんを防止することが重要である。このため、粉じん作業を行う場所におい
ては、毎日の清掃及び1月に1回以上のたい積粉じん除去のための清掃を行うため、責任者(以下
「たい積粉じん清掃責任者」という。)を選任するものとする。
なお、たい積粉じん除去のための清掃の実施に当たっては、水洗又は真空掃除機を用いる等、清
掃による発じんが起こらないよう注意することとし、特に遊離けい酸含有率が高い粉じんを発生す
る工程を有する場合には、入念な清掃を実施するものとする。
また、これら事項の徹底を図るため、粉じん障害防止総合対策推進月間その他の機会をとらえ
「大清掃運動」を展開するものとする。
(4) 特別教育の徹底等
第4の2の(1)前段と同様の対策を推進するものとする。
(5) 健康管理対策の一層の推進
第4の2の(5)と同様の対策を推進するものとする。
4 離職後の健康管理の推進
(1) 離職するじん肺有所見者等の健康管理対策の推進
じん肺は、粉じん作業に従事してから長期間を経て有所見となることがあるため、じん肺健康診
断の結果を長期間にわたり管理していくことが、じん肺の健康管理を推進する上で重要である。こ
のため、粉じん作業に従事させていた又は粉じん作業に従事させたことがある労働者が事業の完了
等で事業者の管理から離れるに当たって、雇用期間内のじん肺健康診断結果証明書等の離職後の健
康管理に必要な書類をとりまとめ、労働者に提供するとともに、当該書類の意義について労働者に
十分理解させることとする。
じん肺有所見者が離職して事業者の管理から離れた後は、じん肺の健康管理を離職者自らが行わ
なければならないところである。このため、じん肺管理区分が管理2、管理3イ又は管理3ロの離
職予定者に、「離職するじん肺有所見者のためのガイドブック」(以下「ガイドブック」という。)
を配布し、じん肺の進行及び合併症を防止するため離職後の健康管理について周知させるものとす
る。
なお、既にじん肺管理区分が管理2、管理3イ又はロとなっている離職者に対してもガイドブック
を活用した健康管理を推進することとし、必要に応じて、こうした離職者にガイドブックを配布す
るものとする。
(2) 離職予定者の健康管理手帳交付申請の推進
健康管理手帳の交付要件を満たす労働者の離職が予定される場合には、ガイドブック等を参考と
して離職予定者に健康管理手帳の交付申請の方法等について周知するものとする。
5 総合対策の重点事項に掲げられていない作業又は業種に係る粉じん障害防止対策
総合対策の重点事項に掲げられていない作業又は業種についても、必要に応じこれまでの総合対策
の手法を用いて粉じん障害防止対策を推進することとする。
第5 基本的手法
総合対策を推進する上で労働省が用いる主な手法は、以下のとおりである。
1 関係団体等に対する指導の実施
(1) 労働災害防止団体、事業者団体に対する指導
労働災害防止団体の本部支部、関係労災指定団体の本部支部等に対し、要綱に基づいた粉じん障
害防止総合対策の推進について要請するとともに、関係事業者団体にしても、事業者団体及び会員
事業者による自主的な取組による粉じん障害防止対策推進運動の実施を要請するものとする。
また、労働災害防止団体、主要な産地における関係事業者団体等類似の粉じん作業を有する団体
等を対象として、研究会、専門委員会等の設置を要請し、具体的な粉じん障害防止対策に関する検
討、粉じん作業に係る改善事例の紹介等の活動の推進を要請するものとする。
(2) 粉じん作業関連機器メーカー等に対する指導
アーク溶接機、グラインダー等主要な粉じん作業関連機器のメーカー、輸入業者等の団体に対し、
粉じん障害防止規則についての周知を図るとともに、機器の使用説明書、カタログ等に粉じん障害
防止規則に基づく必要な対策について盛り込むよう指導するものとする。
2 トンネル建設工事発注者に対する要請
トンネル建設工事における粉じん障害防止対策の実効を期すため、都道府県労働基準局と国の出先
機関、都道府県及び市町村といった地方自治体等との間の発注機関連絡会議等を通じて、粉じん障害
防止対策を講ずるための発注条件について要請を行うこととする。
3 中小規模事業場に対する粉じん障害防止対策の推進
(1) 融資制度の周知普及等の推進
中小規模事業場においては、作業環境測定及びじん肺健康診断の実施が徹底されていないことか
ら、必要に応じて中小企業安全衛生活動促進事業助成制度の活用について指導することとする。
(2) 粉じん障害防止対策のモデルとなる事業場の育成とその成果の普及
中小規模事業場における粉じん障害防止対策を推進するため「粉じん障害防止モデル事業」(以
下「モデル事業」という。)を実施し、粉じん障害防止対策のモデルとなる事業場の育成をとおし
て、モデルとなる事業場における改善の成果の周辺事業場へ周知・普及を推進することとする。
(3) 産業保健推進センター及び地域産業保健センターの活用による粉じん障害防止対策の推進
イ 産業保健推進センターの活用
粉じん障害防止対策が効果的に実施されない事業場に対し、産業保健推進センターにおける専
門家による健康相談、作業環境改善等に係る相談事業の活用を図ることとする。
ロ 地域産業保健センターの活用
地域産業保健センターにおいて医師等による相談が受けられることについて周知を図り、じん
肺健康診断結果に基づく適切な健康管理対策等の実施を推進することとする。
なお、地域産業保健センターの相談窓口に出向くことが困難な場合には、地域産業保健センタ
ー事業における事業場への個別訪問を活用し、医師等による健康管理等への指導・助言、作業場
の巡視及び改善の助言、労働者からの健康問題に関する相談への対応等による、適切な健康管理
対策等の実施の推進について要請することとする。
4 啓発活動の実施
(1) 粉じん障害防止総合対策強化月間
第4次粉じん障害防止総合対策に引き続き、全国労働衛生週間準備月間を「粉じん障害防止総合
対策推進強化月間」と定め、関係団体等に対する改善事例発表会等各種行事の開催要請、積極的な
広報活動の展開等を要請することとする。
(2) 粉じん対策の日
局所排気装置の点検、たい積粉じん除去のための清掃、呼吸用保護具の点検等の定期的な実施を
推進するため、毎月特定の日を粉じん対策の日と定め、掲示するよう要請することとする。
(3) 広報活動等
粉じん障害防止に係るパンフレット等を活用し、事業者、労働者の粉じん障害防止に関する認識
を深めることとする。
また、関係団体等に対し、当該団体の広報誌等に粉じん障害防止に係る情報を掲載するよう要請
することとする。
5 適正なじん肺健康診断の実施の促進
適正なじん肺健康診断の実施を促進するため、産業医、じん肺健康診断に携わる医師、診療放射線
技師、臨床検査技師等に対する「じん肺診断技術等研修」を実施することとする。
また、適正なじん肺健康診断を推進するため、健康診断実施機関に対し、「総合精度管理事業」に
積極的に参加するよう指導することとする。
6 粉じん障害防止対策に関する調査研究の推進
粉じん作業に係る工法、作業方法の変化に対応した調査研究の実施、医学の進歩等に対応したじん
肺健康診断技術等の研究開発等に努め、粉じん障害防止対策の進展に資することとする。
(別添2〜4 略)
別添2
基発第147号の3
平成10年3月31日
中央労働災害防止協会
各業種別労働災害防止協会(林災防を除く)
全国中小企業団体中央会
日本経営者団体連盟
日本商工会議所
社団法人全国労働衛生団体連合会
日本作業環境測定協会
日本労働安全衛生コンサルタント会
全国労働基準団体連合会
日本トンネル技術協会
労働福祉事業団
社団法人日本医師会の長 殿
労働省労働基準局長
粉じん障害防止総合対策推進運動への協力について
労働基準行政の推進につきましては、日頃より格別の御配慮を賜り厚く御礼申し上げます。
さて、粉じん障害の防止に関しては、昭和56年度より4次にわたり粉じんに係る適切な作業環境管理、
作業管理、健康管理、労働衛生教育等の徹底を内容とする総合的な対策を推進してきたところであり、ま
た、平成3年度からは関係団体及び事業場の自主的な取組による粉じん障害防止対策の一層の徹底を図る
ため粉じん障害防止総合対策推進運動の実施をお願いしてきたところであります。
その結果、じん肺の新規有所見者数は、減少してきているものの、依然として平成8年において新規に
600人を超える有所見者が発生していること、アーク溶接作業等について粉じんの有害性等の認識が薄い
こと、事業場における作業環境管理が十分でないこと等から、別添1のとおり平成10年度を初年度とした
5か年計画による第5次粉じん障害総合防止対策推進要綱を作成したところです。また、別添2のとおり
関係事業者団体に対して、粉じん障害防止対策の実施を依頼しているところです。
つきましては、貴団体におかれましても粉じん障害防止対策推進運動の効果的な実施を図るため、関係
事業者団体等と連携した広報、啓発、指導等について御協力下さいますようお願いいたします。
(別添1〜2 略)
別添3
粉じん障害防止総合対策推進運動実施要綱
関係事業者団体及び事業場における粉じんの障害防止対策の一層の徹底を図ることにより、粉じん作業
に従事する労働者の健康障害を防止するため、下記により粉じん障害防止対策推進運動(以下「推進運動」
という。)を実施することとする。
記
I 実施者
関係事業者団体及び事業場
II 実施期間
平成10年度から平成14年度まで
III 実施事項
1 主として事業者団体が実施する事項
(1) 粉じん障害防止対策について、業界紙、ポスター、パンフレット等により会員事業場に対し広報
及び啓発を行うこと。
なお、全国労働衛生週間準備月間(9月)を「粉じん障害防止総合対策推進強化月間」と定める
ことにより推進運動の趣旨の徹底を図ること。
(2) 業界団体首脳等による会員事業場のパトロールを実施すること。
(3) 研究会及び専門委員会等の活動により、粉じん作業に係る改善事例集の発行等を通じて改善事例
について会員事業場への普及等を図ること。
(4) 会員事業場に対し、毎月特定の日を「粉じん対策の日」と定め、たい積粉じん除去のための清掃、
局所排気装置等の点検等毎月行うべき対策について計画的に実施するよう周知させること。
(5) たい積粉じん対策のより一層の徹底を図るため「大清掃運動」を実施すること。
(6) 粉じん障害防止対策に関する教育に使用するわかりやすい教材の整備に努めること。
(7) 自主点検表等による業界単位の自主点検を実施すること。
(8) 実施期間中の会員事業場等の粉じん障害防止対策の進捗状況等を確認すること。
2 主として事業場が実施する事項
(1) 経営首脳者等による粉じん作業場のパトロールを実施すること。
(2) 生産設備、生産工程及び作業方法の改善、原材料の変更等による粉じんばく露の低減化のための
検討及び対策の実施を図ること。
(3) 事業場の規模に応じて、産業医、衛生管理者、衛生推進者(安全衛生推進者)等の選任及び職務
の徹底を図ること。
(4) 「検査・点検責任者」を選任し、局所排気装置等の1年以内ごとに1回の自主的な点検の実施を徹
底すること。
(5) 毎月特定の日を「粉じん対策の日」と定め、たい積粉じん除去のため清掃、局所排気装置等の点
検、職場巡視等を計画的に実施すること。
(6) 「たい積粉じん清掃責任者」を選任し、毎日の清掃及び月1回以上のたい積粉じん除去のための
清掃の実施を徹底すること。
(7) 作業環境測定の実施及びその結果に基づく適正な作業環境管理の実施の徹底を図ること。
(8) 「保護具着用管理責任者」を選任し、呼吸用保護具の適正な使用の徹底を図ること。
(9) じん肺健康診断の実施及び管理区分に応じた作業転換等の事後措置の徹底を図ること。
(10)じん肺の有所見者に対し、健康管理教育の充実を図ること。
(11)特別教育の計画的実施の徹底及びアーク溶接作業等特定粉じん作業以外の粉じん作業に従事する
労働者に対する特別教育に準じた教育の実施を図ること。
(12)系列企業を含めた粉じん障害防止対策の推進を図ること。
別添4