改正履歴
基発第207号
平成10年4月8日
中小総合工事業者については、従来より大手総合工事業者と比較して労働災害の発生率が高いことが指
摘され、その背景としては、元方事業者による関係請負人の安全管理に関する指導能力が必ずしも十分で
ないことがあげられる。
このような状況にかんがみ、今般、中小総合工事業者の関係請負人に対する指導力を向上させ、建設業
における労働災害の防止を促進することを目的として、別添のとおり「中小総合工事業者指導力向上事業
実施要綱」を策定し、同要綱に基づき標記事業を実施することとしたところである。
本事業は、建設業労働災害防止協会に委託して実施するものであるが、貴職におかれても、労働安全行
政の一環であるとの認識を十分に持ち、同要綱3(4)に掲げる事項等について同支部を積極的に指導・援助
し、本事業の効果的な推進を図られたい。
中小総合工事業者指導力向上事業実施要綱
1 趣旨
中小総合工事業者指導力向上事業(以下「本事業」という。)は、中小総合工事業者に対して、研修、
個別指導等を実施することにより、中小総合工事業者の関係請負業者に対する安全衛生管理指導能力の
向上を図り、もって、中小総合工事業者における安全衛生水準の向上を図ることを目的とする。
2 事業の概要
本事業は、
(1) 新たに現場所長の職務に就く者に対する研修及び現場見学会の開催
(2) 店社(特に本社)における安全衛生管理手法等に関する研修の実施
(3) モデル店社での安全衛生管理計画作成の個別指導、関係請負人の労働者に対する安全衛生教育への
講師派遣等
からなる。
3 事業の実施
(1) 実施主体
本事業は、労働省から委託を受けた建設業労働災害防止協会(以下「建災防」という。)が実施す
る。なお、実施に際しては、建災防の都道府県支部(以下「支部」という。)は、都道府県労働基準
局及び労働基準監督署と十分な連携を図るものとする。
(2) 事業の対象
完成工事高ランキングで概ね150位以下の総合工事業者
(3) 実施体制の整備
本事業を実施する上で、必要な知識、能力を有する者を「中小総合工事業者指導員」として建災防
支部ごとに委嘱し、事業を実施する。
(4) 都道府県労働基準局及び労働基準監督署による指導・援助
都道府県労働基準局及び労働基準監督署は、次に掲げる事項等について建災防支部を指導・援助す
る。
イ 支部における実施計画策定についての指導・援助
ロ 新任現場所長研修及び店社における安全衛生管理手法等に関する研修の実施についての指導・援
助
ハ モデル店社の選定についての指導
ニ モデル店社個別指導についての助言・援助
4 事業の内容
(1) 建災防本部実施事項
イ 中小総合工事業者指導員の委嘱
ロ 全国調整会議の実施
ハ 安全衛生教材等の作成
(イ) 新任現場所長研修テキスト
(ロ) 店社における安全衛生管理手法等に関する研修テキスト
(ハ) 個別店社指導要領
(ニ) 関係請負人の労働者に対する安全衛生教材
ニ 安全衛生管理手法に関する調査研究
(2) 建災防支部実施事項
イ 新任現場所長研修及び現場見学会の実施
(イ) 対象
新たに現場所長の職務に就く者又は現場所長の職務の経験が比較的浅い者
(ロ) 新任現場所長研修の内容
a 建設業における労働災害発生状況
b 現場所長の役割と職務
c 安全衛生管理の進め方と手法
d 機械設備・環境の安全化及び作業環境管理
e 災害分析の方法とその活用
f 関係法令
g その他
(ハ) 現場見学会の内容
a 大手総合工事業者における安全衛生管理の進め方
b 大手総合工事業者における安全衛生管理の実態
c その他
ロ 店社における安全衛生管理手法等に関する研修の実施
(イ) 対象
店社安全衛生管理者又はそれに準ずる職にある者
(ロ) 内容
a 建設業における労働災害発生状況
b 店社安全衛生管理者等の役割と職務
c 店社による安全衛生管理の進め方と手法
d 店社安全衛生管理計画の作成方法
e 災害分析の方法とその活用
f 関係法令
g その他
ハ モデル店社に対する個別指導の実施
(イ) 対象
安全衛生管理に意欲があり、1年間程度の個別指導によって模範的な安全衛生管理を行える
ことが見込まれる中小総合工事業者の店社(各分会(署)ごとに少なくとも1社選定する。)
(ロ) 内容
a 店社安全衛生管理計画作成の個別指導
b 関係請負人に対する安全衛生教育への指導員の派遣
c 現場安全パトロールへの指導員の派遣
d その他
中小総合工事業指導力向上事業の概要