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改正履歴
基発第22号
平成7年3月22日
わが国における労働災害の発生状況が長期的には減少傾向にある中で、中小企業においては依然として
労働災害の発生率が高水準で推移しているとともに、近年における高齢化の進展等による労働環境の変化
に対応した職場環境の改善にも立ち遅れがみられるなど中小企業における労働者の安全と健康の確保につ
いては、いまだ多くの問題点を抱えているところである。このため、今般、中小企業の安全衛生の水準の
向上を図るため、標記制度を創設したところである。
ついては、別添の中小企業安全衛生活動促進事業助成制度推進要綱を了知のうえ、貴局管内の事業者団
体、健康診断機関、作業環境測定機関等の関係団体に通知するとともに、これらの指導援助に遺憾のない
よう命により通達する。
なお、本通達に伴い、昭和61年4月4日付け労働省発基第42号、平成元年5月29日付け労働省発基第48
号及び平成4年7月1日付け労働省発基第54号を廃止する。
中小企業安全衛生活動促進事業助成制度推進要綱
第1 目 的
本事業は、地域別、業種別等に組織された事業者の集団が、その構成員である中小企業者のために集団
として安全衛生活動を行う場合若しくは、構成員である中小企業者が安全衛生に係る機器の整備を行う場
合にこれらに要する費用の一部を補助し、又は集団としての安全衛生活動を支援することにより、中小企
業集団が行う安全衛生活動を促進するとともに、特殊健康診断機関又は作業環境測定機関(以下「特殊健
康診断機関等」という。)が特殊健康診断用機器又は作業環境測定用機器の整備を行う場合にこれに要す
る費用の一部を補助することにより、中小企業における安全衛生活動の支援体制を整備し、もって中小企
業における安全衛生水準の向上を図ることを目的とする。
第2 補助制度
1 補助事業者
補助事業者は、中央労働災害防止協会(以下「中央協会」という。)とする。
2 補助事業の内容
中央協会が実施する補助対象事業の内容は、中小企業集団安全衛生活動促進事業及び特殊健康診断
用等機器整備事業とする。
(1) 中小企業集団安全衛生活動促進事業
イ 補助対象事業者集団
補助の対象とする事業者集団は、以下の要件を満たすものであって、当該集団の所在地を管
轄する都道府県労働基準局長による認定を受けたもの(以下「認定集団」という。)とする。
(イ) 中小企業者(資本の額若しくは出資の総額が1億円以下の法人である事業主又は常時使
用する労働者の数が300人以下の事業主をいう。)を構成主体とする集団であること。
(ロ) 地域別、業種別等に組織されていること。
(ハ) 集団において補助対象事業の企画、立案及び運営に当たる運営委員会及び事務局を設置
していること。
(ニ) 集団の運営に関する規約を作成していること。
ロ 補助対象事業
補助対象事業は、認定集団及び認定集団の構成員である中小企業者のために行う事業のうち
次に掲げるものとし、その補助の具体的な内容及び補助を行う経費の項目は別途定めるものと
する。
(イ) 集団安全衛生管理体制の確立
a 集団安全衛生責任者の選任等
b 集団安全衛生活動運営委員会の開催等
c 集団安全衛生管理活動の実施
(ロ) 労働災害防止のための活動
a 安全衛生教育
b 技能講習及び特別教育
c 安全衛生診断
d 特定自主検査
e 機械の本質安全化
(ハ) 健康確保のための活動
a 健康診断
b 作業環境測定
c 作業環境改善
(ニ) 快適職場づくりのための活動
a 快適職場形成推進委員会の開催
b 集団としての共同職場環境の整備
c 職場改善機器整備
ハ 交付要件
交付要件は次のとおりとする。
(イ) 認定集団であって、上記ロの補助対象事業の全部又は一部を適正に実施するものである
こと。この場合において、上記ロの補助対象事業のうち、(イ)の事業については全ての事
業を実施するものとし、(ロ)のa、b、c、若しくはd、(ハ)のa若しくはb又は(ニ)の
aの事業については、いずれか一つ以上の事業について実施すること。
(ロ) 上記ロの(ロ)のdの事業については、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第45条第
2項に定める検査業者に行わせるものであること。
(ハ) 上記ロの(ハ)のa(特殊健康診断に限る。)の事業については、中央協会が労働大臣と
協議して定める一定の要件を備えた特殊健康診断機関で、中央協会が名簿登載を行ったも
のに行わせるものであること。
(ニ) 上記ロの(ハ)のbの事業については、(社)日本作業環境測定協会が労働大臣と協議し
て定める一定の要件を備えた作業環境測定機関で、中央協会が名簿登載を行ったものに行
わせるものであること。
(ホ) 上記ロの(ロ)のe、(ハ)のc、(ニ)のbの事業については、集団安全衛生活動運営委員
会の推薦を受けた中小企業者を補助対象とすること。
(ヘ) 上記ロの(ニ)のcの事業については、都道府県労働基準局長により、快適な職場環境の
形成のための措置の実施に関する計画の認定を受け、かつ認定集団内の快適職場形成推進
委員会の推薦を受けた中小企業者を補助対象とすること。
ニ 補助金の額等
認定集団に対する補助は、予算の範囲内で行うものとし、その額は次のとおりとする。
(イ) 上記ロの(イ)、(ロ)のa、b、c及びd、(ハ)のa及びb並びに(ニ)のaの事業
a 当該事業に係る経費の2分の1を限度とする。ただし、ロの(イ)のaのうち集団安全
衛生責任者の謝金については別途定める。
b 特定自主検査、特殊健康診断及び作業環境測定に係る経費は、1事業場当たりの限度
額を設け、その額は別途定める。
c 1集団当たりの限度額は別途定める。
(ロ) 上記ロのe、(ハ)のc並びに(ニ)のb及びcの事業
当該事業に係る経費の3分の1を限度とする。また、1機器及び1事業場(上記ロの(ニ)
のbの事業にあっては、1集団)当たりの限度額は別途定める。
ホ 補助対象期間
認定集団に対する補助期間は、3ヵ年とする。
ヘ 登録集団に対する支援
中央協会は、昭和61年4月4日付け発基第42号「中小企業共同安全衛生改善事業助成制度に
ついて」による中小企業共同安全衛生改善事業助成制度推進要綱の第2の2の(1)のイに定め
る指定集団であった集団及び本事業における認定集団であって補助対象期間が終了した集団う
ち中央協会に登録した集団(以下「登録集団」という。)が、その構成員である中小企業者の
ために集団として行う安全衛生活動に対して、指導、安全衛生情報の提供等の支援を行う。
登録に必要な事項については、中央協会が労働大臣と協議して定める。
(2) 特殊健康診断用等機器整備事業
イ 補助対象機関
補助対象機関は、中央協会が名簿登載した特殊健康診断機関等で、次にいずれかに該当する
ものとする。
(イ) 地方公共団体が設立し、管理している機関
(ロ) 財団法人、社団法人、社会福祉法人、医療法人等が設立し、管理している機関で、公共
的性格を有するもの
ロ 補助対象事業
補助対象事業は、特殊健康診断機関等が、特殊健康診断用等機器を整備するために、別途定
める機器の購入を行う事業とする。
ハ 補助金の額等
特殊健康診断機関等に対する補助は、予算の範囲内で行うものとし、その額は定額とする。
ただし、当該機器の整備に係る経費の額の3分の1を限度とし、1機器及び1機関当たりの
限度額は別途定める。
3 国の補助
国は中央協会に対し、補助事業を行うために必要な経費について、補助金を交付する。
第3 中央協会、認定集団、補助対象事業の特定自主検査を行わせる検査業者及び補助対象事業の健康診
断を行わせる健康診断機関又は作業環境測定を行わせる作業環境測定機関の業務
中央協会、認定集団、補助対象事業の特定自主検査を行わせる検査業者及び補助対象事業の健康診断
又は作業環境測定を行わせる健康診断機関及び作業環境測定機関(以下「健康診断機関等」という。)
は、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和30年法律第179号)の定めによるほか、
本制度の円滑な運用を図るため、次の業務を実施するものとする。
1 中央協会の業務
中央協会は、本部、ブロック支部及び都道府県支部からなる中小企業安全衛生推進センターを設置
するとともに、都道府県支部に中小企業安全衛生促進員を配置し、次の業務を行う。
(1) 中小企業者に対する本制度の周知及び中小企業集団認定集団になるための指導
(2) 認定集団が行う中小企業集団安全衛生活動促進事業に対する指導・援助
(3) 登録集団の登録及び登録集団に対する指導及び安全衛生情報の提供
(4) 中小企業安全衛生活動促進事業の実施結果の取りまとめ、分析及び活用並びに労働大臣への報
告
(5) 健康診断機関等に対する指導
(6) 認定集団及び健康診断機関等に対する本制度による補助に係る事業の執行状況の調査
(7) その他、本制度の実施に必要な事項
2 認定集団の業務
認定集団においては、集団安全衛生管理体制を確立し、次の業務を行う。
(1) 中小企業安全衛生活動促進事業の適正な実施
(2) その他、本制度の実施に必要な事項
3 検査業者及び健康診断機関等の業務
(1) 特定自主検査、健康診断又は作業環境測定の適正な実施
(2) 特定自主検査技術、健康診断技術又は作業環境測定技術の向上及び機器の整備
(3) その他本制度の実施に必要な事項
第4 実施時期
本制度は平成7年度より実施する。