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改正履歴
基発第353号の3
平成6年6月13日
ゴンドラを使用する作業については、ゴンドラ安全規則等によりその安全確保を図っているところであ
りますが、本年5月に東京都新宿区のビル改修工事現場においてゴンドラの落下による重大な災害が発生
したことは誠に遺憾なことである。
ついては、ゴンドラ設置事業場、ゴンドラを使用して作業を行う事業場等の関係事業場に対し、下記に
留意し、必要な指導を行われたい。
なお、関係事業者団体等に対し、別添のとおり安全対策の徹底方について要請したので申し添える。
記
1 ゴンドラ製造者に対する指導
(1) 軌道式ゴンドラで、軌道から台車車輪が外れるおそれのあるものについては、軌道から車輪が外
れることを防止する装置等を備えさせること。
(2) 軌道式ゴンドラで、軌道から台車車輪が外れるおそれのあるものを設置している事業者に対して、
その改善及びゴンドラの安全な使用方法について指導させること。
2 ゴンドラを使用して作業を行う事業者に対する指導
(1) 軌道式ゴンドラを使用する作業を開始する前には、レールについて、ターンテーブル、ポイント
部等を重点に点検を実施し、異常がないことを確認した上で作業を開始させること。
(2) 軌道式ゴンドラで、ターンテーブル部等において台車車輪が外れるおそれのあるものを使用する
ときは、屋上に台車走行の状況を監視するための監視人を置き、監視人の指示に基づき走行させる
こと。
なお、作業場所下方の立入禁止等ゴンドラ安全規則に定める事項を確実に実施させること。
(3) 使用するゴンドラの機種が変わった際等においては、当該ゴンドラの安全な使用について、労働
者に随時教育を行わせること。
3 ゴンドラ設置事業場に対する指導
(1) 軌道式ゴンドラで、軌道から台車車輪が外れるおそれのあるものについては、台車車輪が軌道か
ら外れることを防止する装置を備えさせること。
ゴンドラの設置届の提出があったときは、このような安全措置について指導すること。
(2) 他の事業者にゴンドラを使用させるときは、その安全な使用方法等について通知させること。
参考
災害の概要
1 業種:建設業(ビル改修工事)
2 被害:死亡2名(内1名事業主)負傷1名
3 発生状況
午前零時よりビル5Fの窓枠等の取付作業を行うため、屋上の常設ゴンドラ(アーム固定型)を保管
場所より移動させ、作業床をビルの壁面にセットし、作業員2名がゴンドラ作業床に乗り込み、作業位
置にむかって、1mほど横に走行させたところ、ゴンドラの台車が、レールから外れて転倒し、作業員
2名ともどもゴンドラ全体が地上まで30m落下した。
そのとき、ビルの周辺に駐車していたタクシーに、ゴンドラが当たり、その運転手が被災した。
4 原因
災害の発生したゴンドラは、台車の自重のみで安定度を満たすゴンドラであったが、レールを保持す
る機構がなかったため、ゴンドラの台車が屋上床面から50cmの高さにあるレールから脱線した際に、台
車が道路側に転倒し、ゴンドラ全体が落下したものである。
脱線の原因としては、建物の角でゴンドラの台車の方向を変えるターンテーブル部の軸受けに磨耗に
よるガタが生じており、ターンテーブル部のレールの継ぎ目がずれ、そのため車輪フランジが、レール
に乗り上げ、そのまま走行したためと考えられる。
なお、対策としては、台車の各車輪に浮上がり防止金具等を設置することが考えられる。
(図)
別添1
基発第353号
平成6年6月13日
建設業労働災害防止協会会長 殿
社団法人 建築業協会会長
社団法人 全国ビルメンテナンス協会会長
全国ガラス外装クリーニング協会連合会会長
労働省労働基準局長
ゴンドラを使用する作業の安全確保の徹底について
労働災害の防止については日頃より御努力いただいているところでありますが、本年5月に東京都新宿
区のビル改修工事現場においてゴンドラの落下による重大な災害が発生したことは誠に遺憾なことであり
ます。ゴンドラ作業における安全確保については、従来より、ゴンドラ安全規則等によりその徹底を図っ
ているところでありますが、なおその災害の発生が跡を断たない状況にあります。
ついては、貴協会におかれましては、下記事項に留意の上、ゴンドラを使用する作業における安全対策
の充実を図るよう会員事業場に対し、周知徹底を図られたく要請します。
記
1 作業開始前の点検
軌道式ゴンドラを使用する作業を開始する前には、レールについて、ターンテーブル、ポイント部等
を重点に点検を実施し、異常がないことを確認した上で作業を開始すること。
2 作業時の安全確保
軌道式ゴンドラで、ターンテーブル部等において台車車輪が外れるおそれのあるものを使用するとき
は、屋上に台車走行の状況を監視するための監視人を置き、監視人の指示に基づき走行させること。
なお、作業場所下方の立入禁止等ゴンドラ安全規則に定める事項を確実に実施すること。
3 労働者に対する教育の実施
使用するゴンドラの機種が変わった際等においては、当該ゴンドラの安全な使用について、労働者に
随時教育を行うこと。
4 設置者に対する情報の提供
軌道式ゴンドラで、ターンテーブル部等において台車車輪が外れるおそれのあるゴンドラについては、
その設置者に対して、今回の災害の発生状況、対策等について情報提供を行うとともに、改善を要請す
るよう努めること。
別添2
基発第353号の2
平成6年6月13日
社団法人 日本クレーン協会会長 殿
社団法人 ボイラ・クレーン安全協会会長
労働省労働基準局長
ゴンドラを使用する作業の安全確保の徹底について
労働災害の防止については、日頃より多大な御協力をいただき厚く御礼申し上げます。
ゴンドラを使用する作業については、ゴンドラ安全規則等によりその安全確保を図っているところであ
りますが、本年5月に東京都新宿区のビル改修工事現場においてゴンドラの落下による重大な災害が発生
したことは誠に遺憾なことであります。
つきましては、貴協会においてゴンドラの性能検査を実施しているゴンドラ設置事業場等に対し、ゴン
ドラ安全規則の規定による安全基準の遵守のほか、下記事項を重点に、安全対策の徹底を図るよう御指導
いただきたく要請します。
記
1 保守管理の徹底
定期自主検査の際には、レールについて、ターンテーブル、ポイント部等を重点に十分に点検するこ
と。
2 軌道式ゴンドラの安全確保
軌道式ゴンドラで、ターンテーブル部等において台車車輪が外れるおそれのあるものについては、こ
れを防止する措置を講じるようにすること。
3 ゴンドラ使用者の指導
設置したゴンドラを他の事業者に使用させるときは、安全な使用方法等について通知すること。