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改正履歴
基発第123号
平成5年3月2日
標記については、昭和57年7月28日付け基発第499号「清掃事業における労働災害の防止について」に
示す「清掃事業における安全衛生管理要綱」により、その推進を図ってきたところであるが、労働安全衛
生関係法令の改正、ごみ処理施設における爆発災害の発生等の状況にかんがみ、同要綱を見直し、今般、
別添1のとおり「清掃事業における安全衛生管理要綱」を定めたので、これに基づき、都道府県の環境衛
生主管部局、事業者団体等との連絡協議の場、集団指導、監督指導等を通じて、清掃事業を行う地方公共
団体及びその委託に係る清掃事業者その他関係者に対し、その周知徹底を図り、清掃事業における安全衛
生対策のなお一層の推進に努められたい。
なお、昭和57年7月28日付け基発第499号は廃止する。
おって、この件に関しては、厚生省及び自治省に対して、別添2のとおり、それぞれ要請したので申し
添える。
別添1
清掃事業における安全衛生管理要綱
第1 目的等
1 目的
この要綱は、労働安全衛生関係法令と相まって、安全衛生管理体制の整備、安全衛生教育の実施、
安全衛生作業基準の確立等の積極的な推進により清掃事業における労働者の安全と健康を確保するこ
とを目的とする。
2 事業者等の責務
事業者は、単にこの要綱に定める基準を守るだけでなく、快適な職場環境の形成に努めるものとす
る。
事業者が、労働安全衛生法(以下「法」という。)第15条に規定する「元方事業者」に該当すると
きは、労働安全衛生関係法令に違反しないよう指導等を行うとともに安全衛生に関する必要な情報の
伝達に努めるものとする。
労働者は、労働災害を防止するため必要な事項を守るほか、事業者等が実施する労働災害の防止に
関する措置に協力するよう努めるものとする。
第2 安全衛生管理体制の整備等
1 安全衛生管理体制の整備
(1) 総括安全衛生管理者の選任
常時100人以上の労働者を使用する清掃事業にあっては、法第10条第1項に規定する総括安全
衛生管理者を選任すること。
(2) 安全管理者及び衛生管理者の選任
常時50人以上の労働者を使用する清掃事業にあっては、所定の資格を有する者のうちから法第
11条及び法第12条に規定する安全管理者及び衛生管理者を選任し、その職務を励行させること。
この場合、できるだけごみ処理施設、し尿処理施設等の作業場ごとに選任すること。
(3) 安全衛生推進者の選任
常時10人以上50人未満の労働者を使用する清掃事業にあっては、法第12条の2に規定する安全
衛生推進者を選任し、その職務を励行させること。
この場合、できるだけごみ処理施設、し尿処理施設等の作業場ごとに選任すること。
(4) 産業医の選任
常時50人以上の労働者を使用する清掃事業にあっては、法第13条に規定する産業医を選任し、
その職務を励行させること。
(5) 安全衛生委員会等の設置
常時50人以上の労働者を使用する清掃事業にあっては、法第17条及び第18条(又は第19条)に
規定する安全委員会及び衛生委員会(又は安全衛生委員会)を設置し、月1回以上開催し、所定
の事項を審議させる等その活動の促進を図ること。
なお、上記以外の場合にあっても労働安全衛生規則(以下「安衛則」という。)第23条の2の
規定により安全衛生の委員会、職場懇談会等の関係労働者の意見を聴くための機会を設けるよう
に努めること。
2 保護具等の整備
清掃事業の災害に多く見られるごみの中のガラス、くぎ等により手足を負傷する災害、滑り、つま
ずきによる災害及び物の飛来等による災害を防止するため有効な手袋、安全、保護帽等の保護具を定
期的に点検し安全な状態を保つよう十分整備するほか、[1]破砕機内での作業、焼却灰を取り扱う作
業等粉じんを発散する作業に従事する労働者に使用させる呼吸用保護具、[2]ごみ焼却場における炉
前作業に従事する労働者に使用させる保護眼鏡、保護帽、保護衣等、[3]酸素欠乏危険作業に従事す
る労働者に使用させる空気呼吸器、酸素呼吸器又は送気マスク(以下「空気呼吸器等」という。)、
[4]騒音レベルの高い場所における作業に従事する労働者に使用させる耳その他の保護具等の目的に
応じた適切な保護具及び器具を備え付けること。
3 衛生関係施設の整備
ごみ処理施設、し尿処理施設等の作業場にあっては、
(1) 作業場外に心身の疲労の回復を図るための休憩の設備を設けること。
(2) 常時50人以上又は常時女子30人以上の労働者を使用するときは、労働者がが床することので
きる男女別の休養室又は休養所(安衛則第618条)を設けること。
(3) 食堂(安衛則第629条、630条)を設けること。
(4) 適切な洗面所、うがいの設備、更衣所、洗濯の設備(安衛則第625条)、男女別の便所(安衛則
第628条)、被服の乾燥設備(安衛則第626条)を設けること。
(5) 適当な箇所に救急用具等(安衛則第633条、634条)を備えるとともに適正に管理すること。
(6) 照明(安衛則第604条)及び換気(安衛則第601条)について必要な措置を講ずること。
(7) 夜間に睡眠又は仮眠する必要のあるときは、適当な睡眠又は仮眠の場所(安衛則第616条)を男
女別に設けること。
この場合、休憩室、食堂、更衣所の近くにできるだけ洗面所、うがいの設備、洗濯の設備を設
けるとともに、食堂、休憩室の床等の清掃については、特に留意すること。なお、入浴の設備
(温水シャワーを含む。)を、できるだけ設けること。
4 健康診断の実施
清掃事業に従事している労働者については、雇い入れ時の健康診断及び年1回の定期健康診断を確
実に実施するとともに、特に焼却炉前作業、深夜業を含む業務等安衛則第13条第1項第2号に掲げる
業務に常時従事する労働者に対しては、安衛則第45条第1項に規定する6月以内ごとに1回の定
期健康診断を、また、塩酸等の歯又はその支持組織に有害なガス、蒸気に常時暴露される場合には、
歯科医師による6月以内ごとに1回の定期健康診断を行い、その健康診断の結果に基づく事後措置の
徹底を図ること。
また、自他覚症状の有無の検査には、その者の従事する業務の内容に応じ、重量物の取扱いに伴う
腰痛症に関しての姿勢異常、圧痛点の有無、運動機能検査等を含めること。
以上の結果及びその結果に対する対策について、安全衛生委員会等で審議すること。
5 安全衛生教育の実施
次に示す安全衛生教育を実施すること。また、委託事業者に対しても、当該事業者の雇用する労働
者に同様の安全衛生教育を実施するよう指導すること。
(1) 雇入れ時等の教育
労働者を雇い入れ、又は作業内容を変更したときは、法第59条第1項及び第2項に規定する安
全衛生教育を行うこと。この場合、教育すべき内容については安衛則第35条に規定する事項につ
いて行うこと。
特に、機械式ごみ収集車を使用するごみ収集作業等に就かせる場合においては、昭和62年2月
13日付け基発第60号「機械式ごみ収集車による労働災害の防止対策の強化について」の別添1の
「機械式ごみ収集車に係る安全管理要綱」の7の(1)に示される事項を含むこととし、また、メ
タンその他の可燃性ガスにより爆発火災のおそれがある施設における作業に就かせる場合におい
ては、可燃性ガスの危険性、ガスの漏えい等異常時の措置等に関する事項を含むこととすること。
(2) 特別の教育
危険又は有害な業務に労働者を就かせるときは、法第59条第3項に規定する特別の教育を行う
こと。
(3) 職長教育に準ずる教育
「機械式ごみ収集車に係る安全管理要綱」の7の(2)に示される教育を行うこと。
(4) 能力向上教育等
安全管理者、衛生管理者、安全衛生推進者等の労働災害の防止のための業務に従事する者及び
危険又は有害な業務に現に従事している者に対して、新たな知識や技能が取得できるよう教育を
行うこと。
6 就業制限等
(1) クレーンの運転等法第61条に規定する業務については、適法な資格を有する者以外の者を従事
させないこと。
(2) 酸素欠乏危険作業等法第14条に規定する作業については、適法な資格を有する者のうちから、
作業主任者を選任し、その者に当該作業に従事する労働者の指揮その他の所定の事項を行わせる
こと。
7 定期自主検査等の実施
(1) ボイラー、クレーン、フォークリフト、フォークローダー等については、法第45条に規定する
定期自主検査を行い、その結果を記録しておくこと。なお、クレーン等の補修、点検等に当たっ
ては、墜落等の災害防止に留意すること。
(2) 機械式ごみ収集車については、「機械式ごみ収集車に係る安全管理要綱」の4に示される定期
自主点検(年次点検、月例点検、作業開始前点検)を行い、その結果を記録するとともに、異常
を認めたときには、補修その他必要な措置を講ずること。
(3) 汚水、汚泥等が貯留され、ガス発生のおそれがある施設(以下、「ガス発生施設」という。)
については、配管、バルブ、マンホール等について損傷、変形、腐食等の有無に関して定期的に
点検を行い、その結果を記録するとともに、異常を認めたときには、補修その他必要な措置を講
ずること。
第3 安全衛生作業基準の確立等
労働災害を防止するため、特に次のような事項について、各事業場及び各種作業の実態に応じた安全
衛生作業基準を定め、これを関係労働者に徹底させるよう指導すること。
1 ごみ処理作業等
(1) ごみ収集作業
ごみ収集車、船舶等によるごみの収集及び運搬作業については、あらかじめ作業指揮者を定め
て作業させること。
イ ごみ収集作業における一般的な安全衛生対策
(共通事項)
(イ) 作業前に準備体操をさせること。
(ロ) 履物は、安全その他滑り及び踏抜きを防ぐ安全なものを使用させること。
(ハ) 道路上で、作業を行わせる場合には、「反射チョッキ」を着用させる等により、労働者
を識別しやすいようにすること。
(二) 手袋を使用させること。特に、病原体に感染するおそれのあるごみ等を取り扱う場合に
おいては、不浸透性の手袋等必要な保護具を使用させること。
(ホ) 容器を持ち上げる際は、腰痛防止等に留意し、まず軽く持って重量を量り、自分の力に
余るものは無理に1人で持たず、2人で運ぶようにさせること。
(へ) 容器が汚水等のために滑りやすくなっていないか、手を掛ける箇所が弱くないか、手を
傷つけるようなものがないかを確かめさせること。
(ト) ネギ、バナナの皮等滑りの原因となるもの又はガラス、容器のふた等踏抜き、つまずき
の原因となるものを路上に落としたとき又はそれらが落ちているときには、その都度拾わ
せること。
(チ) ごみ収集車のごみ投入口のステップ、荷台等に乗車して移動することを禁止すること。
(リ) ごみ収集車の排気孔の位置及び排出方向は、ごみ収集車から排気ガスが作業中の労働者
に影響を与えないような位置又は方向とすること。
(ヌ) 飛び乗り又は飛び降りは禁止すること。
(ル) 荷台にごみを過積みさせないこと。
(機械式ごみ収集車以外の車両)
(イ) ごみ収集車の荷台に乗り、又は荷台から降りるためのタラップ又は足掛けを、鳥居側面
その他適当な箇所に設け、荷台に乗り、又は荷台から降りる際には、これを用いさせるこ
と。
(ロ) 修理作業等のため、ごみ収集車の天がいに乗り又は天がいから降りる際は、はしご等を
用いさせること。
(ハ) ごみ収集車の荷台上で容器の受取、積込み作業を行う際には、荷台の中央側に背を向け
て作業させること。
(二) 積込み作業を行う際には、荷台上の者と地上の者に、互いに合図をさせ、呼吸を合わせ
て行わせること。
(機械式ごみ収集車)
(イ) ごみ収集車のごみ投入口にごみを投入する場合において、ごみを入れ過ぎないようにさ
せ、また、ごみを押したり、取り除いたりする必要があるときは、適当な補助具を使用さ
せること。(作動中のホッパー内に身体を入れないこと。)
(ロ) 移動中は、メインスイッチ(P.T.O)を切ること。
(ハ) テールゲート上昇中又は下降中は、テールゲートに近寄らないこと。
(二) 上昇したテールゲートの下には入らないこと。やむを得ず入るときは、安全棒等を使用
すること。
(ホ) テールゲートを上げ、その下に入るときは、運転席において当該テールゲートを降下さ
せるための操作が行われても、当該テールゲートが降下しないようインターロック装置を
使用すること。
ロ ごみの積替え作業
(イ) 保護帽を着用させること。
(ロ) ごみ収集車の荷台の上で誘導することを禁止すること。
(ハ) ごみ収集車の後部ドアを開く際は、まず細めに開け、落下物の有無を確かめてから全開
させること。この際、正面を避け、側面の安全な位置で行わせること。
(二) コンテナ収集車による積替え作業でのコンテナの脱着は、合図の上行わせること。
(ホ) 大型公衆ごみ容器の積替えは、次により行わせること。
a ごみが散乱しないよう、ふたを完全にすること。
b クレーンを用いて積込みを行う場合は、容器をクレーンのフックに確実にかけて行う
こと。
c クレーンを用いて容器のつり上げを行う場合は、容器の下に労働者を立ち入らせない
こと。
(へ) 船舶によるごみの積替えは、次により行わせること。
a 飛び乗り又は飛び降りは禁止すること。
b 滑りやすい履物は使用させないこと。
c ごみの積替えに当たっては、船上の労働者と十分な合図の上行わせること。
d 運転中のクレーン等のバケットに接触するおそれがある箇所に労働者を立ち入らせな
いこと。
ハ ごみ収集作業に起因する交通労働災害の防止対策
(イ) 発車の際には、運転者は他の労働者に合図してから発車させること。
(ロ) ドアの開閉は、車内外の安全を確かめてから行わせること。
(ハ) ドアを開けたままにしてごみ収集車を移動させないこと。
(二) 完全に停車しないうちに、ドアを開けたり、降りたりさせないこと。
(ホ) ごみ収集車のごみ投入口のステップ、荷台等に乗車して移動することを禁止すること。
(再掲)
(へ) 作業中、必要に応じ、作業指揮者に通過車両を監視させ、通過車両の誘導、労働者の退
避等危害を防止するための措置を講ずること。また、表示灯を設ける等の措置を講ずるこ
とにより、ごみ収集車の周辺の通過車両に対して作業中であることを明示すること。
(ト) ごみ収集車の誘導に当たっては次によらせること。
a 誘導の合図は明確に行うこと。
b 運転者からよく見える安全な位置で誘導すること。
(原則として、前進の場合は運転者の反対側、後進の場合は運転者と同じ側とする。)
c 運転者に無断でごみ収集車の直後に立ち入らないこと。
ニ ごみ収集車の運行に起因する交通労働災害の防止対策
(イ) ごみ収集車各部について、始業点検を1日1回、その運行開始前に行わせること。
(ロ) 他の自動車の後ろを進行する際には、必要な車間距離を保たせること。
(ハ) 無理な追抜きや追越しを禁止すること。
(二) 交通量、積荷重量、路面、天候等の状態に適応した速度で運転させること。
(ホ) 駐車又は停車して作業を行う際は、サイドブレーキを完全にかけさせること。特に、坂
道においては、適当な車止めをする等ごみ収集車が移動しないよう必要な措置を講ずるこ
と。
(へ) その他交通関係法令を遵守させること。
ホ 点検、整備等
(イ) ごみ収集車の荷台、テールゲート等を上げて点検、整備等の作業を行う際には、荷台等
の不意の降下を防止するため、安全支柱、安全棒等の確実な支えを行わせること。
(ロ) ごみ収集車の点検又は整備のため、路上で停車するときは昼夜兼用停止表示板等の安全
対策を講じさせること。
(ハ) ごみ収集車のラジエーターのキャップを外す際は、噴出する蒸気、熱湯による火傷を負
うおそれのないように必要な措置を講じさせること。
(二) 工具類は、適正に管理し、正しく使用させること。
(2) ごみ処理施設における作業
イ ごみ処理施設における作業の一般的な安全衛生対策
(ごみ収集車関係)
(イ) ごみ処理施設におけるごみ収集車等の誘導に当たっては、ピット内への転落を防止する
等安全を十分に確保して行わせること。
(ロ) ごみの排出に当たっては、ごみ収集車のピット内への転落を防止するための措置を講ず
るとともに、ごみ収集車を車止め等に打ち当てその衝撃を利用するごみの排出を禁止する
こと。
(ハ) ごみ投入時にダンプしても排出ができない場合には、安全な位置までごみ収集車を移動
させてごみを取り除かせること。この場合、安全棒等の使用により、テールゲートの落下
の防止措置を講じさせること。
(その他)
(イ) 安全その他滑り及び踏み抜きを防ぐ安全な履物を使用させること。
(ロ) 機械の原動機、回転軸、歯車、プーリー、ベルト等の労働者に危険を及ぼすおそれのあ
る部分には覆い、囲い、スリーブ、踏切橋等を設けること。
(ハ) 墜落、転落による災害を防止するため、高さ又は深さが1.5メートルを超える箇所への
昇降設備の設置、高さ2メートル以上の箇所、作業床の端、開口部等への囲い、手すり、
覆いの設置等の必要な措置を講ずること。また、移動はしご又は脚立については安全な構
造のものを使用すること。
(二) 粉じんの発生のおそれがある場合には散水等の措置を講じた上で作業を行うこと。
(ホ) 研削といしについては、覆いを設け、粉じん防止措置を講ずる等の必要な措置を講ずる
こと。
(へ) 屋内作業場等においてアーク溶接等の作業を行う場合には、防じんマスク及び保護眼鏡
を使用させる等の必要な措置を講ずること。
また、溶接棒ホルダーについては、絶縁効力及び耐熱性を有するものを使用させること。
(ト) 自動車のブレーキドラム等からのたい積物除去作業については、真空式石綿除去装置を
用いる方式又は湿式による除去方法によるほか特定化学物質等障害予防規則に定められた
措置を講ずること。
(チ) 硫酸等腐食性液体、病原体に感染するおそれのあるごみ等を取り扱う場合は、必要な保
護具を使用させること。
(リ) 塩化水素、硫酸等を取り扱う設備(バルブ又はコックを除く。)については、腐食しに
くい材料で造り、内張りを施す等の必要な措置を講ずること。また、バルブ又はコックに
ついては、耐久性のある材料のものとすること。
(ヌ) 有害物を使用して行う昆虫駆除、消毒等の作業に当たっては、保護具を使用し、風向き
等に留意する等、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講ずること。
(ル) コンプレッサーは、1年以内ごとに1回、定期自主検査を行い、その結果を記録し、保
存すること。
(ヲ) フォークリフト、ショベルローダー等の車両系荷役運搬機械を用いて作業を行うときは、
あらかじめ作業計画を作成し、周知を図るとともに、作業指揮者を定め、作業の指揮を行
わせること。
(ワ) 労働者の手が巻き込まれるおそれのあるボール盤については、手袋の使用を禁止するこ
と。
(カ) 有機溶剤含有物を用いて行う塗装の業務については、有機溶剤中毒予防規則に定められ
ている措置を講ずること。
(ヨ) 労働者が感電する危険のある電気機械器具の充電部分には、絶縁覆い等を設けること。
ロ 粗大ごみ処理施設
(イ) 破砕機に付属するコンベアーについては、接触予防装置、非常停止スイッチを設置する
とともに、定期的に点検すること。
(ロ) 爆発物及び破裂物の入った容器等については、安全な作業方法により選別し、これらの
ものを破砕機へ投入しないこと。
(ハ) 破砕機等の運転開始に当たっては、人員を点検し、破砕機の内部等に人がいないことを
確認させること。
(二) 破砕機の運転を中断し内部に入る場合には、破砕機の停止の確認を徹底させること。
(ホ) 破砕機等の点検、整備においては、必ず電源を切り、操作盤に点検、整備中である旨を
明示させること。
ハ 焼却施設
(焼却炉関係)
(イ) 炉前等高温となる場所については、毎月2回以上温度を測定し、必要な場合は温度調整
のための適当な措置を講ずること。
(ロ) 焼却炉の灰出しに当たっては、大量の焼却灰の落下による水蒸気爆発の発生を防止する
ための適当な措置を講ずること。
(ハ) 焼却炉内の補修、整備等の作業は適当に冷却した後でなければ行わせないこと。シュー
トに詰まったごみ、灰等の除去作業に直接労働者が従事するときは、炉を冷却する等の措
置を講じ、水蒸気爆発の防止を図ること。
(二) ごみのかくはん等のため炉の扉を開ける場合には、労働者に保護面、保護帽、手袋、安
全、呼吸用保護具等の保護具を使用させること。
(ホ) 炉の扉を開ける際は、まず細目に開け、破裂物の有無を確かめて開けさせること。この
場合、当該作業については、炉の正面を避け側面の安全な位置で行わせること。
(へ) 機械装置の下方又は側方等の狭い場所で点検又は整備等の作業を行う場合は、保護帽を
着用させること。
(付属施設関係)
〔ガス発生施設〕
(イ) 発生するガスの種類、濃度等を定期的に測定し、結果を記録し保存すること。
(ロ) 施設を密閉化し、発生するガスは適正に処理すること。なお、密閉化の困難な施設では
通風、換気等の措置を講ずること。
(ハ) 原則として、電気機械器具については防爆構造にするとともに静電気による火花が発生
するおそれのあるものその他点火源となるものの使用を禁止すること。
(二) 施設内で清掃、修理、改造等の作業を行う場合は、作業を指揮する者を指名し、その者
に作業の指揮に当たらせるとともに、次の措置を講ずること。
a 十分な換気によりガスの除去を行うとともに、作業開始前及び定期的にガスの濃度測
定を行うこと。
b やむを得ず火気等を使用する場合は、爆発火災のおそれのないことを確認するまでは
その使用を禁止すること。
〔ガス発生施設に近接する施設で、ガス発生施設からのガスが漏えいし、かつ、滞留するお
それのある施設〕
(イ) 原則として、電気機械器具については防爆構造にするとともに静電気による火花が発生
するおそれのあるものその他点火源となるものの使用を禁止すること。
(ロ) 施設内で清掃、修理、改造等の作業を行う場合は、作業を指揮する者を指名し、その者
に作業の指揮に当たらせるとともに、次の措置を講ずること。
a 十分な換気によりガスの除去を行うとともに、作業開始前及び定期的にガスの濃度測
定を行うこと。
b やむを得ず火気等を使用する場合は、爆発火災のおそれのないことを確認するまでは
その使用を禁止すること。
2 し尿収集作業
し尿収集作業については、上記1(1)に掲げる事項に準ずるほか、次により行うこと。
(1) ホースの引き出し及び収納の際は、ホースが跳ねないように静かに行わせること。
(2) ホースを引っ張る際は、途中に物品が引っ掛かっていないか確認させること。
(3) ホースを2人で引っ張る際は、互いに合図をさせ、呼吸を合わせて行わせること。
(4) ホースの輪の中に労働者を立ち入らせないこと。
(5) 住宅内に入る際は、作業場所の障害物や犬の有無に十分注意させること。
3 酸素欠乏危険作業
し尿処理施設における投入槽、浄化槽、ばっ気槽等及びごみ処理施設等における槽、ピット等(以下
「タンク等」という。)の内部での清掃及び修理の作業に労働者を従事させる場合には、酸素欠乏症又
は硫化水素中毒による事故を防止するため、次の措置を講ずること。
なお、タンク等の内部での作業が予定されていない場合においても、ホース、ロープ等がタンク等の
内部に落下した場合には、回収のためにタンク等へ立ち入ることがあるので、こうした場合においても、
酸素及び硫化水素濃度の測定等所要の措置が講ぜられるよう、次の措置に準じた措置を講ずること。
(1) 作業開始前に、タンク等の内部の空気中の酸素及び硫化水素濃度の測定を行うこと。この場合、
タンク等の内部の容積、構造等に応じて、必要な測定点を採ること。
なお、作業中であっても空気中の酸素等の濃度が変化し、人体に有害な影響を及ぼすおそれのあ
る場合については同様の測定を行うこと。
(2) タンク等の内部の空気中の酸素濃度を18%以上に、かつ、硫化水素濃度を10ppm以下に保つように
換気すること。ただし、爆発、火災等を防止するため換気することが著しく困難な場合は、労働者
に空気呼吸器等を使用させること。
(3) 労働者が転落するおそれのあるときは、安全帯等を使用させること。
(4) 人員の点呼を行わせること。
(5) 非常時に備えて、タンク等の外部に監視人を配置し、作業の状況を監視させること。
(6) 酸素欠乏危険場所又はこれに隣接する場所については、関係者以外の労働者の立ち入りを禁止し、
かつ、その旨を見やすい箇所に表示すること。
(7) 酸素欠乏症及び硫化水素中毒に係る酸素欠乏危険作業主任者を選任し、その職務を行わせること。
(8) 酸素欠乏危険場所での作業に労働者を従事させるときは、[1]酸素欠乏症等の原因及び症状、[2]
空気呼吸器等の使用方法、[3]事故の場合の退避及び救急そ生の方法等について特別の教育を行う
こと。
(9) 空気呼吸器その他の避難用具を、非常の際に直ちに使用できる状態にして備え付けること。
(10) 硫化水素等が異常に発生するおそれのある沈澱物のかくはん等の作業に当たっては、空気呼吸器
等を使用させること。
(11) 2槽以上のタンク等が連結されている構造のタンク等において換気を行う場合は、労働者が作業
をしている槽から労働者はいない槽へ送気すること。
(12) タンク等の出入口が屋内作業場にある場合は、当該屋内作業場の換気についても留意すること。
(13) 労働者がタンク等の内部に立ち入る場合には、警報装置付きの硫化水素濃度測定器を携行させる
ことが望ましいこと。
(14) 測定機器の保守点検を確実に行うこと。特に測定器のセンサー、電池等の消耗部品の交換は早目
に行うこと。
(15) 以上の措置を講ずべき旨を見やすい箇所に表示すること。
別添2
基発第123号の2
平成5年3月2日
厚生省生活衛生局長
自治省行政局長 殿
労働省労働基準局長
清掃事業における労働災害の防止について
清掃事業における労働災害の防止については、昭和57年7月28日付け基発第499号に示す「清掃事業け
る安全衛生管理要綱」により、その推進を図ってきたところでありますが、その後の労働安全衛生関係法
令の改正、ごみ処理施設における爆発災害の発生等の状況にかんがみ、同要綱を見直し、今般、別添のと
おり「清掃事業における安全衛生管理要綱」を定めたところであります。
つきましては、貴職におかれましても清掃事業を行う地方公共団体及びその委託に係る清掃事業者その
他関係者に対して、同要綱の周知徹底を図られますようお願いします。