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改正履歴
基発第337号の2
平成5年5月27日
標記については、平成5年3月31日付け基発第214号により通達したところであるが、今般別添1のと
おり広報版を作成したので送付する。
また、別添2のとおり下記関係団体に対し協力要請を行ったので了知されたい。
記
建設業労働災害防止協会
(社)日本土木工業協会
(社)全国建設業協会
(社)日本建設業団体連合会
(社)全国クレーン建設業協会
(社)日本鳶工業連合会
全国圧気工業協会
(社)全国中小建築工事業団体連合会
(社)プレストレスト・コンクリート建設業協会
(社)日本基礎建設協会
(社)日本鋼橋塗装専門会
(社)合板仮設安全技術協会
(社)日本鉄道建設業協会
(社)全国中小建設業協会
全日本電気工事業工業組合連合会
全国推進工事業協会
(社)仮設工業会
全国基礎工業協同組合連合会
(社)日本建設機械化協会
(社)日本道路建設業協会
(社)建築業協会
(社)日本電設工業協会
(社)日本海洋開発建設協会
(社)全国建設専門工事業者団体連合会
(社)日本建設躯体工事業団体連合会
(社)日本空調衛生工事業協会
(社)日本建設大工工事業協会
(社)日本左官業組合連合会
(社)日本塗装工業会
(社)日本橋梁建設協会
(社)全日本瓦工事業連盟
(社)日本電力建設業協会
石綿スレート工事業協会
別添1
建設業における総合的労働災害防止対策の推進について
建設業における労働災害の防止については、従来から行政の重点の一つとして種々の施策を推進してき
たところであるが、その後、労働安全衛生法及び関係政省令の数次の改正等により、その対策の充実を図
ってきたところである。
特に、近年の建設業における死亡災害の多発状況に対処するため、平成4年には、
[1] 店社安全衛生管理者制度の創設等中小規模建設工事現場における安全衛生管理体制の充実、
[2] 元方事業者及び注文者の講ずべき措置の充実
[3] 都道府県労働基準局長による計画の届出の審査制度の創設等計画段階における安全衛生確保対策
の充実
[4] 労働災害防止業務従事者及び就業制限業務従事者に対する都道府県労働基準局長による講習の受
講指示制度の創設による労働災害の再発防止対策の充実
を柱とする労働安全衛生法及び関係政省令の一部改正が行われるとともに、建設業店社安全衛生活動活性
化事業等が実施されているところである。
こうした状況を踏まえ、建設業における安全衛生水準の一層の向上を図るため、今後、下記により新た
な建設業における労働災害防止対策を推進する。
記
建設業における労働災害防止対策の基本は、工事現場における自主的安全衛生管理活動を徹底すること
である。このため、以下に示す建設業における労働災害防止対策の基本的考え方及び基本的事項を、建設
業の元方事業者、関係請負人、労働災害防止団体等及び発注者の各段階において浸透し、別紙1「建設業
における労働災害防止活動の系統別実施事項」に揚げる事項の履行を図る。
1 基本的考え方
建設業において発生する労働災害は、休業4日以上の労働災害で全産業の3割、死亡災害で4割を占
めている現状にあるが、これを防止するためには、事業者、労働災害防止団体、関係業界団体、発注機
関及び行政が一体となって、総合的な労働災害防止対策を推進する必要がある。このような観点から、
次に示すところに基本を置いて同対策を推進する。
(1) 事業者においては、労働災害を防止する責務が自らに課せられていることを厳しく認識すること
により、自主的な労働災害防止活動を活性化し、また、定着化を期するため、特に次の事項を推進
することが重要である。
イ 建設業は、極めて多種の専門技術者が同一場所で作業する事業であることから、現場毎に、元
方事業者の統括安全衛生管理の下、元方事業者、関係請負人のそれぞれの役割に応じた自主的労
働災害防止活動を推進する。
ロ 短期間の独立した有期事業が繰り返し行われるという事業の性質上、あらゆる現場での自主的
労働災害防止活動の定着・活性化を図るためには、当該現場を管理する本店、支店、営業所等が
それぞれ各段階において現場への安全衛生指導・援助を的確に行う。
(2) 労働災害防止団体及び関係業界団体においては、業界全体の安全衛生水準の向上を図るため、そ
れぞれの組織が果たす役割及び機能に応じた労働災害防止活動を展開し、傘下会員の事業者の行う
労働災害防止対策に関し、必要な指導、援助を行う。
(3) 発注機関においては、計画段階及び設計監理段階において施工時の安全衛生の確保に配慮した発
注を行うとともに、事業者等が積極的な労働災害防止活動を行うよう必要な指導、援助を行う。
労働基準行政においては、(1)から(3)までに揚げた事項が建設業における労働災害防止を図る
ため重要な事項であるという認識に立ち、労働災害防止団体、関係業界団体及び発注機関がそれぞ
れの役割に応じて的確な活動を行うよう必要な指導・要請を行う。
2 基本的事項
建設業における労働災害を防止するため、次に揚げる事項を推進する。
(1) 工事の計画段階における安全衛生の確保
労働安全衛生法(以下「法」という。)第88条の計画の届出について、仕事の工程、機械設備等
についての安全衛生面からの事前の検討を十分行うための企業内の事前評価体制を確立すること。
また、当該工事の計画作成に参画する有資格者の資質の向上を図るため、セーフティ・アセスメ
ント指針の活用を促進する。加えて、施工中における工法等の大幅な変更に係る安全衛生面からの
検討も十分に行う。
また、施工時の安全衛生の確保については、工期、設計内容等の発注条件が大きな影響を与える
ものであることから、発注者に対して施工時の安全衛生の確保に十分に配慮した発注を行うよう協
力を要請する。
(2) 安全衛生管理体制の整備等
イ 工事現場における安全衛生管理の充実及び体制の整備
工事現場における安全衛生管理が充実したものとなるためには、工事全体を管理する元方事業
者が主導的な役割を果たすとともに、元方事業者及び関係請負人がそれぞれの果たすべき役割に
応じて協力を行い、安全衛生管理を推進することが重要である。
このため、元方事業者においては、統括安全衛生責任者、元方安全衛生管理者等及び店社安全
衛生管理者等の選任、これらの者の責任と権限の明確化及び職務の励行等統括安全衛生管理体制
の確立を図り、[1]安全衛生管理計画の策定による施工と安全衛生管理の一体化、[2]法第30条第
1項各号の事項の実施、[3]関係請負人の労働安全衛生法令違反を防止するための指導及び指示、
[4]土砂崩壊等のおそれのある作業場所における安全確保についての関係請負人に対する指導及
び援助、[5]注文者として設備等を関係請負人の労働者に使用させる場合の適切な措置の実施等
の徹底を図る。
特に、統括安全衛生管理体制が義務付けられていない工事現場のうち一定規模以上のものにつ
いては災害の発生率が高いことから、平成5年3月31日付け基発第209号「中規模建設工事現場
における安全衛生管理の充実について」に基づき、現場における統括安全衛生管理体制、本店、
支店、営業所等における現場に対する指導体制を確立し、安全衛生管理の充実を図る。
工事を直接施工する関係請負人においては、安全衛生推進者の選任等により店社の安全衛生管
理体制を整備し、事業者としての責務を果たすことはもとより、元方事業者との連携を強化し、
統括安全衛生責任者との連絡等安全衛生責任者の職務の徹底を図ること等により元方事業者の講
ずる措置に応じた適切な措置を講ずる。
また、移動式クレーン等を用いる作業に係る仕事の一部を請負人に請負わせて共同して当該作
業を行う場合には、作業内容、指示の系統等についての連絡調整の実施を徹底する。
ロ 本店、支店、営業所等による工事現場に対する指導、支援の充実
工事現場における安全衛生活動は、それぞれの事業者の本店、支店、営業所等における安全衛
生活動に左右されることが多いことから、経営首脳者の安全衛生意識の高揚を図るとともに、安
全衛生管理に関する基本方針を確立し、店社安全衛生管理者等による工事現場に対する指導をは
じめ、点検基準、作業マニュアルの作成等の支援措置を充実する。
(3) 工事用機械設備に係る安全性の確保
イ 適正な方法による機械の使用及び検査等の適正な実施
安全装置が機能しない状態で使用しない等建設用機械等について法令に定められた適正な方法
による作業を行うとともに、定期自主検査、作業開始前点検、修理等の適正な実施を図る。
また、車両系建設機械、移動式クレーン等を用いて作業を行うときは、あらかじめ作業計画の
作成、作業方法の決定を行い、これに基づき作業を行う。
ロ 仮設用設備に係る安全性の確保
足場、型枠支保工等の仮設設備については、計画段階から安全面についての十分な検討を行い、
これに基づき施工を行うことにより適正な構造要件を確保するとともに、施工中においても適宜
点検、整備を励行することによりその安全の確保を徹底する。また、足場、型枠支保工に使用さ
れる仮設機材の経年劣化については、昭和60年2月策定の「経年仮設機材の管理指針」に基づき
適切な管理を行う。
ハ リース業者に係る措置の充実
リース業者が貸与する機械設備については、そのリース業者の責任において当該機械設備の点
検整備等の管理を徹底させるとともに、貸与を受けた事業者においても十分なチェックを行う体
制を整備する。なお、移動式クレーン等をリースする業者であって自らの労働者がリース先の建
設現場において移動式クレーン等を操作するものについては、法第33条第1項の措置とともに、
事業者としてクレーン等安全規則等に定められた措置を講ずる。
ニ 技術基準等の活用
法定基準の遵守はもとより「移動式足場の安全基準に関する技術上の指針」、「可搬型ゴンド
ラの設置の安全基準に関する技術上の指針」その他の工事用機械設備に係る各種技術基準の有効
な活用を図る。
(4) 適正な方法による作業の実施
作業主任者、職長等の直接指揮のもとで適正な方法による作業の実施を確保する。
災害として最も多い墜落災害の防止については、足場の設置等による作業床の確保、開口部等に
ついての手すり、囲いの設置を基本として行う。作業の性格上これが困難な場合には、必ず安全帯
の使用、防網の設置等を行う。
また、土砂崩壊の防止については、掘削箇所及び周辺の地山について十分な調査を行い、その結
果に基づく適切なこう配による掘削を行う。また、地山が崩壊するおそれのある場合には、土止め
支保工の設置等適切な土砂崩壊防止措置を確実に講ずる。
(5) 安全衛生教育等の推進
イ 関係法令、法第19条の2第2項に基づく能力向上教育に関する指針、法第60条の2第2項に基
づく安全衛生教育に関する指針及び平成3年1月21日付基発第39号「安全衛生教育の推進につい
て」をもって示した安全衛生教育推進要綱に基づいた安全衛生教育計画を整備するとともに教育
実施機関に対する指導援助を適切に行う。
ロ 安全衛生教育の実施に関しては、本店、支店、営業所等の段階で安全衛生教育を計画的に実施
する。また、元方事業者においては、関係請負人の行う安全衛生教育に対する指導援助を徹底す
る。さらに、設計、積算、工事監督を担当する者の工事の安全施工に関して配慮すべき事項等に
関する知識の向上を図るため、発注機関における設計・積算及び工事監督担当者に対する工事の
安全施工に関する安全衛生の知識を付与するための教育の実施を促進する。
ハ 元方事業者は、関係請負人が新たに工事現場に就労する労働者に対していわゆる新規入場者教
育を行う場合において、的確な資料、場所の提供等を行う。
なお、この場合、必要に応じ元方事業者自身で新規入場者教育を行う。
ニ 労働災害の再発を防止するため、労働災害防止業務従事者又は就業制限業務従事者に対する労
働災害再発防止講習を推進する。
(6) 職業性疾病予防対策の徹底
建設業における職業性疾病予防対策については、昭和51年3月30日付け基発第291号「自然換気
不十分な場所における内燃機関の使用に伴う一酸化炭素中毒の防止の徹底について」、昭和55年10
月14日付け基発第589号「建設業等における酸素欠乏症等の防止対策の徹底について」、昭和61年
9月6日付け基安発第34号「建築物の解体又は改修の工事における労働者の石綿粉じんへのばく露
防止等について」、平成4年1月1日付け基発第1号「石綿含有建築材料の施工作業における石綿
粉じんばく露防止対策の推進について」、平成5年1月1日付け基発第1号「ガラス繊維及びロッ
クウールの労働衛生に関する指針について」、平成5年3月31日付け基発第203号「振動障害総合
対策要綱の策定について」、平成5年3月31日付け基発第199号「粉じん障害防止総合対策推進運
動の実施について」等に示すところに留意し、労働衛生管理体制の整備を図り、もって職業性疾病
の予防の徹底を図る。
(7) 建設業附属寄宿舎
建設業附属寄宿舎については、安全衛生の確保はもとより寄宿舎に寄宿する労働者の福祉の向上
のため広く住環境の整備を図ること。
(8) 出稼労働者の労働条件確保
出稼労働者の労働条件の確保については、平成3年11月21日付け基発第657号「出稼労働者対策
要綱の改正について」及び同日付け基発第658号「出稼労働者の労働条件確保対策の推進について」
に基づき必要な措置を講ずる。
3 建設工事の種別ごとの労働災害防止の重点事項
建設工事の種別ごとの労働災害防止上の重点事項は別紙2のとおりであり、具体的な労働災害防止対
策の推進に当たっては、これらの徹底を図ることが必要である。
別紙1
別紙2
建設工事に係る労働災害防止上の重点事項
1 ずい道建設工事
(1) 安全衛生管理の充実
工事現場における安全衛生管理の充実を図るため、次に示す措置を講じる。
イ 元方事業者においては、当該現場の規模に応じて統括安全衛生責任者及び元方安全衛生管理者
又は店社安全衛生管理者を選任し、現場における統括管理を充実する。
ロ 技術管理の徹底
ずい道等の建設の作業においては、夜間、休日等で現場において施工を統括管理する技術者が
不在の際に重大な災害が発生している例がみられるため、夜間、休日等においてこれらの技術者
が不在のまま工事が進められていることのないよう、複数の元方安全衛生管理者の選任又はこれ
に準ずる能力を有する技術者の配置を推進する。
ハ ずい道等の掘削作業又はずい道等の覆工の作業を行う場合には、それぞれずい道等の掘削等作
業主任者又はずい道等の覆工作業主任者を選任し、その者の直接指揮により作業を実施する。
(2) 工法別の留意事項
最近5年間のずい道建設工事における死亡災害の原因を項目別に見ると、建設機械等、墜落、自
動車等、倒壊、土砂崩壊等、落盤、クレーン等によるものの順となっているが、工法により災害の
傾向が異なることから、工法別に次に示す措置を講じる。
イ 山岳工法
(イ) 建設機械等による災害の防止
近年の山岳工法(一般に鋼アーチ支保工、ロックボルト、吹付コンクリート等の支保工類
及び覆工コンクリートを用いる工法)によるずい道掘削工事は、ドリルジャンボ、自由断面
掘削機、ドラグ・ショベル等による掘削、トラクター・ショベル等による積込み、ダンプト
ラック等によるずりの積出し等建設機械等の導入による機械化の進展が著しく、作業能率を
大きく向上させているが、反面これらの建設機械等との接触等による災害が跡を絶たない。
このようなことから、掘削、積込み作業時においてこれらの建設機械等と接触のおそれのあ
る場所への立入禁止又は誘導者の配置、運搬機械等の運行経路と歩道の分離等の措置を徹底
する。
(ロ) 落盤、肌落ち等による災害の防止
切羽等における落盤、肌落ち、岩石の崩壊、崩落、土砂崩壊等による災害を防止するため、
浮石の点検を実施するとともに、コンクリート吹付け及びロックボルト施工時における観察
者の配置にも留意する。
ロ シールド工法
(イ) 建設機械等による災害の防止
シールド機械にはさまれる、激突される等の災害が発生しており、点検時の機械の停止措
置、稼働中のシールド前面への立入禁止措置等の接触予防措置を徹底する。
比較的小断面のずい道工事における資材等の運搬方式として軌道方式が採用されることが
多いが、シールド工事において軌道装置に挟まれる等の災害が発生していることから、通路
の確保、回避所の設置等により狭あいな坑内における接触予防措置を徹底する。
(ロ) 墜落災害の防止
発進たて坑において墜落災害が多く発生していることから、開口部の囲い、手すりの設置、
適切な昇降設備等の設置を徹底する。
(ハ) 爆発火災による災害の防止
シールド工法は、近年、都市部でのずい道建設工事において採用されることが多い工法で
あるが、地層によっては堆積した有機物の分解により可燃性ガスが突出しやすくなっている
場合があるため、過去の周辺のずい道工事の施工記録、事前の調査結果等を踏まえ、可燃ガ
スの検出、警報及び換気システム等を含めた施工計画を作成するとともに、これに基づく可
燃性ガスの定期的測定、換気設備の点検整備等を徹底する。また、ガス爆発、火災等の緊急
時の避難、救護及び連絡の体制を確立する。
ハ 推進工法
推進工法によるずい道工事のうち労働者が推進管内に立ち入るものについては、内径80cm以上
のヒューム管、さや管等を使用するよう努める。
また、近年の死亡災害は、ほとんどがたて坑における作業中に発生していることから、墜落防
止措置、土砂崩壊災害防止措置等の徹底を図る。
(3) 職業性疾病の防止等
イ じん肺の予防
(イ) ずい道建設工事においては、掘削に伴う土石の粉じんの発散、又はコンクリート吹き付け
に伴うコンクリート等の粉じんの発散により労働者の健康を害するおそれがあるので、粉じ
んの発散を防止するための湿式工法及び湿式吹付け機の採用、換気装置の設置等により作業
環境の改善措置を講じること。
なお、上記の措置をとってもなお不十分な場合は、呼吸用保護具の着用を徹底する。
(ロ) 粉じん作業従事労働者に対するじん肺健康診断を励行し、産業医等による保健指導も含め
た適正な健康管理を行う。
ロ 酸素欠乏症の防止
上層に不透水層がある砂れき層のうち含水若しくは湧水がなく、又は少ない地層、第1鉄塩類
又は第1マンガン塩類を含有している地層等酸素欠乏危険場所に該当する地層に接し、又は通ず
るたて坑、ずい道等の掘削工事については、酸素濃度の測定及び換気を実施するとともに、酸素
欠乏危険作業主任者の選任と職務の励行、保護具及び救護用具の備付け、特別の教育の実施等酸
素欠乏症防止措置を講じる。
ハ 一酸化炭素中毒の防止
通気の不十分な場所において内燃機関を用いた照明用発電装置、掘削機械等を使用する場合に
は、適切な換気の実施、保護具の着用等一酸化炭素中毒防止措置を徹底する。
ニ 振動障害の防止
さく岩機等振動工具を良好な状態で使用するため、振動工具管理責任者を選任させ、振動工具
の点検整備を行う。
また、関係請負人が、いわゆる新規入場者教育を労働者に行うに当たっては、振動障害の防止
に係る教育を併せて実施する。
さらに、適切な作業管理、健康管理を積極的に推進する。
ホ 高気圧障害の防止
圧気シールド工法等圧気工法を採用する場合は、高気圧障害を防止するため、高圧室内作業主
任者を選任し、職務を適正に遂行させるとともに、作業時間及び減圧時間の適正な管理を行わせ
る。圧気シールド及び附属設備の保守点検を励行する。
さらに、高圧室内業務従事労働者に対する高気圧業務健康診断を励行するとともに、病者の就
業禁止を徹底する等、適正な健康管理を行う。
(4) その他の留意事項
イ ダンプトラックによる坑外でのずり運搬作業において路肩から転落する災害が発生しているこ
とから、ずり運搬路等を新設する場合においては、必要な幅員の確保、舗装の実施等運搬機械等
による災害を防止するための措置の充実を図る。
ロ 建設工事の作業に熟練していない者を雇い入れる場合には、特に雇入れ時の教育を徹底すると
ともに、これらの労働者の適正配置及びこれらの労働者を指揮する職長等の教育について十分配
慮する。
ハ 山岳ずい道工事従事者については、建設労働手帳制度の周知徹底に留意する。
2 橋梁建設工事
(1) 安全衛生管理の充実
工事現場における安全衛生管理の充実を図るため、次に示す措置を講じる。
イ 元方事業者においては、当該現場の規模に応じて統括安全衛生責任者及び元方安全衛生管理者
又は店社安全衛生管理者を選任し、現場における統括管理を充実すること。
ロ 平成6年10月1日以降は、橋桁の架設等の作業を行う場合には、橋の種類に応じて鋼橋架設
等作業主任者又はコンクリート橋架設等作業主任者を選任し、その者の直接指揮により作業を実
施すること。
ハ 適切な作業計画の作成
鋼橋及びコンクリート橋の上部構造の架設等の作業において橋桁の落下等の重大な災害が発生
していることから、当該作業を行う場合の適正な作業計画を作成すること。
(2) 災害防止対策の重点事項
最近5年間の橋梁建設工事における死亡災害の原因を項目別に見ると、墜落によるものが半数強
を占め、以下クレーン等、自動車等、飛来・落下、建設機械等、倒壊、土砂崩壊等によるものとな
っており、特に次の措置を講じる。
イ 墜落による災害の防止
つり橋、高架橋等の建設の作業において、型枠又は足場の組立中、足場上での運搬作業中等で
の墜落による災害が依然として跡を絶っていない。このため、足場等の仮設設備の点検・整備の
励行、防網及び親綱の設置、安全帯の使用の徹底を図る。また、橋脚上等の橋梁自体からの墜落
も多発しており、防網の設置及び親綱の設置等安全帯の取付け位置を確保した上での安全帯の使
用等の徹底を図ること。
ロ クレーン等に係る災害の防止
橋梁建設の作業において移動式クレーンを使用して部材等の運搬作業中に荷が振れ、又は荷が
落下することによる災害が多く発生している。このようなことから、つり荷の下及び上部旋回体
の旋回範囲内への立入禁止措置を徹底すること。また、このため移動式クレーンを用いての作業
を行う者の各々の間の連絡調整を十分行う。また、定格荷重を超えた荷のつり上げ、地盤の不同
沈下による転倒災害も続発しているので、移動式クレーンに係る適切な作業方法の決定及びそれ
による作業の実施、地盤の強化等の措置を徹底する。
ハ 型枠支保工の倒壊による災害の防止
コンクリート橋建設工事においてコンクリートの打設作業中等に型枠支保工が倒壊したことに
よる災害が発生しており、型枠支保工の設計に当たっては水平荷重についての十分な検討を実施
するとともに、部材の接合方法等を示した適切な組立図による施工の実施及び型枠支保工の組立
て等作業主任者の選任及びその者の直接指揮による作業の実施により適正な構造要件を確保する。
ニ 高気圧障害の防止
圧気潜函工法を採用する場合には、当該作業における高気圧障害を防止するため、前記1の(3)
ホに記載した事項のほか、潜函及び附属設備の保守点検を励行する。
3 道路建設工事
(1) 安全衛生管理の充実
工事現場における安全衛生管理の充実を図るため、次に示す措置を講じる。
イ 掘削及び土止め支保工の組立て作業については、作業主任者の直接指揮による作業の実施を徹
底すること。また、掘削箇所及びその周辺の地山についての地質及び地層の状態、含水及び湧水
の状態等を観察する者並びに土止め支保工の設置状態、掘削用機械等の整備状態、照明の状態等
を点検する者を定めて、その職務を十分に行わせること。なお、観察・点検の結果、施工計画を
変更する必要が生じた場合には、発注者の協力のもとに早期にその計画を変更する等危害防止措
置を講じること。
ロ この種の工事においては、工事現場における教育の実施に困難な面がみられるので、元方事業
者が推進主体となり、発注機関及び関係団体の協力を得て、計画的に実施するとともに、関係請
負人においても積極的に労働者を教育のための講習会等に参加させること。
(2) 災害防止対策の重点事項
最近5年間の道路建設工事における死亡災害の原因を項目別に見ると、建設機械等、自動車等、
墜落、土砂崩壊、クレーン等によるものの順となっており、次の措置を講じる。
イ 建設機械等による災害の防止
路肩、法面からの転落によるものが建設機械等による死亡災害の3割以上を占めており、[1]
運行経路の路肩の崩壊防止、[2]地盤の不同沈下の防止、[3]必要な幅員の保持、[4]路肩、傾斜
地等で作業を行う際の誘導者の配置等の措置を徹底すること。また、運転を誤ったために路肩を
越え転落したと思われる災害も跡を絶っていないことから、事業者においては、車両系建設機械
の運転業務従事者に対する労働安全衛生法第60条の2に基づく安全衛生教育の計画的受講を行う。
建設機械を用いての作業中に、作業半径内で作業中の労働者がバケット等の作業装置に挟まれ
る、激突される、あるいは後退中の建設機械にひかれるといった災害も多発していることから、
作業半径内の立入禁止、誘導者の配置等の措置を徹底する。
ロ 自動車等による災害の防止
道路建設工事における自動車等による災害は、作業場内において発生したもの、通行中の一般
車が作業場内に入ってきて発生したもの、一般公道での交通事故にほぼ3分されている。このた
め作業場内においては、貨物自動車の運行経路と歩道との完全な分離、掘削した土砂の積込み時
の誘導者の配置の徹底を図る。また、特に道路の補修工事等においては、工事に関係のない車の
作業場内への進入を防ぐための警戒標識、案内、バリケードの設置を徹底する。
ハ 墜落災害の防止
掘削に先立ち木の伐採作業等を斜面上で行っていた労働者が転落する、あるいは路肩を通行中
に谷へ転落する等の災害が多く発生している。斜面での作業においては、作業方法の決定及び周
知徹底を図るほか、こう配が40度以上の斜面上で作業を行う場合は、安全な作業床の設置又は防
網の設置、安全帯の使用等により墜落による危険を防止する。また、適切な通路の決定及びその
周知徹底を図ること。なお、通路については、墜落、転落のおそれのある箇所については、でき
るだけ手すり等を設置する。
ニ 土砂崩壊災害の防止
地山の掘削作用においては、事前の調査の結果に応じた適切なこう配による掘削の実施又は土
止め支保工の設置を徹底する。なお、点検者を指名し、浮石及びき裂の有無及び状態並びに含水
及び凍結の状態の変化の点検を徹底する。
特に、道路復旧工事は土砂崩壊のおそれのある箇所での工事が多いことから、そのおそれがあ
る場合にはあらかじめ傾斜計の設置等により土砂崩壊の予知に努める。
ホ 振動障害の防止
タイタンパー等振動工具の使用による振動障害を防止するため、前記1の(3)ニに記載した措
置を講じる。
4 小規模の上下水道等の建設工事
(1) 安全衛生管理の充実
工事現場における安全衛生管理の充実を図るため前記3の(1)に記載した措置を講じる。
(2) 災害防止対策の重点事項
最近5年間の上下水道工事における死亡災害の原因をみると、土砂崩壊によるものがその3割以
上を占めているほか、以下、建設機械等、自動車等、墜落、飛来・落下、クレーン等によるものの
順となっており、次の措置を講じる。
イ 土砂崩壊災害の防止
(イ) 溝掘削作業における掘削面は、当該作業中の掘削面の崩壊等の危険性を考慮して、その深
さが1.5m以上となる場合には、地山の状態に応じ適切な土止め支保工を設ける。
なお、土止め支保工の組立て、解体の作業のほか、ごく短時間の作業についても、ブレー
ドシールド工法の採用、油圧式の矢板と切りばりがセットされた簡易土止め支保工の設置等
により、労働者が土砂崩壊による危害を受けるおそれのない作業方法を検討する。
(ロ) 掘削面のこう配間又は土止め支保工については、埋立地等の軟弱な地盤、降雨等による地
盤の軟弱化、掘削用機械、自動車等による振動、積み上げた土砂、資材等の荷重等に対して、
十分安全であるように設計し、施工すること
(ハ) 点検者を指名し、浮石、き裂の有無及び状態並びに含水、凍結の状態の変化の点検を徹底
する。
(ニ) 多量の降雨等悪天候時には作業を中止する。
ロ 建設機械等による災害の防止
(イ) 狭い公道上等で掘削機械を利用して溝掘削作業を行っている場合には、公道を通る自動車
や構築物等と当該掘削機械との間に労働者が挟まれる災害を防止するために、掘削用機械の
旋回範囲内への立入りを禁止する等具体的措置を講じる。
(ロ) 掘削機械を用いての掘削作業の一環として土砂崩壊による危険を少なくするために一時的
に土止め用矢板、ヒューム管等のつり上げ作業を行う場合には、適切なつり上げ用の器具の
取付け、合図者の指名及びその者による合図の実施等労働安全衛生規則(以下「安衛則」と
いう)第164条の規定を遵守しての作業を徹底する。
ハ 自動車等による災害の防止
自動車等による災害防止を図るため、前記3の(2)ロに記載した措置を講じる。
5 土地整理土木工事
(1) 災害防止対策の重点事項
土地整理土木工事においては、建設機械等による災害が4割以上を占め、以下自動車等、土砂崩
壊による災害が多く発生していることから、これらの災害を防止するため、特に次の措置を講じる。
イ 建設機械等を用いての作業の際の作業半径内の立入禁止、誘導者の配置
ロ 運搬機械等の運行経路と歩道との完全な分離、積込み時の誘導者の配置
ハ 事前調査結果に応じた適切なこう配による掘削の実施又は土止め支保工の設置
6 河川土木工事
(1) 災害防止対策の重点事項
河川土木工事においては、建設機械等による災害が約3割を占め、以下墜落、自動車等、土砂崩
壊による災害が多く発生していることから、これらの災害を防止するため、特に次の措置を講じる。
イ 建設機械等を用いての作業の際の作業半径内の立入禁止、誘導者の配置
ロ 安全な作業床の設置又は防網及び安全帯の使用並びに適切な通路の決定及び周知徹底
ハ 運搬機械等の運行経路と歩道との完全な分離、積込み時の誘導者の配置
ニ 事前調査結果に応じた適切なこう配による掘削の実施又は土止め支保工の設置
7 砂防工事
(1) 災害防止対策の重点事項
砂防工事においては、墜落、土砂崩壊及び建設機械等による災害がそれぞれ約2割を占めている
等の状況にあることから、これらの災害を防止するため、特に次の措置を講じる。
イ 安全な作業床の設置又は防網及び安全帯の使用並びに適切な通路の決定及び周知徹底
ロ 事前調査結果に応じた適切なこう配による掘削の実施又は土止め支保工の設置
ハ 建設機械等を用いての作業の際の作業半径内の立入禁止、誘導者の配置
ニ 運搬機械等の運行経路と歩道との完全な分離、積込み時の誘導者の配置
8 鉄骨・鉄筋コンクリート造家屋建築工事
(1) 安全衛生管理の充実
工事現場における安全衛生管理の充実を図るために次に示す措置を講じる。
イ 工事現場には多くの職種の関係請負人が入場して作業を行うことから、元方事業者においては、
当該現場の規模に応じて統括安全衛生責任者、元方安全衛生管理者又は店社安全衛生管理者を選
任させる等により現場における統括管理を充実する。
ロ 掘削作業、鉄骨の組立ての作業、型枠支保工の組立ての作業等については、十分な経験を有す
る作業主任者の直接指揮による作業の実施を徹底する。
ハ 新規入場者教育については、新たに現場に就労する関係請負人の労働者に対して現場全体の状
況、現場内の危険箇所についての周知を確実に行う。
(2) 災害防止対策の重点事項
最近5年間の鉄骨・鉄筋コンクリート造家屋建築工事における死亡災害の原因を見ると、墜落に
よるものが6割強を占めており、以下自動車等、飛来・落下、建設機械等、倒壊、クレーン等によ
るものとなっている。また、有機溶剤等による中毒も多く発生しており、建築材料に用いられる石
綿についても石綿粉じんの吸入が問題となっている。このようなことから、施工の各段階を通じて
使用されるクレーン等については、次のイに記載する措置を、施工の各段階においては、次のロか
らホに記載する措置を講じる。
イ クレーン等による災害の防止
杭工事等においては、基礎杭のつり上げ、移動等の作業を移動式クレーンが基礎工事用建設機
械を補助して行うが、この際には地盤の状態を事前に把握した上で地盤の強化を行う等地盤の状
況に応じた必要な転倒防止措置を講じる。
クレーンによる鉄骨等の運搬作業時においては、飛来落下災害が多発していることから、クレ
ーンを用いての作業を行う者各々の間の連絡調整を十分に行わせることにより、つり荷の下の立
入禁止措置を徹底する。
また、移動式クレーンを用いて作業を行う場合は、搬入された荷をおろす等の短時間作業にお
いても鉄板の敷設、アウトリガーの最大張出し等の転倒防止措置を徹底するとともに、適切な作
業方法の決定及びそれによる作業の実施を徹底する。
ロ 土工事、杭工事等
土工事、杭工事等においては、狭あいな敷地内で掘削用建設機械等と労働者がふくそうして作
業を行うことによる挟まれ、激突災害や地盤が軟弱なことにより基礎工事用建設機械が転倒する
ことによる災害が発生している。このようなことから、掘削作業半径内の立入禁止措置の徹底、
基礎工事用建設機械を使用して仕事を行う関係請負人に対する元方事業者による転倒防止のため
の技術上の指導及び地盤強化、鉄板の提供等の援助を徹底する。
ハ 躯体工事
(イ) 墜落による災害の防止
鉄骨の組立て作業中に梁上から墜落する災害が多発していることから、つり足場の設置又
は安全帯の使用、防網の設置を徹底する。
また、型枠支保工の組立てあるいは解体作業中に足場から墜落する災害も跡を絶っていな
いことから、当該足場における作業床端部の手すりの設置又は安全帯の使用、防網の設置を
徹底する。
さらに、足場の組立てあるいは解体作業中の墜落災害も多く発生していることから、当該
作業においては安全帯の使用を徹底する。
(ロ) 型枠支保工の倒壊等による災害の防止
鉄骨・鉄筋コンクリート造家屋建築工事においてコンクリートの打設作業中に型枠支保工
等が崩壊したことによる重大な災害が発生している。このようなことから、設計に当たって
は水平荷重についての十分な検討を実施するとともに、部材の接合方法等を示した適切な組
立図による施工の実施並びに型枠支保工組立て等作業主任者の選任及びその者の直接指揮に
よる作業の実施により適正な構造要件を確保する。
ニ 仕上工事
(イ) 墜落による災害の防止
内部仕上工事における開口部等からの墜落を防止するため、元方事業者は、現場で新たに
作業を行う関係請負人に対して開口部の所在箇所を確実に通知する。
また、いわゆる「うま」を、足がかりとして使用しない。
(ロ) 有機溶剤中毒の防止
防水・塗装工事において有機溶剤中毒が多発していることから、十分な労働衛生教育を実
施するとともに、適切な換気の実施、呼吸用保護具の使用及び有機溶剤作業主任者の選任を
徹底する。
(ハ) 木材加工用機械による災害の防止
木材加工用機械による災害を防止するため、平成5年3月25日付け基発第180号に示す
「木材加工用機械災害防止対策推進運動実施要綱」に基づく、対策を徹底する。
ホ その他の工事
(イ) 石綿及び石綿代替品による健康障害の防止
石綿含有の建築材料及びガラス繊維、ロックウール含有の建築材料を用い作業を行う場合
においては、保護具の使用等粉じん暴露等の防止対策を徹底する。
(ロ) 一酸化炭素中毒の防止
地下防火水槽工事等において、コンクリート養生に用いる練炭等から発生する一酸化炭素
による中毒を防止するため、養生後水槽等の内部へ立ち入る際の換気、濃度測定等必要な措
置を徹底する。
9 木造家屋、軽量鉄骨造家屋建築工事
(1) 災害防止対策の重点事項
木材家屋建築工事等小規模建築工事においては、墜落、木材加工用機械、飛来落下による災害が
多発していることから、これらの災害を防止するため、特に次の措置を講じる。
イ 適切な足場の設置、建方時の作業床の設置及び作業床の設置が困難な場合における防網、親綱
の設置、安全帯の使用
ロ 保護帽の着用
ハ 木材加工用機械の安全の確保
(2) 重点事項の推進に当たって留意すべき事項
イ 作業主任者
軒の高さが5m以上の木造建築物の構造部材の組立て等の作業については、木造建築物の組立
て等作業主任者技能講習を修了した者のうちから作業主任者を選任し、その直接指揮のもとに作
業を行う。
また、鉄骨造等の家屋の骨組であって、その高さが5m以上となるものの組立て等の作業につ
いては、鉄骨の組立て等作業主任者技能講習を修了した者(平成6年10月1日以降は、建物等の
鉄骨の組立て等作業主任者技能講習を修了したもの)のうちから作業主任者を選任し、その直接
指揮のもとに作業を行う。
ロ 足場、安全な作業床の確保等
高所作業における墜落災害を防止するため次により安衛則第518条第1項又は第519条第1項に
規定する安全な作業床を確保するとともに、作業床の確保が困難な場合には、防網を張り、労働
者に安全帯を使用させる等の措置を講じる。
(イ) 外部足場については、本足場等の安全な作業床を確保することができる足場を使用するこ
とが基本であるが、木造家屋建築工事現場においてスペースの制約がある場合においてはブ
ラケット一側足場を使用するなど工事現場に応じた適切な足場を設置する。
(ロ) 建方時の安全を確保するため、建方の手順に合わせて作業床を順次確保する。
(ハ) 足場組立て時の安全を確保するため、足場の建地は屋根の軒の高さから1m程度上に出し、
屋根上に手すり及び滑り止めを設けること。
足場の設置に当たっては、同時に昇降階段を設け、必要に応じてシートを設ける。
ハ 親綱の設置及び安全帯の使用
屋根こう配が6/10以上又は6/10未満であっても滑りやすい下地(合板下地等)上において屋根
作業を行う場合は、屋根足場を設置することとするが、やむを得ない場合は親綱を設置し、安全
帯を使用する。
ニ 内装等の作業時の安全の確保
内装等の作業については、二階床の施工を先行させる等労働者が可能な限り安全な作業床の上
で作業を行うことができるよう施工法、作業方法等の改善に努める。
ホ 木材加工用機械による危険の防止
木材加工用機械による危険の防止については、前記8の(2)ニ(ハ)に記載する実施要綱に基づ
く対策を徹底する。
ヘ 感電災害の防止
屋根上の作業で作業者が架空電線に接触し、又は接近することにより感電の危険が生ずるおそ
れがあるときは、電力会社との密接な連携のもとに安衛則第349条に定める措置を確実に行う。
ト 有機溶剤中毒の予防
浴室、階段室、ドライエリア等の防水・塗装工事において有機溶剤中毒が多発していることか
ら、十分な労働衛生教育を実施するとともに、適切な換気の実施、呼吸用保護具の使用及び有機
溶剤作業主任者の選任を徹底する。
10 電気・通信工事
(1) 安全衛生管理の充実
イ 事業場内における安全衛生管理体制を確立するとともに、選任した安全管理者又は安全衛生推
進者に作業現場を巡視させる等により現場の作業の安全化を図る。
ロ 高圧・特別高圧電気取扱作業者に対する特別教育の実施その他の安全衛生教育を計画的に実施
する。
(2) 災害防止対策の重点事項
電線等の電気・通信設備の設置作業において墜落災害が多発していること及び電力用ケーブル敷
設等の作業において感電災害が多発していることから、これらの災害を防止するため、特に次の措
置を講じる。
イ 活線作業又は活線接近作業を行う場合における絶縁用保護具等の着用等
ロ 高所作業における安全な作業床の設置又は安全帯の使用
ハ 高所作業車を使用する場合における作業指揮者の指名及び当該高所作業車の転倒防止
11 機械器具設置工事
(1) 安全衛生管理の充実
事業場内における安全衛生管理体制を確立するとともに、選任した安全管理者又は安全衛生推進
者に作業現場を巡視させるなどにより現場の作業の安全化を図る。
(2) 災害防止対策の重点事項
機械器具設置工事においては、墜落災害が多発していることから安衛則第518条第1項又は第519
条第1項に規定する安全な作業床の確保を基本とし、脚立、移動はしご等の器具の使用はできるだ
け避ける。
別添2
基発第337号
平成5年5月27日
各団体の長 殿
労働省労働基準局長
建設業における総合的労働災害防止対策の推進について
貴協会におかれましては、平素より労働安全衛生の推進に積極的にお取組みを賜り厚く御礼申し上げま
す。
さて、労働省では今般建設工事現場における安全衛生管理のより一層の充実を図るため、別添のとおり
「建設業における総合的労働災害防止対策の推進について」を定めたところです。
つきましては、貴協会におかれましても本対策の趣旨を十分御理解頂き、傘下会員事業場に対し格別の
御指導を賜りますようお願い致します。