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改正履歴
内翰
平成5年4月1日
地域産業保健センター事業については、平成5年4月1日付け基発第225号「地域産業保健センター事
業について」により、通達されたところであるが、地域産業保健センター事業の運営にあたっては、下記
の点に留意するとともに、郡市区医師会等関係団体に対して周知されたい。
記
1 地域産業保健センターの整備概要
(1) 整備計画
平成5年度においては、都道府県毎に1箇所ずつ設置する。
平成6年度以降は、初年度の実施状況、社会情勢等を見て全国展開を考慮しつつ、順次整備する。
(2) 実施機関
イ 都道府県労働基準局が郡市区医師会と委託契約を結ぶものとすること。
ロ 設置場所は、原則として、地域産業保健センター事業の実施機関である郡市区医師会の事務所
に開設すること。
ハ 地域産業保健センターの名称は、○○地域産業保健センターという名称を使用すること。
(3) 担当区域
労働基準監督署の管轄区域に複数の郡市区医師会が存在する場合等には、受託医師会以外の郡市
区医師会の協力を得て、地域産業保健センターが活動できる体制を整備すること。なお、郡市区医
師会との協議の上、郡市区医師会の区域を優先して担当区域を設定しても差し支えないこと。
2 地域産業保健センターの業務内容
(1) 健康相談窓口の開催
イ 相談対象者
大規模事業場の関係者から、相談が寄せられた場合には、その事業場で選任されている産業医
に相談すべきことを促すが、事情によっては適宜対応しても差し支えないこと。
ロ 相談対応者
利用状況に応じて、医師の指示の下に保健婦のみが対応することも差し支えないこと。
また、健康相談窓口開設日以外に、労働者から健康相談を希望する旨の申し出があった場合に
は、事業計画の範囲内で、適宜対応することが望ましいこと。
ハ 相談内容
具体的な相談内容の例としては、健康診断結果に基づいた健康管理、成人病の予防方法、病後
における作業との関わり合い、日常生活における健康保持増進の方法等が考えられること。
ニ 開設方法
定期的とは、週に1回程度を原則とするが、地域ニーズを踏まえ、必ずしも、これによらない
ことがあっても差し支えないこと。
ホ 開設場所
相談窓口の開設に際しては、相談者のプライバシーが保持されるよう会議室等を確保すること。
利用しやすい場所とは、地域産業保健センターの事務所の他に、次の場所が考えられること。
(イ) 工業団地
(ロ) 流通団地
(ハ) 労働基準協会
(ニ) 業種別企業組合
(ホ) 労働災害防止団体
(ヘ) 構内下請を有する親企業
(ト) 商工会議所、商工会
(2) 個別訪問産業保健指導の実施
イ 対象事業場
地域産業保健センターによる訪問指導を希望する事業場を募るにあたっては、説明会等の場を
活用するとともに、労働基準協会、業種別企業組合、労働災害防止団体、商工会議所等の協力を
得ることが効果的であると考えられること。
なお、訪問指導を希望する事業場については、予め地域産業保健センターに登録すること。
ロ 事前調査
コーディネーターが、訪問指導を希望する事業場から当該事業場における業務内容、作業内容、
作業環境測定実施状況、健康診断実施状況等の労働衛生管理に関する情報を収集し、別添1「産
業保健活動記録票」に可能な範囲で情報を記入すること。なお、産業保健活動記録票は、地域産
業保健センターで独自に定めて差し支えないこと。
ハ 内容
(イ) 医師は、個別訪問産業保健指導時に作業場の巡視を行い、改善が必要な場合には助言を行
うとともに、労働者から寄せられる健康診断の結果評価等の健康問題に関する相談には積極
的に応じること。
(ロ) 有害業務がある場合には、特殊健康診断結果の事後措置の状況を確認し、当該業務従事者
の作業環境状況を把握した上で健康指導を行うこと。
(ハ) 医師の指示の下に、保健婦が個別訪問産業保健指導に対応しても差し支えないこと。
(ニ) 医師及び保健婦は、個別訪問産業保健指導後、別添1「産業保健活動記録票」に活動状況
を記入すること。産業保健活動記録票は、地域産業保健センターで独自に定めて差し支えな
いこと。
また、産業保健活動記録票は5年間保管すること。
(ホ) 個別訪問産業保健指導の交通手段としては公共交通機関を使用するものであること。
(3) 産業保健情報の提供
イ 医師の名簿
日本医師会認定産業医及び産業医となることを希望する医師の名簿を作成し、産業医となる適
当な医師を確保できないために、産業医を選任できない事業者に対して提供すること。
ロ 労働衛生機関等の名簿
事業場からの依頼を受けて、地域産業保健センターの担当区域内で、健康診断、作業環境測定
等を実施することが可能な医療機関及び労働衛生機関の名簿を作成し、閲覧に供すること。
なお、健康診断機関名簿は、労働省が委託している社団法人全国労働衛生団体連合会の総合精
度管理事業、または日本医師会の臨床検査精度管理調査事業等に参加している健康診断機関につ
いて作成することが望ましい。
ハ 労働衛生コンサルタントの名簿
事業場からの依頼を受けて、地域産業保健センターの担当区域内で、事業場の衛生についての
診断及び指導を行うことが可能な労働衛生コンサルタントの名簿を作成し、閲覧に供すること。
なお、労働衛生コンサルタントの名簿は、社団法人労働安全衛生コンサルタント会と連携を図
り作成すること。
(4) 地域産業保健センター運営協議会の開催
イ 会長
会長は、原則として、地域産業保健センター事業を実施する郡市区医師会の長とすること。
ロ 構成員
協議会の構成員は、地域産業保健センターに関係する労働基準監督署長、郡市区医師会長、事
業者団体代表者等とすること。
(5) 説明会の開催
イ 準備
コーディネーターが中心となって、説明会開催のための資料作成、会場確保等の準備を進める
こと。
ロ 対象
担当地域内の事業者、衛生推進者のほか、労働基準協会、社会保険労務士会、労働安全衛生コ
ンサルタント会、労働衛生機関、労働保険事務組合等の担当者を対象とすること。
ハ 時期
説明会の開催にあたっては、労働基準協会、労働災害防止団体等が既に実施している地方産業
安全衛生大会等の開催時期、内容等を十分に考慮すること。
平成5年度においては、地域産業保健センターの業務等を広報するために、年度当初に説明会
を開催すること。また、平成6年度以降にあっては、全国労働衛生週間、全国労働衛生週間準備
期間、職場における健康診断推進運動の期間等に併せて実施すること。
ニ 内容
(イ) 地域産業保健センターの業務の概要
(ロ) 地域産業保健センターへの事業場の登録の勧奨
(ハ) 事業場における労働衛生管理等のあり方
ホ 広報
地域産業保健センターの業務概要の説明においては、事業者に対して登録事業場となることの
メリット、例えば、労働者の健康を確保するための産業保健サービスが無料で受けられること、
労働衛生向上のために積極的に取り組んでいることを宣伝できること、企業のイメージアップに
つながること等を広報すること。
3 地域産業保健センターの業務従事者
(1) 医師
地域産業保健センターの業務に従事する医師は、日本医師会認定産業医、社団法人日本産業衛生
学会の指導医・専門医、労働衛生コンサルタントである医師等であることが望ましいこと。
また、医師の指示の下に、地域産業保健センターの業務を行う保健婦は、労働衛生に関する知見
を有する保健婦が望ましいが、衛生管理者の免許を有する看護婦でも差し支えないこと。
(2) コーディネーター
コーディネーターは、地域の産業保健事情に詳しく、かつ、地域産業保健センターが円滑に運営
されるように、労働基準監督署、各種事業者団体、労働衛生機関等との連絡調整を図れる者が望ま
しいこと。
4 事業報告
地域産業保健センターは、事業実績の状況を別添2「地域産業保健センター事業実績報告書」により、
毎年4月10日までに都道府県労働基準局長に報告すること。
5 その他
(1) 連携
地域産業保健センターの業務の推進にあたっては、常時、十分に都道府県労働基準局、労働基準
監督署、都道府県医師会及び関係郡市区医師会との連携を図ること。
(2) 守秘業務
医師、保健婦及びコーディネーターは、地域産業保健センターの業務に従事することにより知り
得た秘密を厳守すること。