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建築工事等におけるコンクリート打設中の型わく支保工等の崩壊防止に関する
安全総点検について

改正履歴


  労働災害防止については、従来からその徹底を図ってきたところであるが、2月14日、神奈川県大和市
の海上自衛隊厚木航空基地内の体育館・プールの建築工事現場において、二階床部分のコンクリート打設
中に当該部分が崩壊し、7名が死亡、13名が負傷するという重大災害が発生した。
  現在、所轄の局署及び本省において災害原因の究明と再発防止対策について鋭意、調査検討中であるが、
事態の重大性にかんがみ、標記のことについて別紙により関係業界団体に対し要請を行ったところである。
  ついては、局所においても関係事業場において総点検が的確に行われるよう指導を行い、再発防止の徹
底を図られたい。

別紙

基発  第  61  号  
平成4年2月19日  

建設業労働災害防止協会  あて
(社)日本建設業団体連合会社  あて
(社)建築業協会社  あて
(社)全国建設業協会  あて

建築工事等におけるコンクリート打設中の型わく
支保工等の崩壊防止に関する安全総点検について

  労働災害の防止については、死亡災害の撲滅をめざして種々の対策を推進しているところでありますが、
2月14日、神奈川県大和市の海上自衛隊厚木航空基地内の体育館・プールの建築工事現場において二階床
部分のコンクリート打設中に、当該部分が崩壊し、7名が死亡、13名が負傷する重大災害が発生したこと
は、誠に遺憾に堪えないところであり、労働省においては、災害原因の究明と再発防止対策の樹立のため、
鋭意調査検討を進めているところであります。
  ついては、貴団体におかれては、会員企業に対し、下記事項に重点をおいた建築工事等におけるコンク
リート打設中の型わく支保工の崩壊防止に関する安全総点検の実施、点検の結果問題のあった事項につい
ての確実な改善についてさらに徹底されるよう要請します。

記
1  工事の計画段階における安全の確保
  (1)  型わく支保工の計画についての社内での十分な事前審査の実施
  (2)  建造物の構造、階高、柱間隔、コンクリート打設量等を考慮した最適な型わく支保工の選定
  (3)  型わく及び型わく支保工の各部材の強度並びに型わく支保工全体の安定性についての十分な検討
2  工事の施工段階における安全の確保
  (1)  型わく支保工の組立等作業主任者の職務の確実な実施
  (2)  敷角の使用、根がらみの取付け等型わく支保工の支柱の沈下、滑動を防止するための措置の確実
      な実施
  (3)  型わく及び型わく支保工の各部材相互の確実な連結の実施
  (4)  斜材、水平つなぎの取り付け及び堅固な構造物への連結等による型わく支保工の倒壊を防止する
      ための措置の確実な実施
  (5)  型わくの浮きあがり又は型わく支保工への局部的な荷重の集中が生じることのないようなコンク
      リートの打設方法の検討
  (6)  コンクリート打設作業の開始前の型わく及び型わく支保工の点検の実施
  (7)  型わく又は型わく支保工に異常が認められた場合の作業中止等適切な措置の実施
3  その他
    建設現場等で使用されたことのある型わく支保工の部材等(経年仮設機材)の適切な管理の実施

(参考)

海上自衛隊厚木基地内の体育館・プール新築工事における重大災害について

1  発生日時  平成4年2月14日(金)午後1時45分頃
2  発生場所  神奈川県大和市海上自衛隊厚木航空基地内
3  事業場名  (株)錢高組(株)佐伯建設共同企業体
4  工事名称  厚木(2)体育館・プール新設等建築その他工事
5  工      期  平成3年3月21日〜平成4年10月20日
6  発  注  者  横浜防衛施設局(横浜市中区山下町41−3)
7  工事概要等
  (1)  海上自衛隊厚木基地内の体育館・プール新築工事
        鉄骨・鉄筋コンクリート造(1階  プール、2階  体育館)、建築面積2,444.731m2、延床面積
        4,344.541m2、建物軒高13.95m、最高高さ18.2m
  (2)  請負金額  810,053,800円
8  被      害    死亡  7名  負傷13名
9  発生状況
  [1]  当日の午前中はコンクリートポンプ車2台で各大梁の深さ半分位を打設し、続いて大梁Y9〜Y11
      の間の打設を行った。
  [2]  昼食後、午後1時から引き続いて大梁Y8〜Y9間のコンクリート打設を開始した。
  [3]  午後のコンクリート打設を開始してまもなく、午後1時30分頃大梁Y8〜Y9の間にかかっていた
      鉄筋トラス(床に埋め込む鉄筋部材)のうち、東側から10本目あたりの1本が落下した。
  [4]  このことを現場から連絡を受けた現場所長が点検をしていたところ、午後1時45分頃に大梁Y6〜
      Y10とともに2階床面が崩壊した。
  [5]  このため、1階で点検作業等を行っていた所長、作業員のうち7名が崩れ落ちた鉄骨、コンクリ
      ートなどの下敷となって死亡した。
        また、2階及び1階で作業を行っていた作業員のうち、13名が負傷した。
10  労働省の対応
  (1)  2月14日
    [1]  事故発生後、神奈川労働基準局は、直ちに局に対策本部及び署に現地調査本部を設置し、調査
        等を行った。
    [2]  本省からは、直ちに担当係官2名を派遣した。
  (2)  2月15日
    [1]  産業安全研究所より所長、土木建築部長他2名を派遣した。
    [2]  午前9時30分より警察と合同で実況見分を行った(局、署、本省)。
          現地局署では、引き続き災害調査を実施している。
  (3)  2月17日
    [1]  労働大臣、労働基準局長、安全衛生部長が現場を視察した。
    [2]  厚木基地内事故特別技術調査チーム(チームリーダー木下産業安全研究所長)の設置

(図)