試験施設に関する安衛法GLP上の主要な問題点の送付について |
改正履歴
標記について、別添のとおり関係団体の長に対し通知したので、了知されたい。
事務連絡
平成4年2月10日
別添
日本化学工業協会長 殿
(社)日本化学工業品輸入協会長 殿
化成品工業協会長 殿
農薬工業会長 殿
日本製薬団体連合会長 殿
(社)日本化学物質安全・情報センター会長 殿
変異原性試験連絡協議会事務局長 殿
化学物質等安全性試験受託研究機関協議会長 殿
労働省労働基準局安全衛生部
化 学 物 質 調 査 課 長
試験施設に関する安衛法GLP上の主要な問題点の送付について
労働衛生行政の推進につきましては、平素より御協力をいただき、厚くお礼申し上げます。
さて、標記については、平成2年7月9日付け事務連絡により、周知方お願いしたところであるが、そ
の後安衛法GLPの適合性の評価を受けた施設についてのものを、別紙のとおり取りまとめましたので御
了知の上、傘下会員に周知下さいますようお願いいたします。
別紙
試験施設における安衛法GLP(昭和63年労働省告示第76号
(以下「告示第76号」という。))上の主要な問題点
1 組織(告示第76号第2章;第3条から第7条)
[1] 試験施設の組織について、運営管理者と試験責任者の間に位置する者のGLP上の位置付けが不
明確である。
[2] 試験責任者に信頼性保証責任者の上司が指名されており、試験責任者と信頼性保証責任者とのG
LP上の関係が不適切である。
[3] 資料保管責任者として、試験施設の属する法人の職員以外の者が指名されている。
[4] 信頼性保証責任者により主計画表の写しが保有されていない。
[5] 試験が終了してから最終報告書が作成されるまでに長時間が経過している。
2 施設及び設備(告示第76号第3章第8条及び第9条)
(1) 施設
[1] 試験を実施するための施設の外の廊下に高圧蒸気滅菌器、超低温槽等が配置されている。
[2] コロニー数の計測のための機器と微生物の生育阻害の状態の確認のための機器が異なった場所
に配置されている。
[3] 試験を実施するための施設の非常口の管理が不十分である。
[4] 被験物質及び陽性対照物質を秤量する施設に局所排気装置等が設けられていない。
[5] 試験を実施するための施設において、実際に試験を行う部屋と前室との間での空気の流れが不
適切である。
(2) 設備
[1] pHメータ、懸濁用超音波洗浄器、分光光度計、高圧蒸気滅菌器、一般試薬の秤量用の天秤等
が専用でなく、他の試験と共用して使用されている。
[2] 恒温培養器について、試験用とプレートの保温用とが区別されていない。
[3] 微生物の生育阻害の状態の確認に光学顕微鏡が使用されており、実体顕微鏡が使用されていな
い。
[4] 実体顕微鏡について、十分な倍率のものが使用されていない。
[5] 懸濁用超音波洗浄器が設置されていない。
[6] クリーンベンチ内の照明に黄色灯が使用されていない。
[7] 前培養に用いる恒温振とう培養槽にタイマーが取り付けられていない。
[8] 前培養とプレインキュベーションとで同一の恒温振とう培養槽が使用されており、作業が煩雑
になっている。
[9] 前培養後の微生物の濃度の算定に精度の不十分な機器が使用されており、分光光度計又は濁度
計が使用されていない。
[10] エチレンオキサイドにより滅菌されたミリポアフィルターが使用されている。
[11] 炭酸ガスインキュベーターについて、十分な精度を有するものが使用されていない。
(3) 整備点検
[1] 局所排気装置の整備点検が不十分である。
[2] 実体顕微鏡について、光軸がずれている等整備が不十分である。
[3] 冷蔵庫について、定期的な温度の確認が行われていない。
3 標準操作手順書等(告示第76号第4章及び第5章の一部;第10条から第12条及び第14条)
[1] 試験計画書、最終報告書等について、被験物質ごとに作成されていない。
[2] 標準操作手順書について、試験の結果判定に関する部分等記載が不適切なところがある。
[3] 揮発性の高い物質の取扱いの基準等について、標準操作手順書で定められていない。
[4] コロニー数の計測において、自動コロニーカウンターによる場合と手カウントによる場合との区
分けの基準について、標準操作手順書で定められていない。
[5] データの異常値の評価基準について、標準操作手順書で定められていない。
[6] 設備の点検整備について、標準操作手順書で定められていない。
4 試験の実施(告示第76号第5章の一部;第13条)
(1) 試験の方法
[1] 被験物質について、安定性等の情報の入手が不十分である。
[2] 被験物質の各用量ごとの試験、陰性対照試験及び陽性対照試験において、それぞれプレートが
一枚しか使用されていない。
[3] 再現性を確認するための試験において、陽性対照試験が行われていない。
[4] 被験物質の調製用の溶媒について、購入したびんのまま使用されており、分注されたものが使
用されていない。
[5] 微生物を用いる変異原性試験において、被験物質溶液にS9Mix等を加える操作とそれらに
菌懸濁液を加える操作とが連続的に行われていない。
[6] 濁度と微生物の生菌数の相関曲線が求められておらず、試験ごとには、前培養後の菌懸濁液の
微生物の濃度が算定されていない。
[7] コロニー数の計測の一連の操作を行った後に微生物の生育阻害の状態の確認が行われており、
操作の順序が逆である。
[8] プレート法において、各試験官にトップアガーの添加の前までの一連の操作が行われその後、
試験管ごとにトップアガーの添加及びプレーティングの操作が行われており、試験管間での時間
差が生じている。
[9] 微生物を用いる変異原性試験において、前培養に用いるシリコ栓の滅菌の方法が不適切である。
[10] 培養細胞を用いる染色体異常試験における細胞の観察において、ダブルブラインド方法が取ら
れていない。
(2) 生データ
[1] 生データが鉛筆により記録されている。
[2] 生データにデータを記録した者の署名がない。
[3] 生データのデータの訂正に当たって、訂正の理由及びその日付の記載等がなされていない。
5 記録等の保管(告示第76号第6章;第15条及び第16条)
生データのうちコロニー数の計測に係るもの以外のものが保管されていない。