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船舶の修理作業における爆発火災防止対策の徹底について

改正履歴


(社)日本造船工業会  会長殿
(社)日本中型造船工業会  会長殿
(社)日本小型船舶工業会  会長殿
(社)日本造船協力事業者団体連合会  会長殿

  船舶の修理作業においては、これまでも幾度となく爆発火災等による重篤な労働災害が発生し、労働省
としてはその都度貴会をはじめ関係団体等に対し再発防止対策の確立を要請してきたところであります。
  しかしながら、既にご承知のとおり、本年2月、日本鋼管(株)鶴見製作所修繕船部浅野船渠において、
インド船籍貨物船の修理作業中、機関室内における爆発火災により、死亡者12名を含む合計23名が被災す
るという重大災害の発生をみたことは誠に遺憾に耐えないところであります。
  労働省では、本件災害の重大性に鑑み、特別調査団(団長  平野敏右東京大学工学部教授)を設置し、
現地調査をはじめとして災害原因の究明と同種災害の再発防止対策の検討を行ってまいりましたが、今般、
その調査結果が別添のとおり取りまとめられたところであります。
  つきましては、貴会におかれましては、下記の点に留意のうえ各事業場の実態に応じた適切な爆発火災
防止対策を講ずるよう、傘下の事業者に対し周知指導方徹底されたく要請致します。
  なお、標記については、船主の関係団体に対しても別紙により要請していることを申し添えます。

記
1.安全面に配慮した工程計画の策定と適正な工期の設定
    本船側との事前の打合せ、船内の点検等に基づき安全面に配慮した工程計画を策定し、工程計画に応
  じた適正な工期を設定すること。
    なお工程計画は、修理工事のみに限らず修理工事に伴う準備作業等を含めた作業全般にわたるものと
  すること。
2.危険物等の管理と火気作業の制限
    危険物等の管理については、次の事項を実施することによりその徹底を期すること。また、火気作業
  については、管理・監督者の許可制とし、危険物等による爆発火災の危険性のないことを確認するまで
  は、火気等の着火源となるものの使用を禁止すること。
  (1)  本船側との事前の打合せ等により、船内の危険物、可燃性の粉じん、火薬類、多量の可燃性の物、
      スラッジその他爆発・火災のおそれのある物(以下「危険物等」という。)の有無、危険物が存在
      する場合には、その種類、性状、量、存在場所等を把握すること。
  (2)  危険物等の存在するおそれのある場所及び火気使用場所においては、工事着手前にガス検知等に
      より、危険物等の有無について確認すること。危険物等がタンク、配管等の設備の内部に存在する
      場合には、当該設備の管理状況も併せて確認すること。
  (3)  前記(2)の結果、危険物等の存在が確認された場合には、確実に除去するとともに、除去のための
      作業に伴って発生する油等の浸染したウェス等火災の原因となるものは適切に処理すること。また、
      危険物等が設備の内部にあり除去することが困難な場合で、当該設備の付近で火気使用作業を行う
      場合には、本船側との連携を密にして、漏れ等の防止のための措置を確実に講ずるとともに、ガス
      検知等により漏れのないことを確認すること。なお、ガス検知は、火気使用作業中は定期的に行う
      こと。
3.避難・救助のための措置
    避難及び救助が有効に実施されるよう次の措置を講ずるとともに、平素から関係者に対する教育・訓
  練を行うこと。外国船等で作業者が船内の状況に不馴れな場合にはこの点に特に留意すること。
  (1)  警報等の整備
        爆発・火災等の緊急時に、船内及び船外の関係者が緊急事態の発生を容易に知ることができるよ
      う警報時を定め、緊急時に直ちに対応できるよう、通報体制を整備すること。
  (2)  避難用通路の確保と表示
        火気使用作業が行われる修理工事においては、船の構造に応じ適切な避難用経路を定めること。
      船の構造等により、適切な避難用経路の確保が困難な場合には、仮設の通路等の設備により確保す
      ること。
        また、避難用経路には、その旨が容易にわかるよう誘導標識等を設け、これらの標識等は、船内
      の照明が消えた場合においても、有効なものとすること。
  (3)  避難用器具の備え付け
        緊急時に直ちに使用できるよう、携帯用照明器具、呼吸用保護具等の避難用器具を、必要な数、
      必要な場所に備えつけること。
  (4)  避難救助体制の整備
        緊急時における初期消火活動、避難誘導等の避難援助活動を行うため組織を整備すること。
4.安全衛生教育の充実
    災害の予防と災害発生時に適切に対処し、被害を最小限に抑えるため、下請の作業者はじめ関係者に
  対する安全衛生教育を入構時、入構後定期に、また作業前等の機会ごとに計画的に実施すること。また、
  教育の内容としては、次のものを含むとすること。
  [1]安全衛生管理体制
  [2]作業の指揮・連絡体制
  [3]危険物等の爆発火災危険性とその適切な取扱方法
  [4]危険物等の管理と火気等の使用制限
  [5]避難用経路等船内の状況と避難方法
  [6]避難用器具の備え付けの状況と適正な使用方法
5.安全管理体制の整備
    船舶の修理作業においては、船ごとに船内の状況や工事内容が異なる場合が多いことから、災害防止
  対策の効果的な実施のため、船ごとの安全管理に重点を置いた安全管理体制を整備し、作業の指示・指
  揮及び連絡調整の徹底を図ること。

船舶の修理作業における爆発火災防止対策の徹底について

平元.10.3  基発第536号の2

(社)日本船主協会  会長殿
外国船舶協会  会長殿
外船代理店協会  会長殿

  労働省におきましては、かねてより造船業における労働災害の防止について種々対策を講じてまいりま
したが、既に御承知のとおり、本年2月、インド船籍貨物船の修理作業中、機関室内における爆発火災に
より、死亡者12名を含む合計23名(うちインド人船員  死亡2名を含む9名)が被災するという重大災害
の発生をみたことは誠に遺憾に耐えないところであります。
  労働省では、本件災害の重大性に鑑み、特別調査団(団長  平野敏右東京大学工業部教授)を設置し、
現地調査をはじめとして災害原因の究明と同種災害の再発防止対策の検討を行ってまいりましたが、今般、
この調査結果が別添のとおり取りまとめられたところであります。
  つきましては、貴会におかれましては、傘下の会員に対し、船舶の修理工事の発注に際し下記の点に留
意のうえ当該工事の安全の確保のため、工事の施工側と十分な連携が図られるよう周知指導方徹底された
く要請致します。
  なお、標記のことについては、造船業の関係団体に対しても別紙により要請していることを申し添えま
す。

記

1.適切な工期の設定について
    工期の設定については、施工側の策定する安全面に配慮した工程計画に応じた適切な期間となるよう
  配慮すること。
2.危険物等の管理について
    船内の積荷の状況、タンク内、配管内等の内容物の残存状況及びこれら施設の破損等の管理状況、船
  内特に機関室内の清掃の状況等を把握することにより、危険物、可燃性の粉じん、火薬類、多量の可燃
  性の物、スラッジその他爆発火災のおそれのある物(以下「危険物等」という。)の有無、危険物が存
  在する場合には、その種類、量、存在場所等を確認し、その結果を工事着手前に施工側に連絡すること。
3.工事の安全施工のための協力について
    船内の点検、工事用足場及び避難用経路の確保、危険物等が内部に残存する施設の管理等工事の安全
  施工のため施工側の行う措置に関する協力要請に対しては、適切に対応すること。
    また、今回の災害に鑑み、避難用経路の状況については、事前に施工側に対し周知することとし、特
  に外国船については、その徹底に留意すること。