プレス機械又はシャーの安全装置構造規格の施行について
(平成23年2月18日 基発0218第3号により廃止)
基 発 第 628 号
昭和53年11月14日
プレス機械又はシャーの安全装置構造規格の施行について
プレス機械又はシヤーの安全装置構造規格の全部を改正する告示は、昭和53年9月21日に労働省告示第
102号として公布され、昭和53年11月1日から適用されることになった。
今回の改正は、プレス機械又はシヤーの安全装置構造規格(昭和47年9月30日労働省告示第78号)の規制
内容を、先に制定された動力プレス機械構造規格(昭和52年労働省告示第116号)に対応させるとともに、
プレス機械及びシャーとこれらの安全装置との相互の関連、とくに、適正な安全装置の選定、取付け等の
諸点を重視し、同規格を全面的に整備したものである。
ついては今回の規格改正の趣旨を十分理解し、関係者への周知徹底を図るとともに、特に下記事項に留
意の上、これが運用に遺憾のないようにされたい。
記
第1 主要な改正点
(1) 鋼材の調質方法を改め、かつ、表面硬さ値の範囲を縮少したこと。(第3条)
(2) プレス等の安全装置に使用する全てのワイヤロープについての要件を定めたこと。(第4条)
(3) リレー、リミットスイッチその他の主要な電気部品についての要件を定めたこと。(第6条)
(4) プレス等の安全装置であって電気回路を有するものに、作動可能の状態を示すランプ等を備え付け
ることを定めるとともに、電気回路等の故障に対処するため要件を定めたこと。(第7条、第9条)
(5) 切替えスイッチの要件を定めたこと。(第12条)
(6) ガード式安全装置の要件を定めたこと。(第13条、第14条)
(7) 両手操作式安全装置の要件を追加したこと。(第16条)
(8) 光線式安全装置の最大防護高さ、光軸相互の間隔等を改めるとともに投光器に白熱電球を使用する
ものとそれ以外のものについて受光器の性能を定めたこと。(第20条、第22条)
(9) 手引き式安全装置の手引きひものひき量についての規定を追加するとともに手引き式安全装置のリ
ストバンドの要件を定めたこと。(第23条、第25条)
(10) 手払い式安全装置の手払い棒に付ける防護板の大きさ及び手払い棒の振幅について定めたこと。
(第27条)
(11) 表示内容に製造番号、安全装置の性能に関する事項等を追加したこと。(第29条)
第2 細部関係
1 第1条関係
(1) 第1号に該当する機能を有する安全装置には、ガード式安全装置があること。
(2) 第1号の「押さえ」とは、金属シャーにあっては板押さえをいうこと。
(3) 第2号の「スライド等を作動させるための押しボタン又は操作レバーから離れた手が危険限界に
達するまでの間にスライド等の作動を停止することができ」る機能を有する安全装置には、フリク
ションクラッチ式のプレス等に取り付ける両手操作式安全装置があること。
(4) 第3号に該当する機能を有する安全装置には、光線式安全装置があること。
(5) 第1号、第2号及び第3号の「作動中」とは、動力プレスによる加工が、スライド等の下降中に行
われる下降式のものにあってはスライド等の下降中を、スライド等の上昇中に行われる上昇式のも
のにあってはスライド等の上昇中をそれぞれ示すものであること。
(6) 第4号に該当する機能を有する安全装置には、手引き式安全装置及び手払い式安全装置があるこ
と。
(7) 第4号の「スライドの作動等」の「等」には、刃物又は押さえの作動が含まれること。
2 第2条関係
本条の「その他の主要な機械部品」には、取り付けボルト等が含まれること。
3 第4条関係
日本工業規格G3525(ワイヤロープ)に該当するワイヤロープは、当分の間、第1号の「これと同等
以上の機械的性質を有するもの」として認めて差し支えないこと。
4 第7条関係
(1) 本条の「作動可能の状態を示すランプ等」の「等」には、機械的なマーク表示方法が含まれるこ
と。
(2) 本条の「故障を示すランプ等」の「等」には、警報器が含まれること。
5 第8条関係
(1) 本条の「トランジスター等」の「等」には、コンデンサー、低抗器等が含まれること。
(2) 本条の「防振措置」とは、緩衝材を使用する等の措置をいうこと。
6 第9条関係
(1) 本条の「停電等」の「等」には、電圧降下が含まれること。
(2) 本条の「スライド等が不意に作動するおそれのないもの」とは故障等が生じた場合にこれを検出
して、警報を出し、又はスライド等を停止させる機能を有するものをいうこと。
7 第11条関係
(1) 本条の「外部電線」とは、投光器と受光器との間を接続する電線等安全装置の外部導線に用いる
電線をいうこと。
(2) 本条の「同等以上の絶縁効力、耐油性、強度及び耐久性を有するもの」には、金属電線管又は金
属製可とう電線管に納められたものが含まれること。
8 第12条関係
(1) 第2号の「確実に保持されるもの」には、クリップストップ式のものが含まれること。
(2) 第3号の「明示」は、日本文字を使用するなど作業者がその状態を容易に判断できる方法により
行うこと。
9 第13条関係
第2項の「作動中」とは、1の(5)と同様であること。
10 第15条関係
本条の「一行程一停止機構」とは、押しボタン等を押し続けてもスライドが一行程て停止し、再起
動しない機構をいうこと。
11 第16条関係
(1) 第1号は、押しボタン等の片方を押した状態又は片方を無効にした状態で操作することができない
ことを規定したものであること。
(2) 第1号の「両手で同時に」とは、押しボタン等にタッチする時間の同時性をいうものてあること。
(3) 両手操作式安全装置は、本来第2号に規定するようにこれ自体ブレーキ等の停止装置を有するも
のでなければならないが、現状から見て当分の間、プレス等の停止機構を利用するものについても
安全装置として認めて差し支えないこと。
(4) 第2号の「作動中」とは、1の(5)と同様であること。
12 第17条関係
本条は両手押しボタン等が次の図に示すように、押しボタンの内側において300mm以上離れていな
ければならないことを規定したものであること。
13 第18条関係
本条の「表面から突出していない」とは、次の図に示す状態をいうこと。
なお、次の図のように押しボタンの周囲にボタンの高さ以上の高さを有する保護リングを取り付けた
ものも、これと同等とみなされること。
14 第19条関係
光線式安全装置は、本来これ自体ブレーキ等の停止装置を有するものでなければならないが、現状
から見て当分の間、プレス等の停止機構を利用するものについても安全装置として認めて差し支えな
いこと。
15 第20条関係
(1) 第1項の「スライドの調節量」とは、スライドを調節し得る最大の長さをいうこと。
(2) 第1項の「全長にわたり有効」と第2項の「光軸の数は2以上」とにより、防護範囲の上限と下限
には、それぞれ光軸を1つずつ配置することとなるものであること。
(3) 第2項で、光軸の数は2以上であり光軸相互の間隔は50mm以下と規定し、また第1項で、光線の防
護範囲の限度を400mmとしていることから、光軸の数は下表に示す数以上とすること。
16 第21条関係
第2項は、投光器等の光軸とシヤーの危険限界との水平距離が270mmを超える場合には、作業者の
手が当該光軸をさえぎることなく上方から危険限界に接近することが可能となるため、当該光軸と
刃物との間にさらに1以上の光軸を設けるべきことを規定したものであること。
17 第22条関係
第2項は、図示のように光軸より50mm以上離れたいかなる位置においても受光器が感応しないこと
を定めていること。
18 第25条関係
第1号の「皮革等」の「等」には、人造皮革が含まれること。
19 第27条関係
(1) 第1項の「作動中」とは、1の(5)と同様であること。
(2) 第3項の「振幅」とは、次の図に示す値をいうこと。
20 第29条関係
(1) 第1項第5号イ〜ニの表示については、それぞれ次の用語を用いて差し支えないこと。
イ及びハについては「遅動時間(Te)」
ロについては「所要最大時間(Tm)」
ニについては「急停止時間(Ts)」
(2) 第1項第5号ホの表示は、
安全一行程式安全装置及び光線式安全装置については
D=1.6(Te+Ts)
の関係式において、DとTsとの関係を次のようなグラフで表示することとしても差し支えないも
のであること。
また、両手起動式安全装置については
D=1.6Tm
の関係においても、Dと毎分ストローク数との関係を次のようなグラフで表示することとしても
差し支えないものであること。