特定業務に係る健康管理のための手帳による健康診断について |
改正履歴
従来、労働基準法(昭和22年法律第49号。以下「労基法」という。)の施行の日以降において、一定の
有害業務に従事し離職した労働者に対しては、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。以下「安衛法」と
いう。)第67条により健康管理手帳を交付し、定期的に健康診断を実施し、健康管理の徹底を期している
ところであるが、今般、労基法の施行の日前において一定の有害業務に従事し、離職した労働者で、労基
法の施行の日以降は当該業務に従事していない者に対して定期的に健康診断を行うことにより、疾病の早
期発見を図り健康管理に万全を期すること、及びこれらの長期間の経過後に発病するいわゆる遅発性の疾
病についての発生のメカニズム等に関する資料を得、今後の職業性疾病の予防に資するため、別添「特定
業務に係る健康管理のための手帳による健康診断実施要綱」(以下「要綱」という。)を定め、健康診断
を行うこととしたので、下記事項に留意のうえ、これが実施に遺憾なきを期せられたい。
記
1 交付対象
要綱2の特定業務に係る健康管理のための手帳(以下「手帳」という。)の交付対象は、現行の安衛
法第67条の健康管理手帳の交付対象業務及び従事期間と同一範囲であり、その従事した期間のすべてが
労基法の施行の日前の者であること。なお、当該交付対象業務に従事した後他の業務に配置替えされる
などして、労基法施行後に当該事業場を離職した者も含むものであること。
2 健康診断の内容
要綱3の手帳の所持者に対する健康診断の内容は、具体的には昭和47年9月30日付け基発第653号
(改正昭和50年2月10日付け基発第70号、昭和51年2月17日付け基発第196号及び昭和53年5月19日
付け基発第283号)別添「健康管理手帳所持者に対する健康診断実施要綱」の1であること。
3 実施機関
要綱4の委託医療機関との契約等については、次によること。
(1) 都道府県労働基準局長が要綱2の健康診断の実施を委託する医療機関(以下「委託医療機関」とい
う。)は、次の要件を満たすものでなければならないこと。
イ 当該健康診断に関し専門的知識および経験を有する医師が充員されており、当該医師がその健康
診断の実施に当たること。
ロ 臨床検査技師、衛生検査技師等当該健康診断に係る検査業務を円滑に遂行するために必要な者が
充員されていること。
ハ 当該健康診断の実施に必要な設備が整備されていること。
(2) 都道府県労働基準局長は、前(1)の要件を満たす医療機関のうちから、すぐれた診断機能を有し、
かつ従来の活動や実績からみて管内における労働衛生行政の増進に十分な理解を有し、健康診断の実
施に積極的な協力が得られる機関を委託医療機関として選定するものとすること。
(3) 委託する医療機関の数は、手帳を所持する者の住所、利用できる交通機関等を考慮し、その者が日
帰りで健康診断を受診することができるように配意して、必要な数とすることを原則とすること。
なお、手帳交付対象業務に従事した者または従事している労働者に対する健康診断を行っている事
業場附設の医療機関についても、委託医療機関として選定してさしつかえないものであること。
(4) 都道府県労働基準局長と医療機関との委託契約は、別紙1の契約書により行うものとすること。
(5) 別紙1の契約書第3条の規定に基づき都道府県労働基準局長の定めるべき事項は、別紙2のとおり
とすること。
(6) 前記(1)の要件を満たすか否かの判定等をはじめ、委託医療機関の選定に当たっては、都道府県医
師会の意見を十分に聞くものとすること。
(7) 医療機関と委託契約を締結したときは、遅滞なく当該機関名、代表者氏名、所在地、実施する健康
診断の種類、当該健康診断を担当する医師の氏名その他について、本省あて報告すること。
4 申請手続
要綱5の(2)の「2の要件に該当する事実を証する書類」とは、原則として事業者の照明をいうが、
事業者が現存しない等これが得られない場合には、本人において記述した申立て書及び誓約書等でも足
りるものであること。
5 手帳の交付
(1) 要綱6の手帳に伴う事務処理については、昭和47年11月29日付け基発第762号<略>別紙3の1の
健康管理手帳、健康管理手帳台帳及び交付簿の作成の欄に準ずるものとする。この場合、同通達の様
式第3号中「健康管理手帳台帳」を「特定業務に係る健康管理のための手帳台帳」と読み替え、本通
達の様式第1号とし、同通達の様式第4号中「健康管理手帳交付簿」を「特定業務に係る健康管理の
ための手帳交付簿」と読み替え、本通達の様式第2号とする。
(2) 都道府県労働基準局長は、手帳を交付するときは、申請者に対し、要綱3の健康診断を受けること
を勧告するものとする。
(3) 都道府県労働基準局長は、(3)の勧告をするときは、手帳の交付を受ける者に対し、その者が受け
る健康診断の回数、方法その他当該健康診断を受けることについて必要な事項を通知するものとする。
6 手帳の書替え及び再交付
要綱9の(1)及び(2)の手帳の書替え及び再交付の手続については、昭和47年11月29日付け基発第762
号別紙3の2書替えの手続及び3の再交付の手続に準ずるものとする。
この場合において「健康管理手帳」は「特定業務に係る健康管理のための手帳」と「健康管理手帳書
替申請書(安衛則様式第10号)」は「特定業務に係る健康管理のための手帳書替申請書(要綱別紙様式
2)」と、「健康管理手帳再交付申請書(安衛則様式第10号)」は「特定業務に係る健康管理のための
手帳再交付申請書(要綱別紙様式2)」と読み替えるものとする。
7 費用の支払
要綱10の委託医療機関に対する健康診断費用の支払い手続は昭和47年11月29日付け基発第762号記の
4に準ずるものとする。この場合において「健康管理手帳」は「特定業務に係る健康管理のための手帳」
と、「健康管理手帳台帳」は「特定業務に係る健康管理のための手帳台帳」と読み替えるものとする。
又、同通達の別紙様式第1号「健康管理手帳所持者に係る健康診断費請求書」は「特定業務に係る健康
管理のための手帳所持者に係る健康診断費請求書」と読み替え本通達の様式第3号とし、同通達の別紙
様式第2号「健康管理手帳所持者に係る健康診断費請求内訳書」は「特定業務に係る健康管理のための
手帳所持者に係る健康診断費請求内訳書」と読み替え本通達の様式第4号とする。
別紙1
契約書
(都道府県名)労働基準局長(局長氏名)(以下「甲」という。)と(医療機関名及び代表者氏名)
(以下「乙」という。)は昭和55年11月8日付け基発第614号(以下「通達」という。)による特定業務
に係る健康管理のための手帳(以下「手帳」という。)を所持する者に対する健康診断の実施に関し、次
のとおり契約する。
第1条 甲及び乙は、ともに信義を重んじ、誠実に本契約を履行するものとする。
第2条 乙は、手帳を所持する者に対し、通達別添「特定業務に係る健康管理のための手帳による健康診
断実施要綱」の3に定める健康診断を実施し、甲は、乙が当該健康診断の実施に要した費用を乙の請求
に基づき支払う。
第3条 前条の健康診断の実施方法、費用の額および請求方法その他健康診断の実施に関し必要な事項は
甲が定める。
第4条 この契約の当事者は2ヵ月前までに予告すれば、これを解約することができる。
第5条 この契約に定めるもののほか必要な事項については随時甲及び乙が協議して定める。
上記の契約の証として、契約書2通を作成し、甲及び乙がそれぞれ1通ずつ所持するものとする。
昭和 年 月 日
甲(都道府県名)労働基準局長(局長氏名)(印)
乙(医療機関名及び代表者氏名)(印)
別紙2
契約書第3条の規定に基づき都道府県労働基準局長の定めるべき事項
1 労働安全衛生法施行令第23条第1号又は第2号の業務に係る健康診断は、毎月2月及び8月に、同条
第3号の業務に係る健康診断は、毎年6月に原則として実施するものとすること。
2 委託医療機関は、当該医療機関に所属する医師のうちから当該健康診断の実施に当たる医師を指名す
るものとすること。この場合において、委託医療機関は、指名しようとする医師について、都道府県労
働基準局長に通知するものとすること。
3 委託医療機関が健康診断に要した費用の請求を行う場合は、当該健康診断を実施した月の翌月の15日
までに特定業務に係る健康管理のための手帳所持者に係る健康診断費請求書(様式第3号)および特定
業務に係る健康管理のための手帳所持者に係る健康診断費内訳書(様式第4号)を当該医療機関を管轄
する都道府県労働基準局長に提出して行うものとすること。
4 健康診断費の支払いは、請求のあった日から30日以内に行うものとすること。
5 健康診断費の単価は、昭和47年11月29日付け基発第762号別紙2の5(改正昭和55年6月26日付け基
発第332号)による単価とすること。
6 委託医療機関は、手帳所持者に対し健康診断を行ったときは、その結果をその者の手帳に記載しなけ
ればならない。
7 委託医療機関は、手帳所持者に対し健康診断を行ったときは、遅滞なく、当該医療機関の所在地を管
轄する都道府県労働基準局長に報告しなければならない。
(別添)
特定業務に係る健康管理のための手帳による健康診断実施要綱
1 趣旨
労働基準法(昭和22年法律第49号)の施行前において一定の有害業務に従事し、離職した労働者に対
して定期的に健康診断を行うことにより、疾病の早期発見を図り健康管理に万全を期するとともに、こ
れらの長時間の経過後に発病するいわる遅発性疾病についての発生のメカニズム等に関する資料を得、
今後の職業性疾病の予防に資することとするものである。
2 対象
特定業務に係る健康管理のための手帳(以下「手帳」という。)の交付を受ける者は、労働基準法の
施行の日(昭和22年9月1日)前に労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号)第23条各号の業務
に従事し、離職した者であって、その従事した業務に応じて、労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第
32号。以下「規則」という。)第53条第1項の表の下欄の要件に該当するものとする。ただし、同日以
降において当該業務と同一の業務に従事したことにより、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第67
条第1項の健康管理手帳を受けることができる者を除く。
3 健康診断の内容
手帳の所持者に対する健康診断は、規則第55条の労働大臣の定める健康診断と同内容のものとする。
4 実施機関
手帳の交付を受けた者(以下「手帳所持者」という。)に対する健康診断は、都道府県労働基準局長
が、当該健康診断実施業務を委託した医療機関において行うものとする。
5 申請
(1) 手帳の交付を受けようとする者(以下「申請者」という。)は、「特定業務に係る健康管理のため
の手帳交付申請書」(様式第1号。以下「申請書」という。)を申請者の住所を管轄する都道府県労
働基準局長に提出するものとする。
(2) (1)の申請書には、2の要件に該当する事実を証する書類を添付しなければならない。
6 手帳の交付
都道府県労働基準局長は、申請書を受理したときはすみやかにその内容を確認し、2の要件に該当す
ると認められるときは、手帳を交付するものとする。
7 手帳の様式
手帳の様式は別に定める。
8 手帳の提出
手帳の所持者が、3の健康診断を受けるときは、手帳を当該健康診断を行う医療機関に、提出しなけ
ればならない。
9 手帳の書替え、再交付、返還等
(1) 手帳所持者が氏名又は住所を変更したときは、30日以内に、「特定業務に係る健康管理のための手
帳書替申請書」(様式第2号)に手帳を添えてその者の住所を管轄する都道府県労働基準局長に提出
し、手帳の書替えを受けなければならない。
(2) 手帳所持者は、手帳を滅失し、又は損傷したときは、「特定業務に係る健康管理のための手帳再交
付申請書」(様式第2号)をその者の住所を管轄する都道府県労働基準局長に提出し、手帳の再交付
を受けなければならない。手帳を損傷した者がこの申請をするときは当該申請書にその手帳を添えな
ければならない。手帳所持者は、手帳の再交付を受けた後、滅失した手帳を発見したときは、すみや
かに、これを再交付を受けた都道府県労働基準局長に返還しなければならない。
(3) 手帳所持者が療養を要することとされたとき又は死亡したときは、当該手帳所持者又はその相続人
若しくは法定代理人は、遅滞なく、手帳を添えてその旨をその者の住所を管轄する都道府県労働基準
局長に届出なければならない。
(4) 手帳所持者は、当該手帳を他人に譲渡し、又は貸与してはならない。
10 費用の支払
委託医療機関に対する特定業務に係る健康管理のための手帳所持者に対する健康診断に要した費用の
支払い事務は、当該医療機関の所持地を管轄する都道府県労働基準局において行うこととする。