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産業医を中心とした産業保健活動の推進について

改正履歴


  労働者の健康を確保し、快適な作業環境を形成するためには、事業者の自主的な労働衛生管理のための
諸活動が肝要である。労働衛生管理を適切に行うためには、医学の専門家の参画が必要不可欠であり、そ
のため、「産業医」の制度が設けられているところである。
  しかしながら、本制度については、事業者側に本制度に対する理解が十分でないこと、産業医側にも日
常の医療活動に忙殺されていて時間的余裕がないこと等のため、適切に運用されているとはいい難い状況
にある。
  今後、高齢化社会の進行に伴い、労働者の健康を確保するための労働衛生管理の重要性はますます高ま
っており、医師養成制度の充実と相まって産業医の果たす役割は一層大きくなると考えられる。
  ついては、産業医制度の効果的運用を図るためには、産業医を中心とした地域等における産業保健活動
を展開するため、下記により同活動を積極的に推進されたい。
  なお、産業医の選任については、これまで指示したところにより、監督指導等の際にその徹底を期され
たい。

記
1.産業保健活動を推進するための協議組織の設置・運営
    事業場における産業医活動を円滑に遂行するための環境を整えるとの見地から地域医師会、事業者団
  体と協力しつつ、産業保健活動を推進するための連絡協議組織(以下「産業保健連絡協議会」という。)
  を次により設置すること。
    なお、すでに同様の産業保健連絡協議会が設置されている場合は、その活動内容を一層充実させるこ
  と。
  (1)  種  類
        産業保健連絡協議会は、都道府県レベルで設置する地域産業保健連絡協議会(以下「地域協議会」
      という。)及び地区例えば労働基準監督署レベルで設置する地区産業保健連絡協議会(以下「地区
      協議会」という。)とすること。
        なお、地区協議会については、当面、地区における関係団体の実情等を考慮して適宜設置するも
      のとすること。
  (2)  構  成
        地域協議会は、都道府県労働基準局、都道府県医師会及び事業者団体により構成するものとし、
      地域の実情により必要に応じて関係する団体を含めること。
        なお、都道府県労働基準局における労働衛生指導医についても地域協議会に参加することが望ま
      しいこと。
        また、地区協議会は、地域協議会に準じた構成とすること。
  (3)  連絡協議の内容
      イ  産業医活動の促進に関すること。
      ロ  産業保健に関する情報の交換に関すること。
      ハ  中高年齢労働者の総合的な健康の保持増進に関すること。
      ニ  その他地域等における産業保健活動の推進に必要と認められる事項に関すること。
  (4)  開催回数
        産業保健連絡協議会は、年2〜3回程度開催すること。
  (5)  事務局
        事務局については、関係者間で協議の上、適宜決定すること。
2.産業医活動の円滑な推進のための指導
    産業医がその職務を円滑かつ適切に遂行できるよう事業者に次の事項を指導すること。
  (1)  事業者が健康診断の実施その他労働者の健康管理を含む労働衛生管理のための計画を策定するに
      際しては、産業医を参画させ、その意見を十分反映させるようにすること。
  (2)  健康診断を企業外健康診断機関に委託する場合、委託先の選定について事前に産業医の意見を求
      め、これを十分に尊重するとともに、健康診断の結果を産業医に必ず提示し、事後措置について協
      議し、必要な場合産業医と労働者が直接懇談する機会を設けること。
        なお、産業医に当該事業場の労働者の健康診断の実施結果を了知させ、その後の適切な労働者の
      健康管理の一助とするため、健康診断結果報告書に産業医が自ら記名・押印することとなっている
      ので、この制度の適切な運用を図ること。
  (3)  衛生教育その他労働者の健康の保持増進を図るための事項で医学に関する専門的知識を必要とす
      るものについては、産業医を積極的に活用するようにすること。
  (4)  職場巡視は、産業医の職務の履行の確保を図るために重要なものであるので、これを確実に行わ
      せるようにすること。
  (5)  衛生委員会又は安全衛生委員会には、産業医を参画させることが望ましい。特に専属の産業医に
      ついては、必ず委員として指名させること。
3.産業医研修に対する協力
    産業医がその職務を適切に遂行するためには、産業医が産業医学その他関係する専門知識を高める必
  要がある。ついては、都道府県医師会等が主催する産業医研修等に産業医を参加させるよう事業者に対
  しても勧奨する等積極的に協力すること。