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作業環境測定基準第12条第2号の検知管方式による硫化水素検定器と
「同等以上の性能を有する測定機器」等について

改正履歴


  標記の「同等以上の性能を有する測定機器」については、昭和57年6月14日付け基発第412号「作業環
境測定基準の一部改正について」の記の4の(3)により示したところであるが、今般、別添「硫化水素濃
度指示計、硫化水素濃度警報計及び硫化水素濃度指示警報計」の規格に適合する機器のうち硫化水素濃度
指示計及び硫化水素濃度指示警報計については、作業環境測定基準第12条第2号の検知管方式による硫化
水素検定器と「同等以上の性能を有する測定機器」に該当するものとして取り扱うこととしたので、了知
されるとともに、その運用に遺憾のないようにされたい。
  なお、上記規格に適合する機器のうち硫化水素濃度指示警報計については、昭和57年6月14日付け基発
第407号「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令及び酸素欠乏症防止規則等の一部を改正する省令
の施行等について」の記の第2のIIの2の(13)のホの「自動警報装置付きの硫化水素濃度の測定機器」に
該当するものとして取り扱うこととしたので、併せて了知されたい。

別添
(社)日本保安用品協会
団体規格JSAS−S−5

  硫化水素濃度指示計、硫化水素濃度警報計及び硫化水素濃度指示警報計

Hydrogen Sulfide Indicator, Hydrogen Sulfide Alarm
and Hydrogen Sulfide Indicator/Alarm
1.適用範囲  この規格は、硫化水素の発生のおそれのある、ピット、マンホール、浄化槽、暗きょ、地
  下室、タンク、管、溝、槽、熱交換器、船倉等の内部における硫化水素濃度の測定、監視又は警報用と
  して使用する電気化学式の硫化水素濃度指示計、硫化水素濃度指示警報計及び硫化水素濃度指示警報計
  (以下、硫化水素計という)について規定する。
    なお、この規格に規定する硫化水素計の使用温度範囲は0〜40℃とする。
2.種類  硫化水素計の種類は、表1のとおりとする。
3.構 造
  3.1 一般構造 
      硫化水素計は、検知部と指示部、検知部と警報部又は検知部と指示部と警報部からなり、拡散又は 
    吸引により被検空気を検知部に導入し、硫化水素濃度の変化を電気信号に変え、指示部及び警報部を 
    作動させる構造のもので、次の規定に適合しなければならない。 
    (1)  定置形にあっては設置に便利で、取扱い及び整備が容易なものであり、その他の形にあっては 
       できるだけ軽量かつ小型で、運搬に便利で、取扱い及び設備が容易なものであること。 
    (2)  各部は、十分な強度及び耐久力を持つものであること。
    (3)  金属材料は、耐食性材料を用い、又は完全な表面防食処理を行ったもので塗装は、仕上げが良 
       好で容易に色あせ又ははく落しないものであること。
    (4)  各部はその目的に応じて円滑かつ正確に作動し、容易に狂いを生じないものであること。 
    (5)  作動状態にあるときは、それが容易に識別できるものであること。 
    (6)  8.校正方法に規定するいずれかの方法により、校正が容易にできる構造のものであること。 
  3.2 種類別構造
    (1)  硫化水素濃度指示計  検知場所の空気を拡散又は吸引により検知部に導入して硫化水素を検知
       し、検知部と分離し、又は一体となった指示部で、その濃度を指示するものであること。 
    (2)  硫化水素濃度指示計  検知場所の空気を拡散又は吸引により検知部に導入して硫化水素を検知
       し、検知部と分離し、又は一体となった警報部で、あらかじめ設定した濃度に達したとき、光、
       音又は光と音により警報を発するものであること。
  3.3  各部の構造
    3.3.1  検知部  検知部は、拡散式又は吸引式によるものであること。
    3.3.2  指示部  指示計器の指示範囲は、硫化水素濃度で、0〜30ppm又は0〜30ppm以上とす 
              る。デジタル方式のものにあっては、少なくとも1ppmを指示するものであること。 
    3.3.3  警報部
      (1) 警報部は、その検知範囲のある濃度(10ppm以下)に設定され、設定濃度以上で警報を発する 
        ものであること。
      (2) 一度警報を発した後は、硫化水素濃度に関係なく、その状態を持続し解除操作を行わなければ 
        旧に復しないものであること。ただし、可搬形、携帯形及び装置形にあってはこの限りではない。 
      (3) 警報は、ランプの点灯、音響の発生又はこれらの併用によって行うものであること。 
      (4) 定置形多点式の警報部は、ある検知箇所の硫化水素濃度の増大に対して警報を発しているとき、 
        別の検知箇所で硫化水素濃度が増大した場合にその箇所に対しても警報可能なものであること。 
4.性 能 
    硫化水素計の性能は、次の規定に適合しなければならない。 
  4.1 指示 警報作動精度
    4.4.1 指示精度  硫化水素濃度指示計及び硫化水素濃度指示警報計については、5.1.1に 
      規定する試験を行ったとき試験の結果が0〜30ppmの指示範囲では、硫化水素濃度で±1.5ppm以内、 
      他の指示範囲では±3ppm以内であること。
    4.1.2 警報作動精度  硫化水素濃度警報計及び硫化水素濃度指示警報計については、5.1. 
      2に規定する試験を行ったとき、試験の結果が10ppm以下の任意の設定点で警報を発し、かつ、警 
      報設定値に対して硫化水素濃度で±3ppm以内であること。
  4.2  繰返し性  硫化水素濃度指示計及び硫化水素濃度指示警報計については、5.2に規定する試 
    験を行ったとき、それぞれの偏差は、硫化水素濃度で1ppm以内であること。 
  4.3  安定度  5.3に規定する試験を行ったとき指示精度及び警報作動精度は、それぞれ4.1. 
    1及び4.1.2に規定する精度であること。
  4.4  傾斜による影響  5.4に規定する試験を行ったとき指示精度及び警報作動精度は、それぞれ 
    4.1.1及び4.1.2に規定する精度であること。
  4.5  耐衝撃性  5.5に規定する試験を行ったとき指示精度及び警報作動精度は、それぞれ4.1. 
    1及び4.1.2に規定する精度であること。
  4.6  検知遅れ及び警報遅れ  5.6に規定する試験を行ったとき指示の遅れ(90%応答)は30秒以 
    内、警報の遅れは15秒以内であること。ただし、吸引式にあっては導管を付けない状態で試験を行う 
    こと。
  4.7 温度変化による影響
    4.7.1  5.7に規定する試験を行ったとき指示精度及び警報作動精度は、それぞれ4.1.1 
      及び4.1.2に規定する精度であること。
    4.7.2  5.7に規定する試験を行ったとき検知遅れ及び警報遅れは、それぞれ4.6に規定す 
      る時間以内であること。
  4.8  電源電圧の変動による指示及び警報の誤差  5.8に規定する試験を行ったとき指示精度及び 
      警報作動精度は、それぞれ4.1.1及び4.1.2に規定する精度であること。 
5.試 験  硫化水素計の試験は、次の各項目について行う。ただし、試験場所の温度状態は、JIS Z 
  8703(試験場所の標準状態)の2級、湿度状態は常湿とする。 
  5.1  指示 警報作動精度試験
    5.1.1  指示精度試験  硫化水素計を作動状態にし、表2に示す安定時間を経過した後、指示校 
      正を行い、検知部に10ppmを中心とした3種類以上の硫化水素濃度の試験用ガスを導入し、硫化水 
      素計の指示値と試験用ガスの硫化水素濃度との差を調べる。また、指示範囲が30ppmを超えるもの 
      にあっては、30ppmを超える任意の硫化水素濃度の試験用ガスでも調べる。 
    5.1.2  警報作動精度試験  硫化水素計を作動状態にし、表2に規定する時間を経過した後、硫
      化水素計を10ppm以下の任意の警報設定濃度に設定し、検知部に設定濃度前後の硫化水素濃度の試
      験用ガスを導入し、警報設定濃度と警報を発した時の試験用ガス水素濃度との差を調べる。
  5.2  繰返し性試験  硫化水素計を作動状態にし、表2に規定する時間を経過した後、ゼロガスと約
    10ppmの濃度の試験用ガスを交互に3回づつ測定し、それぞれの測定値の平均値からの偏差を求める。
  5.3  安定度試験  硫化水素計を作動状態にし、表2に規定する時間を経過した後、指示の校正及び
    警報設定を行い、5.1.1及び5.1.2に規定する方法によりそれぞれ指示精度試験及び警報作
    動精度試験を行った後、次の試験を行う。
    5.3.1  指示精度の安定度試験  作動状態のままで定置形にあっては8時間以上、可搬形、携帯
      形、装着形にあっては1時間以上経過した後、5.1.1に規定する方法に準じて指示精度を調べ
      る。
    5.3.2  警報作動精度の安定度試験  作動状態のままで定置形にあっては8時間以上、可搬形、
      携帯形及び装着形にあっては1時間以上経過した後、5.1.2に規定する方法に準じて警報作動
      精度を調べる。
  5.4  傾斜試験  硫化水素計を作動状態のままで、標準使用状態の姿勢から前後左右にそれぞれ30
    度傾斜させて、指示濃度及び警報作動濃度の変化を調べる。
  5.5  衝撃試験
    5.5.1  可搬形、携帯形及び装着形の衝撃試験  コンクリート床上に厚さ30mmの松板又は杉板
      を置き、その板上に100mmの高さから作動状態の硫化水素計を落下し、指示濃度及び警報作動濃度
      の変化を調べる。ただし、指示計、警報ランプ、調整つまみ等が直接板上に接触しないように配慮
      すること。
    5.5.2  定置形の衝撃試験  コンクリート床上に厚さ30mmの松板又は杉板を置き、その上に作
      動状態の硫化水素計を置き、その一端を100mmの高さまで持ち上げて落下し、次に他の一端を同様
      に持ち上げて落下した後、指示濃度及び警報作動濃度の変化を調べる。
  5.6  検知遅れ及び警報遅れ試験  検知の遅れは、試料ガス導入口から硫化水素試験用ガスを導入し
    て、検知部に接触させて90%応答時間を調べる。また、警報の遅れは、警報設定値を10ppmとし、約
    1.6倍の濃度の試験用ガスと接触させて、警報を発するまでの時間を調べる。
  5.7  温度試験
    5.7.1  高温試験  硫化水素計を20℃で指示濃度の校正及び警報設定を行った後、40℃の恒温槽
      の中に入れ、1時間後その温度において指示濃度、警報作動濃度、検知遅れ及び警報遅れの変化を
      調べる。
    5.7.2  低温試験  硫化水素計を20℃で指示濃度の校正及び警報設定を行った後、0℃の恒温槽
      の中に入れ、1時間後その温度において指示濃度、警報作動濃度、検知遅れ及び警報遅れの変化を
      調べる。
  5.8  電源電圧の変動による指示及び警報誤差試験  硫化水素計の指示濃度の校正及び警報設定を行
    った後、主電源電圧を定格電圧の±10%変化させて、指示濃度及び警報作動濃度の変化を調べる。
6.検    査
  6.1  形式検査  硫化水素計は、新しく設計され、改造され、又は生産技術条件が変更されたときは
    次の検査を行い、3及び4の規定に適合しなければならない。
    (1)  試料の採り方及び大きさ  形式検査に供する試料は、最初の製造ロットからランダムに1台以
      上抜き取ること。
    (2)  検査項目  形式検査を行う項目は、次のとおりとする。
      (a)  構造
      (b)  指示濃度
      (c)  警報作動精度
      (d)  繰返し性
      (e)  安定度
      (f)  傾斜による影響
      (g)  耐衝撃性
      (h)  検知遅れ及び警報遅れ
      (i)  温度変化による影響
      (j)  電源電圧の変動による指示及び警報の誤差
  6.2  製品検査  硫化水素計は各製品ごとに、次の製品検査を行い、4の規定に適合しなけばならな
    い。
      なお、製品検査は、合理的な抜取り方式によってもよい。
検査項目
  (a)  指示精度
  (b)  警報作動精度
  (c)  繰返し性
7.試験用ガス  試験用ガスはJIS  K0108(排ガス中の硫化水素分析方法)の容量法(よう素滴定法)
  又は吸光光度法(メチレンブルー法)を用いて濃度を確認する。ただし、パーミエーションチューブを
  用いる方法で発生した試験用ガスについては次式により硫化水素の濃度C(ppm)計算する。

C(ppm)=

24.46

×

=0.72×

34.08

      m(μg/min):単位時間当たりのチューブの減量、V(、mim):希釈ガスの流量
8.校正方法
    硫化水素は吸着性が強く、化学的に不安定な性質があるので、校正作業には以下の事項に十分注意し
  なければならない。
  (1)  バック、容器、配管等には吸着性、反応性及び透過性に支障のないことが確認された材料を用い
      ること。
  (2)  調整した校正用ガスは、なるべく早く使用すること。
  (3)  取扱い説明書等の注意に従うこと。
  8.1  校正用ガスの調整  校正用ガスは次に示すいずれかの方法により調整しなければならない。
    (1)  高圧容器入り校正用ガスを用いる方法  必要な濃度に調整された市販の高圧容器入り校正用ガ
        スを、そのまま検知部に導く方法であるが、有効期限に注意し、減圧弁等は専用のものを使用す
        ること。
    (2)  パーミエーションチューブを用いる方法  液化硫化水素をテフロン管に封入したパーミエーシ
        ョンチューブを恒温で、一定流量の希釈ガスを通ずることにより校正用ガスを調整する。単位時
        間当たりのチューブの減量m(μg/min)及び希釈ガスの流量V(/min)から次式により硫化
        水素の濃度C(ppm)を計算する。
          ただし、チューブの止め金が腐食した場合は、正確な減量を測定できないので使用しないこと。

C(ppm)=

24.46

×

=0.72×

34.08

    (3)  容積比混合法
      (a)  一定容積の空気又は窒素を入れたガスバックに、計測された硫化水素を混入させて調整する。
          硫化水素の計測には、マイクロシリンジや一定量封入されたアンプル入りガスを用いる。
      (b)  一定容量の容器内に、計測された硫化水素を混入させて調整する。硫化水素の計測には、マ
          イクロシリンジや一定量封入されたアンプル入りガスを用いる。

C=

   v   

×Co

V+v

C:発生濃度  V:容器内空気容積
v:硫化水素ガス混入量  Co:硫化水素濃度
    (4)  流量比混合法  一定濃度の硫化水素と空気又は窒素の流量を、それぞれ計測制御して混合し、
        この流量比から所定の濃度の校正用ガスを調整する。

C=

    Q1     

×Co

1+Q2

C:発生ガス濃度  Q1:硫化水素ガス流量
Q2:空気の流量  Co:硫化水素ガス濃度
    (5)  その他の方法  各種の試薬を反応させる方法、電気分解による方法、加熱して発生させる方法
        等がある。
  8.2  校正用ガスの濃度の確認方法  パーミエーションチューブを用いる方法以外の方法により調整
    した校正用ガスは、次に示すいずれかの方法により濃度を確認しなればならない。
    (1)  測長式硫化水素検知器による方法
    (2)  その他(1)と同等以上の精度を有する方法
  8.3  校正操作  それぞれの硫化水素計の取扱説明書に従って行うこと。
9.表    示  硫化水素計には次の事項を表示しなければならない。
  (1)  指示範囲
  (2)  製造年月又はその略号
  (3)  製造業者名又はその略号
  (4)  作動安定時間
  (5)  使用圧力範囲
10.取扱説明書  硫化水素計には次の事項について記載した取扱説明書を添付しなければならない。
  (1)  急激な温度変化を避ける旨の注意
  (2)  作動安定時間
  (3)  使用温度範囲
  (4)  使用圧力範囲
  (5)  検知部の耐用時間
  (6)  可燃性ガスの存在するおそれのある場所における使用上の注意
  (7)  振動又は衝撃に対する注意
  (8)  他のガス及び蒸気による影響
  (9)  校正方法及び校正の頻度
  (10)  その他硫化水素計の取扱いに関する事項