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化学工業における爆発・火災の防止について

改正履歴


  化学工業における爆発・火災災害の防止対策については、かねてからその徹底を図ってきたところであ
るが、本年に入り鹿島石油(株)鹿島精油所及びダイセル化学工業(株)堺工場における爆発・火災災害をは
じめ、各地の化学工場において、相次いで爆発・火災災害の発生をみている。
  このような状況にかんがみ、この度、別添のとおり石油連盟、石油化学工業協会及び日本化学工業協会
に対し、化学工業における爆発・火災の防止について要請を行ったところであるので、本要請の趣旨が徹
底するよう十分配意されたい。

(別添)

化学工業における爆発・火災の防止について

  石油精製業等の化学工業における爆発・火災の防止については、労働省としても従前から行政の重点と
して取り上げ、種々の施策を進めてきたところでありますが、本年3月、鹿島石油(株)鹿島精油所におい
て爆発事故により多数の労働者が死傷する災害が発生し、その後も各地の化学工場において、爆発・火災
災害が発生していることは誠に遺憾に絶えないところであります。労働省では鹿島石油(株)鹿島精油所に
おける災害について、茨城労働基準局に災害調査団を設け、災害原因等について調査を進めてきたところ
でありますが、先般、同調査団から別添のとおり報告がなされたところであります。
  つきましては、貴連盟協会におかれましても同種災害の再発を防止するため、本調査結果を参考の上、
会員事業場に対して特に下記事項が徹底されるよう指導を煩わしたく、要請いたします。

記
1  安全衛生管理体制について
  (1)  総括安全衛生管理に当たる経営首脳者は、労働災害防止に関する自らの責任を十分に認識し、そ
      の職務を的確に遂行すること。
  (2)  化学設備を設置している事業場における安全管理者については、化学設備、化学設備の配管等
      (以下「化学設備等」という。)が異常な事態となったときの運転の中止、適切な退避等安全に関
      する措置をなし得る能力と経験を有する者を選任するとともに、これらの措置をなし得る権限を付
      与すること。
        なお、労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号。以下「安衛則」という。)第4条第1項第
      3号の規定に基づいて都道府県労働基準局長が指定する生産施設に係る安全管理者については、夜
      間及び休日を含め当該生産施設が操業されている間は常時配置すること。
2  化学設備等の材質等について
  (1)  化学設備等の材質等については、高温・高圧状態の水素など接触する危険物等による腐食、劣化
      等に十分配意した適切な材質のものとすること。
  (2)  接触する危険物の温度、圧力、種類、組成等のうち、化学設備等の腐食、劣化等に重大な影響を
      及ぼすおそれのある事項については、化学設備等の運転中におけるこれらの状態が設計時に想定し
      た状態と相違していないかどうかを点検すること。
3  作業規程について
    化学設備等の使用に係る作業規定については、これらの設備等に対応した適正なものとすること。と
  くに、安衛則第274条第8号及び第9号に規定する事項については、高温・高圧の配管等からの可燃物
  の漏えいその他の異常事態をできる限り想定し、これに対応したものとなるようにすること。
    また、関係者に対して作業規程の内容について周知徹底を図るとともに、これが確実に履行されるよ
  う教育、訓練等を定期的に実施すること。
4  点検について
    安衛則第276条の規定により定期自主検査を実施している化学設備等はもとより、これらの設備以外
  のものについても、接触する危険物等の温度、圧力、種類等及び経過年数等を考慮して、溶接部分等腐
  食等を受けやすい箇所について定期的に点検を行うこと。
5  退避について
    爆発・火災等による労働災害発生の急迫した危険がある場合は、時機を逸することなく関係労働者を
  速やかに安全な場所へ退避させること。
6  水素を取り扱う化学設備等の見直し等について
    高温、高圧の状態で水素を取り扱う化学設備等については、水素浸食に起因する破裂等を防止する観
  点から早急に見直し、点検等を行い、必要に応じた改善を行うこと。

別添〈略〉