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造船業における船舶の修繕作業に係る爆発・火災による労働災害の防止について

改正履歴


  造船業における労働災害の防止については、従来より行政の重点として特定元方事業者による統括安全
衛生管理の強化等を重点とした監督指導を実施してきたところであるが、最近、別紙に示すとおり、船舶
の修繕作業における爆発・火災により多数の労働者が死傷する災害が相次いで発生した。これらの災害の
なかには、本船船員(以下「船員」という。)により実施される修繕作業において十分な火気等の管理が
なされなかったために発生している例がみられ、昨今修繕作業の一部について船員が自ら行う場合が見受
けられることも併せ、この面での対策強化が必要とされるところである。
  ついては、造船業に対する監督指導に当たっては、造船所に下記事項の措置をとらせることにも留意し、
労働災害防止の一層の促進を図られたい。
  なお、(社)日本造船工業会会長、(社)日本中型造船工業会会長、(社)日本船主協会会長及び外国船舶協
会会長に対して、それぞれ別添1、別添2、別添3及び別添4により要請等を行ったので了知されたい。

記
1  船員が実施する修繕作業に係る安全基準の確保
    船員が行う火気等取扱い作業その他の作業については、当該造船所の定める安全基準と同等以上の措
  置が船主側において講じられるように配意し、船員が行う作業が造船所側の作業の安全管理に支障をき
  たすことがないようにすること。
2  本船側管理者への要請等実施
    船舶の修繕作業を受注する場合には、上記1の安全基準の確保、船舶内に残存する原油、燃料油、廃
  油、スラッジその他の危険物等の除去、非常時に使用する避難用の設備の確保その他の労働災害防止上
  必要な事項であって本船側の配慮がなければ安全を確保することが困難な事項について、本船側管理者
  に対して文書で要請等を行うこと。
    なお、本船が、外国船の場合には、言語、習慣、船員の技術等に相違のあることに留意し、要請等の
  徹底が図られるようにすること。

別添1

造船業における船舶の修繕作業に係る爆発・火災による労働災害の防止について

  造船業における労働災害の防止については、昭和41年2月23日付け基発第174号、昭和46年5月31日付
け基発第416号、昭和49年12月18日付け基発第637号等により貴会に要請を行ったところであり、貴会にお
かれても会員事業場に対し労働災害防止の推進について指導に努めるとともに(社)日本船主協会等の関係
団体とも連携を図られていることと思料いたします。
  しかしながら、最近、船舶の修繕作業におきましてガス溶断等の火気に船舶内に滞留した油、スラッジ
等が引火して爆発・火災を発生し、多数の労働者が死傷したことは誠に遺憾であります。また、これらの
災害のなかには本船船員により実施される修繕作業においおて十分な火気等の管理がなされなかったため
に発生している例がみられるところであります。
  昨今、このような修繕作業の一部について本船船員が行う場合が見受けられるところであり、この面で
の対策の強化も必要とされているところであります。
  労働省としましても造船業における労働災害の防止につきましては今後ともその徹底を図っていくこと
としておりますが、貴会におかれましても先の要請と併せ、会員事業場に対し更に下記事項を徹底されま
すよう要請します。
記
1  修繕作業実施時の安全基準の確保
  (1)  火気等の管理
        原油、燃料油、廃油、スラッジその他爆発・火災のおそれのある危険物等の存在する場所におい
      ては、ガス溶断等の点火源となる作業を禁止するなどの火気等の管理に関する安全基準の徹底を図
      ること。特に船員による火気等取扱い作業については本船側管理者と十分な連絡調整を行い造船所
      側の安全管理に支障をきたす作業が行われることのないようにすること。
  (2)  危険物等の除去等
        火気等取扱い作業については、本船側管理者と十分な連携を図り、当該作業場所に存在する危険
      物等が除去された後に実施されるようにするとともに、作業の実施に伴って発生した油等の浸染し
      たボロ等の処理についても適正に行われるようにすること。
  (3)  ガス集合溶接装置等の適正な取扱い
        溶接、溶断又は加熱のためのガス集合溶接装置等については、ガス溶接作業主任者又は作業指揮
      者を選任し、その取扱いの適切に行われるようにすること。また、当該装置その他の機械設備等を
      船員が、使用する場合については、特に火気等の管理が適正に行われるようにすること。
  (4)  消火設備の設置
        予想される爆発・火災の性状、作業場の広さ、作業者の数等に適応した種類及び数の消火設備を
      備えること。
  (5)  警報設備の設置
        爆発・火災が発生した場合に、これを速やかに関係作業者に通報するための警報用の設備等を備
      えること。
  (6)  避難口の確保
        爆発・火災が発生するおそれのある作業場には有効な避難口を設けること等により、非常の場合
      に関係作業者が安全な場所にすみやかに避難できるようにすること。
  (7)  作業の中止等
        危険物等が漏えいし、爆発・火災等の発生のおそれがある場合、火気等取扱い作業が禁止されて
      いる場所に火気等の存在が認められる場合等労働災害の発生の急迫した危険がある場合は、直ちに
      関係作業者の作業を中止させ、必要に応じ退避させること。
  (8)  安全作業標準の確立
        船舶の修繕作業における爆発・火災による労働災害を防止するため、上記(1)から(7)までの項
      目を含めた安全作業標準を定め、これを関係者に周知徹底すること。
2  本船側管理者への要請等の実施
    修繕作業を受注する際に本船側管理者に対し、上記1の措置をとるに当たって本船側の配慮がなけれ
  ば安全を確保することが困難な事項について文書で要請等を行うこと。
    なお、本船が外国船の場合には、言語、習慣、船員の技術等に相違のあることに留意し、要請等の徹
  底が図られるようにすること。

別添2、別添3及び別添4〈略〉