構外下請事業場における自主的安全衛生活動の推進について |
改正履歴
造船業、鉄鋼業、化学工業等であって、その構内に多数の下請事業場を有する事業場に対しては、かね
てから構内下請事業場を含めた総合的安全衛生管理体制を確立させるところにより、構内下請事業場の労
働災害防止にかなりの成果をみてきたところである。
一方、自動車製造業、電気機械器具製造業等の企業にあっては、一般に構外に多数の下請事業場を有し
ており、それらは親企業を中核とした一つの共同体を構成しているが、この構外下請事業場は、一般に親
企業への依頼度が高く、また、親企業に比し安全衛生活動が低調であり、災害発生率も高い現状にある。
このため、発注条件の設定、安全衛生管理能力等の面で優位にある親企業の指導援助の下に、構外下請
事業場における自主的安全衛生活動の積極的な展開が望まれるところである。
ついては、この種の企業で多数の構外下請事業場を有するものに対して、安全衛生に関する協議組織
(以下「協議組織」という。)を設置させ、その運営を基軸として構外下請事業場の自主的安全衛生活動
を展開させるよう下記に留意のうえ指導されたい。
なお、協議組織の運営等の指導に当たっては、企業ごとにその活動状況等に差異があるので、画一的な
ものを求めることなく個々の実情を踏えたものとするよう配意されたい。
記
1 協議組織の構成等
協議組織は、基本的には、親企業と親企業から直接受注し、かつ、依存度の高い構外下請事業場とで
構成されるものであること。また、次の事項についても考慮させる必要があること。
(1) 協力会等の既存組織がある場合には、これを尊重することとするが、安全衛生活動が有効活発に
行われるよう、その組織、活動内容等を再検討すること。
(2) 必要に応じ業種別専門部会、地域別部会等を設けること。
2 協議組織の運営等
協議組織の運営等に当たって、親企業及びその構外下請事業場には、それぞれ次の事項を行わせるこ
とが必要と考えられること。
(1) 親企業においては、協議組織の運営指導の担当者を選任し、その者に後記3、に掲げる協議組織
の活動が促進されるよう積極的な指導援助を行わせること。
また、親企業の安全衛生管理、設計、発注等の各部門相互の連けいを密にするとともに、必要に
応じ、協議組織への複数部門からの参画も検討すること。
(2) 構外下請事業場においては、経営首脳者又はこれに代る者が協議組織の活動に参画し、協議決定
された事項を確実に実施する責任体制を確立すること。
3 協議組織の活動内容
協議組織における活動内容としては、主として次の事項があること。
(1) 安全衛生活動基本計画の樹立及びこれに基づく構外下請事業場の具体的活動方針の作成
(2) 発注時において親企業及び構外下請事業場が安全衛生上配意すべき事項の検討
(3) 構外下請事業場における安全衛生管理体制の整備についての検討
(4) 作業標準、点検基準等の作成の検討
(5) 安全衛生教育(資格者の養成を含む。)の推進
(6) 相互安全衛生診断の実施
(7) 改善事例、災害事例等の検討
(8) 安全衛生統計の作成
4 その他
(1) 本通達の運用に当たっては、親企業の指導力、下請の態様、過去の監督指導結果等に十分な検討
を加え、本通達に示す手法を導入することにより、自主的安全衛生活動に相当の効果を期待し得る
と判断される対象を見極めた上指導対象として選定すること。
また、系列企業の発注形態は、1次下請のみならず2次下請、以下数次にわたる場合があるので、
親企業と1次下請事業場とからなる協議組織のみならず、1次下請事業場と2次下請事業場とから
なる協議組織等についても、前記と同様に効果を期待し得ると判断されるものについては、逐次、
指導対象として選定すること。
なお、協議組織が活発に展開されるまでには、相当長期にわたり計画的な指導を行うことが必要
であること。
(2) 局幹部による親企業首脳に対する要請、必要に応じ協議組織への専門官の派遣、資料の提供、協
議組織の構成事業場に係る監督指導結果の参考事項の提示等により効果的な指導を行うこと。
(3) 協議組織の構成事業場が他局管内に存在する場合には、必要に応じ、関係局との間で情報交換等
を行うこと。
(4) 協議組織の活動が良好なものについては、その構成、運営方法、活動内容等を本省に事例として
報告すること。