|
|
改正履歴
去る3月15日、大阪府下の浄水場において、別紙1のとおり酸素欠乏による重大災害が発生したが、こ
の災害は、酸素欠乏症防止対策の基本である測定、換気等を全く行わずに酸素欠乏危険作業に従事させた
ため発生したものであり、加えて救助作業に当たった労働者に対し、空気呼吸器等の適切な呼吸用保護具
を使用させなかった結果、次々に被災し、6名死亡、5名重軽傷という多数の被災者を出すに至ったもの
であり、極めて遺憾にたえない。
下水道事業においては過去にも相当の被災事例が出ており、酸素欠乏症防止についての関心も高まりを
みせているが、上水道事業にあってはその関心が極めて低く、本件浄水場においても酸素測定器、換気装
置の備付けがなく、また、作業主任者の選任も行われていなかったものである。
しかしながら、これら上水道事業においては去る昭和49年に福岡局管内において同種災害が発生し2名
が死亡したほか、ここ10年間で2件の発生(別紙2参照)をみているところであり、今後も同種災害の発
生が予測されるので関係地方公共団体に対し、下記事項を重点に集団指導等適切な方法により酸素欠
乏症防止対策の徹底を期されたい。
なお、昭和51年の酸素欠乏症発生事例を別紙3のとおり送付するので、参考に資されたい。
記
1 取水井等酸素欠乏危険場所の確認
(1) 取水井、取水口、集水管等の周辺の地質を調査し、労働安全衛生法施行令別表(以下、「令別表」
という。)第6の1号のイ〜ホに該当するか否かを確認させること。
(2) 上記のほか、令別表第6の2号〜4号に該当する場所の有無を確認させること。
2 酸素測定器、換気設備、空気呼吸器等有効な呼吸用保護具、命綱等必要な機器、資材を備付けさせる
とともに、その使用等の励行を図らせること。
3 酸素欠乏危険作業主任者を選任させるとともに、その職務の励行を図らせること。なお、作業主任者
に対して再度講習を行う等により、酸欠危険作業について注意を喚起する措置を講じさせること。
4 関係労働者に対する酸素欠乏危険作業に関する特別教育の励行を徹底させること。
(別紙1)
羽曳野市石川浄水場における酸素欠乏症について(速報)
(管轄:大阪労働基準局古市労働基準監督署)
1 事業の概要
(1) 事業場名 大阪府羽曳野市水道局石川浄水場
(2) 所在地 大阪府羽曳野市古市3−10−4
(3) 労働者数 男子12名 女子0名
(4) 衛生管理者 選任義務なし
(5) 酸素欠乏作業主任者 選任なし(選任義務については調査中)
(6) その他 酸素測定器 呼吸用保護具備付けなし
2 事故の概要
(1) 被害者氏名
京谷 浩(40歳) 浄水課長代理 死亡
長谷栄一(37歳) 浄水課主幹 〃
東本孝一(34歳) 浄水課管理係長 〃
木村 厚(25歳) 業務課料金係 〃
大西一二(44歳) 工務課兼浄水課課長 〃
金銅幸一郎 金銅水道工業所(公認業者) 〃
塩田定男(36歳) 浄水課石川浄水場係長 重症
高橋寛治(31歳) 工務課計画係長 〃(ただし、ショック)
児玉健治(40歳) 他3人 大東電気工業(株)
下請山田班 軽傷(入院3日)
(2) 事故発生の概要
当該浄水場は、大和川の支流の石川の伏流水及び表流水を取水して浄化し、地域に配水を行って
いる。
3月15日午前9時30分頃、市職員である長谷、塩田、東本の3名が浄水取水井戸の修理点検のた
め取水井戸中に入ったが倒れた。これらを救助に入った市職員大西ら3名及び公認業者金銅も倒れ
た。(ただし、市職員高橋は、取水井戸中には入っておらず、事故のショックで倒れたものとみら
れている。)
その直後、当該浄水場の汚泥処理施設の築造に伴う電気計装工事の水位計のチェックのために来
ていた大東電気工業(株)の下請、山田班々員児玉ら3名が、上記の者の救出に井戸中に入ろうとし
たところ変な臭いがしたので、佐々木と仲川が塩素ガス用防毒マスク(未確認)を着装し、3名で
塩田を救出したが3名とも気分が悪くなった。
(別紙 2)
(別紙 3)