木造家屋建築工事等小規模建築工事における墜落等による労働災害の防止について |
改正履歴
建設工事の施工に伴う労働災害の防止については、労働基準行政の最重点として、鋭意その対策を推進
しているところであり、労働災害の発生件数も全体としては、遂年減少しつつあるところである。
しかしながら、木造家屋建築工事等、小規模の建築工事は、施工業者が中小、零細企業である場合が多
いこと、工事期間が短いため、監督指導の徹底を期すことが困難であること等の理由により、工事中に墜
落等による労働災害、特に死亡災害が多発している現状にある。(別表1および2参照)
このような状況にかんがみ、従前から諸般の施策を講じるとともに、関係団体に対して、これら小規模
建築工事において使用する簡易わく組足場、ブラケット一側足場等の安全技術基準について、調査研究を
委託していたが、このたび、別添1および2のとおり、安全技術基準の設定をみたところである。(別添
1および2−− 掲載略−−)
ついては、木造家屋建築工事等小規模建築工事を実施する事業場の監督指導にあたっては、法令及び、
すでに示したところによるほか、下記事項に留意のうえ、当該技術基準の普及徹底を図り、墜落等による
労働災害の防止に万全を期するよう特段の配慮をせられたい。
記
1.作業床のない一側足場の使用の禁止
木造家屋建築工事等小規模建築工事における労働災害の大部分は、墜落によるものであるので、さら
に労働安全衛生規則(以下「規則」という。)第518条第1項に規定する安全な作業床の確保の徹底を
図ること。
なお、同条同項の規定は、原則として、作業床のない一側足場等の上での作業は禁止される趣旨であ
るものであること。
2.簡易わく組足場の設置
木造家屋建築工事等の外側工事において、足場を組み立てる方法により作業床を確保する場合は、高
さが限定された建築工事において簡単に使用することができる簡易わく組足場の使用を勧奨するととも
に、その構造及び使用については別添1の「低層建築工事用簡易わく組足場の安全技術基準」によらせ
ること。
なお、社団法人仮設工業会においては、昭和52年1月1日以降に製造される当該簡易わく組足場につ
いては、同協会が自主的に認定を行い、合格品にラベルを貼付することとしているので、これら合格品
を使用するよう指導すること。
3.ブラケット一側足場等の基準
敷地が狭隘であること等のため、やむを得ず一側足場を設置する場合であって、その足場上での作業
が予定されているときは、作業床を有するブラケット一側足場、布板一側足場等を利用するよう指導す
ること。
なお、ブラケット一側足場については、別添2の「ブラケット一側足場の安全基準」、布板一側足場
については、昭和48年9月13日付、事務連絡で示した留意事項によらせること。
4.足場の強度等の確保
労働省産業安全研究所、社団法人仮設工業会等がその安全性を確認した構造の足場以外の足場につい
ては、事前にその安全性を検討し、必要な強度等が確保されていることが確認されているものでなけれ
ば使用させないこと。
5.関係団体等に対する指導
木造家屋建築工事等小規模建築工事を行う事業場に対しては、これらの工事に従事する大工、とび、
左官等の職別工事業関係団体を通じて集団指導等を実施することが効果的であることに留意すること。
6.その他
木造家屋建築工事等小規模建築工事における労働災害防止対策については、今後とも検討を進めてい
くこととするので、各局において、実施した効果的な監督指導の方法、有効な災害防止対策等について
の情報を本省に送付すること。