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造船業における労働災害の防止について

改正履歴

日本造船工業会会長殿
労働省労働基準局長
  最近、造船業において重大災害が続発していることは、まことに遺憾である。
  ついては、労働省としても、爆発、火災による労働災害の防止のため、特別監督指導の実施等種々その
対策を進めているところであるが、貴会におかれても、造船所における労働災害防止を一層徹底されるよ
う、特に下記に御留意の上、会員に対する指導を行なう等その対策に遺憾なきを期されたい。
記
1   労働災害の防止に関する特別規制措置の徹底
    造船業においては、請負契約関係にある数個の事業が同一の場所において相関連して仕事を行なうこ
  とが多いが、かかる場合には、労働災害防止団体等に関する法律に基づく労働災害の防止に関する特別
  規制措置を徹底し、その組織を整備した上で、統括的な安全衛生管理を実施し、下請業者の労働者に使
  用させる建設物等について所要の措置をとる等下請業者の労働者を含めた総合的な安全衛生管理措置の
  徹底を図ること。
    たとえば、艤装船内の防熱材施行区画、ガス危険区域等を下請業者に徹底せしめ、当該箇所では火気
  を用いることを厳禁すること、溶接その他の火気使用設備の管理を厳重にし、未許可の火気使用を禁止
  すること、火気使用後の状況を点検し安全であることを確認すること、万一の場合の消火設備を適切に
  配置すること、開口部の防護措置を徹底すること、各種警報を下請業者に周知徹底させること等の措置
  を講ずること。
2   下請業者の労務管理の向上、下請業者の労働者に対する安全衛生教育の徹底
    労働災害の防止のためには、その当然の前提として、適切な労務管理がなされなければならないこと
  は、いうまでもないが、下請業者の中には、このような労務管理能力が不十分なものも見受けられ、こ
  れが、労働災害の間接的な原因となる場合があると考えられる。したがって、親会社である造船会社に
  おいては、その下請業者に対して、労働時間管理その他の労務管理の向上のための指導を十分に行なう
  とともに、特に下請業者の労働者に対する安全衛生教育が徹底するよう所要の措置を講ずること。
    たとえば、安全衛生教育実施ずみの労働者に対してのみ門鑑を渡し作業現場に安全衛生教育を受けて
  いない労働者を入場せしめないこと等の措置を講ずるとともに、ツールボックスミーティングの実施等
  の方法により作業現場における安全衛生教育の常時徹底を図ること。
3   危険有害性の原材料の取扱い
    最近において危険有害性の原材料の使用が増大していることにかんがみ、その使用にあたっては、管
  理体制を整備すること、その危険有害性を関係労働者に周知徹底せしめること、適切な危害防止措置を
  講ずること等所要の措置を講ずること。たとえば、船舶の二重底又はピークタンクの内部、小型タンク
  の内部その他狭あいな場所であって、換気が不十分なところにおいてアセチレン、酸素等を用いて、溶
  接、溶断又は金属の加熱の作業を行なう場合には、これらのガスの漏洩により爆発又は火傷を防止する
  ための措置を講ずること。また、船内における塗装作業、洗浄作業又は接着作業等引火性の液体の蒸気
  又は有機溶剤の蒸気を発散する作業においては、蒸気による爆発又は工業中毒を防止するため、通風、
  換気等の措置を講ずるとともに、点火源となる機械器具又は火気を使用しないこと。さらに、油タンク
  内の作業、可燃性のガス、引火性液体若しくは蒸気又は有害なガスの存在するおそれのある配管等の溶
  接、溶断作業においては、これらのものを完全に除去する等火災爆発又は工業中毒防止のための措置を
  講ずること。また、ポリウレタンホーム、ホームスチレン等を多量に用いて保冷工事などを行なう場合
  には、溶接装置など火花を発して点火源となるおそれのある機械器具及び火気の使用を禁止し、電気配
  線又は照明器具の加熱及び損傷による発火を防止するための適当な措置を講ずること。
    なお、ポリウレタンホームの現場発の作業を行なう場合には、換気を十分に行なうとともに当該作業
  に直接従事する労働者には防毒マスクその他適当な保護具を装着させること。