台風時における土砂崩壊、洪水による寄宿舎等の倒壊、流失災害の防止について |
改正履歴
標記の災害防止については、かねてより特段の努力をされているところであるが、この種の重大災害は
毎年あとを絶たず、本年に入っても別添事例に示す如く、兵庫県において台風16号による集中豪雨のため
死亡23名、重軽症9名の災害が発生したことはまことに遺憾にたえない。
これらの災害は台風にともなう集中豪雨等の自然現象が災害発生の一因をなしており、土砂崩壊、洪水
の危険性をあらかじめ予想することについては相当の困難があると考えられるが、事前に綿密な調査を行
って対策を講ずることにより、また、異状降雨時においては緊急避難の処置をとる等により、人的被害を
最小限に止めることを得るものである。
よって、建設業、林業等の寄宿舎等で附近に傾斜地、または河川がある場合の監督指導に当っては、下
記により、この種災害の防止に万全を期せられたい。
記
一 事業場設置届(移転又は変更を含む。以下同じ。)の届出があった際は、図面等により寄宿舎等に関
する土砂崩壊、洪水の危険性について検討し、必要があれば現地へ臨み、事業場附属寄宿舎規程第7条
または第38条の規定について監督指導を実施すること。
二 監督指導に当っては、下に掲げる事項に留意すること。
(1) 寄宿舎等が事業場設置届の計画通りに設置されているかどうかを調べること。
(2) 土砂崩壊の危険性については次の事項に留意し総合的に判断すること。
(イ) 附近にある傾斜地のこう配、地質
(ロ) 傾斜地における立木の状況
(ハ) 過去における附近での土砂崩壊の有無(あれば、その時の土砂崩壊の形状、崩壊土量及び降
雨状況)
(ニ) 傾斜地における土留の状況
(ホ) 傾斜地の変更計画(切取り、立木の伐採、土留の設置等)
(ヘ) 過去における該地域附近の最高日雨量
(3) 洪水の危険性については次の事項に留意し、総合的に判断すること。
(イ) 附近の地形、特に河川の状況と河川敷よりの地盤高
(ロ) 河川堤防の現状及び将来の変更新設の計画
(ハ) 過去における洪水時の浸水区域とその時の降雨の状況
三 次の事項を行なうよう指導すること。
(1) 台風等の非常時における警戒態勢をあらかじめ定めること。
(2) 非常の場合の連絡、退避の要領について定め、あらかじめ全員に周知させること。
(3) 暴風雨警報、大雨警報等に注意すること。
(4) 異常な降雨があった場合には、附近の斜面の崩壊の危険性について、適時点検を行ない、また、
附近河川の流量の変化について警戒すること。
(5) 異常な降雨により斜面が崩壊する危険、または河川のはん乱による寄宿舎等の流出の危険が認
められるときは、直ちに寄宿労働者を安全な場所に退避させること。