安全衛生情報センター
第三章 特定線量下業務における電離放射線障害の防止 第一節 線量の限度及び測定 (特定線量下業務従事者の被ばく限度) 第二十五条の二 事業者は、特定線量下業務従事者の受ける実効線量が五年間につき百ミリシーベルト を超えず、かつ、一年間につき五十ミリシーベルトを超えないようにしなければならない。 2 事業者は、前項の規定にかかわらず、女性の特定線量下業務従事者(妊娠する可能性がないと診断さ れたもの及び次条第一項に規定する特定線量下業務従事者を除く。)の受ける実効線量については、三 月間につき五ミリシーベルトを超えないようにしなければならない。 3 事業者は、特定線量下業務の一部を請負人に請け負わせるときは、当該請負人に対し、特定線量下業 務に従事する者の受ける実効線量が第一項に規定する限度を超えないようにする必要がある旨及び特定 線量下業務に従事する女性(妊娠する可能性がないと診断されたもの及び次条第二項に規定する女性を 除く。)が受ける実効線量については、第一項の規定にかかわらず、前項に規定する限度を超えないよ うにする必要がある旨を周知させなければならない。 第二十五条の三 事業者は、妊娠と診断された女性の特定線量下業務従事者の腹部表面に受ける等価線 量が、妊娠中につき二ミリシーベルトを超えないようにしなければならない。 2 事業者は、特定線量下業務の一部を請負人に請け負わせるときは、当該請負人に対し、特定線量下業 務に従事する者のうち妊娠と診断された女性の腹部表面に受ける等価線量が、妊娠中につき前項に規定 する限度を超えないようにする必要がある旨を周知させなければならない。 (線量の測定) 第二十五条の四 事業者は、特定線量下業務従事者が特定線量下作業により受ける外部被ばくによる線 量を測定しなければならない。 2 前項の規定による外部被ばくによる線量の測定は、一センチメートル線量当量について行うものとす る。 3 第一項の規定による外部被ばくによる線量の測定は、男性又は妊娠する可能性がないと診断された女 性にあっては胸部に、その他の女性にあっては腹部に放射線測定器を装着させて行わなければならない。 4 特定線量下業務従事者は、除染特別地域等内における特定線量下作業を行う場所において、放射線測 定器を装着しなければならない。 5 事業者は、特定線量下業務の一部を請負人に請け負わせるときは、当該請負人に対し、特定線量下業 務に従事する者が特定線量下作業により受ける外部被ばくによる線量を、第二項及び第三項に定めると ころにより測定する必要がある旨を周知させなければならない。 6 事業者は、特定線量下業務の一部を請負人に請け負わせるときは、当該請負人に対し、除染特別地域 等内における特定線量下作業を行う場所においては、放射線測定器を装着する必要がある旨を周知させ なければならない。 (線量の測定結果の確認、記録等) 第二十五条の五 事業者は、一日における外部被ばくによる線量が一センチメートル線量当量について 一ミリシーベルトを超えるおそれのある特定線量下業務従事者については、前条第一項の規定による外 部被ばくによる線量の測定の結果を毎日確認しなければならない。 2 事業者は、前条第三項の規定による測定に基づき、次の各号に掲げる特定線量下業務従事者の線量を、 遅滞なく、厚生労働大臣が定める方法により算定し、これを記録し、これを三十年間保存しなければな らない。ただし、当該記録を五年間保存した後又は当該特定線量下業務従事者に係る記録を当該特定線 量下業務従事者が離職した後において、厚生労働大臣が指定する機関に引き渡すときは、この限りでな い。 一 男性又は妊娠する可能性がないと診断された女性の実効線量の三月ごと、一年ごと及び五年ごとの 合計(五年間において、実効線量が一年間につき二十ミリシーベルトを超えたことのない者にあって は、三月ごと及び一年ごとの合計) 二 女性(妊娠する可能性がないと診断されたものを除く。)の実効線量の一月ごと、三月ごと及び一年 ごとの合計(一月間に受ける実効線量が一・七ミリシーベルトを超えるおそれのないものにあっては、 三月ごと及び一年ごとの合計) 三 妊娠中の女性の腹部表面に受ける等価線量の一月ごと及び妊娠中の合計 3 事業者は、前項の規定による記録に基づき、特定線量下業務従事者に同項各号に掲げる線量を、遅滞 なく、知らせなければならない。 第二節 特定線量下業務の実施に関する措置 (事前調査等) 第二十五条の六 事業者は、特定線量下業務を行うときは、当該業務の開始前及び開始後二週間ごとに、 特定線量下作業を行う場所について、当該場所の平均空間線量率を調査し、その結果を記録しておかな ければならない。 2 事業者は、労働者を特定線量下作業に従事させる場合には、当該作業の開始前及び開始後二週間ごと に、前項の調査が終了した年月日並びに調査の方法及び結果の概要を当該労働者(当該作業の一部を請 負人に請け負わせたときは、当該労働者及び当該請負人)に明示しなければならない。 (診察等) 第二十五条の七 事業者は、次の各号のいずれかに該当する特定線量下業務従事者に、速やかに、医師 の診察又は処置を受けさせなければならない。 一 第二十五条の二第一項に規定する限度を超えて実効線量を受けた者 二 事故由来放射性物質を誤って吸入摂取し、又は経口摂取した者 三 洗身等により汚染を四十ベクレル毎平方センチメートル以下にすることができない者 四 傷創部が汚染された者 2 事業者は、前項各号のいずれかに該当する特定線量下業務従事者があるときは、速やかに、その旨を 所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。 3 事業者は、特定線量下業務の一部を請負人に請け負わせる場合においては、当該請負人に対し、特定 線量下業務に従事する者が第一項各号のいずれかに該当するときは、速やかに医師の診察又は処置を受 ける必要がある旨を周知させなければならない。 第三節 特別の教育 (特定線量下業務に係る特別の教育) 第二十五条の八 事業者は、特定線量下業務に労働者を就かせるときは、当該労働者に対し、次の各号 に掲げる科目について、特別の教育を行わなければならない。 一 電離放射線の生体に与える影響及び被ばく線量の管理の方法に関する知識 二 放射線測定の方法等に関する知識 三 関係法令 2 労働安全衛生規則第三十七条及び第三十八条並びに前項に定めるほか、同項の特別の教育の実施につ いて必要な事項は、厚生労働大臣が定める。 第四節 被ばく歴の調査 第二十五条の九 事業者は、特定線量下業務従事者に対し、雇入れ又は特定線量下業務に配置換えの際、 被ばく歴の有無(被ばく歴を有する者については、作業の場所、内容及び期間その他放射線による被ば くに関する事項)の調査を行い、これを記録し、これを三十年間保存しなければならない。ただし、当 該記録を五年間保存した後又は当該特定線量下業務従事者に係る記録を当該特定線量下業務従事者が離 職した後において、厚生労働大臣が指定する機関に引き渡すときは、この限りでない。