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デリツク構造規格
   第二章  機械部分(第二十六条−第三十七条)

デリツク構造規格 目次

第一節  ブレーキ

(起伏装置)
第二十六条  つり上げ装置及びブームを起伏させるための装置(以下「起伏装置」という。)は、荷及び
  ブームの降下を制動するためのブレーキを備えるものでなければならない。
2  前項のブレーキは、次の各号に定めるところによるものでなければならない。
  一  制動トルクの値(つり上げ装置又は起伏装置に二以上のブレーキが備えられている場合には、それ
    ぞれのブレーキの制動トルクの値を合計した値)は、デリツクに定格荷重に相当する荷重の荷をつつ
    たときにおける当該デリツクのつり上げ装置又は起伏装置のトルクの値のうち最大の値の一・五倍以
    上であること。
  二  人力によるものにあつては、次に定めるところによること。
    イ  力量及びストロークの値は、次の表の上欄に掲げる操作の方式に応じて、それぞれ同表の中欄に
      掲げる力量の値及び同表の下欄に掲げるストロークの値以下であること。(表)
    ロ  歯止め装置又は止め金を備えているものであること。
  三  人力によるもの以外のものにあつては、動力がしや断されたときに自動的に作動するものであるこ
    と。
3  前項第一号のつり上げ装置又は起伏装置のトルクの値の計算においては、つり上げ装置又は起伏装置
  の抵抗は、ないものとする。ただし、当該つり上装置又は起伏装置に七十五パーセント以下の効率を有
  するウオーム・ウオーム歯車機構が用いられている場合には、その歯車機構の抵抗により生ずるトルク
  の値の二分の一の値のトルクに相当する抵抗があるものとすることができる。

第二節  ドラム等

(つり上げ装置等)
第二十七条  ワイヤロープによりつり上げ、ブームの起伏等の作動をする装置(以下この節において「つ
  り上げ装置等」という。)のドラムの直径と当該ドラムに巻き込まれるワイヤロープの直径との比又は
  当該つり上げ装置等のシーブの直径と当該シーブを通るワイヤロープの直径との比は、それぞれ二十以
  上でなければならない。ただし、エコライザシーブの直径と当該エコライザシーブを通るワイヤロープ
  の直径との比は、十以上とすることができる。
2  前項のつり上げ装置等のドラム又はシーブの直径は、それぞれ当該ドラム又はシーブのピツチ円の直
  径とする。

(溝付きドラム)
第二十八条  つり上装置等の溝付きドラムにワイヤロープが巻き込まれる場合における当該溝付きドラム
  の溝に当該ワイヤロープが巻き込まれる方向と当該溝に巻き込まれるときの当該ワイヤロープの方向と
  の角度は、四度以内でなければならない。
2  つり上げ装置等の溝付きでないドラムにワイヤロープが巻き込まれる場合におけるフリートアングル
  の値は、二度以内でなければならない。

(ドラム等の緊結)
第二十九条  ワイヤロープとつり上装置等のドラム、ブーム、フツクブロツク等の物とを緊結している部
  分は、合金詰めソケツト止め、クランプ止め、コツタ止め等の方法により緊結されているものでなけれ
  ばならない。

第三節  安全装置等

(巻過防止装置)
第三十条  つり上装置及び起伏装置は、巻過防止装置を備えるものでなければならない。ただし、ウイン
  チを用いるつり上装置及び起伏装置については、この限りでない。

(巻過防止装置)
第三十一条  前条の
巻過防止装置は、次の各号に定めるところによるものでなければならない。
  一  自動的に動力をしや断し、及び作動を制動する機能を有するものであること。
  二  容易に調整及び点検を行なうことができる構造のものであること。
2  同条の巻過防止装置のうち電気式のものにあつては、前項に定めるところによるほか、次の各号に定
  めるところによるものでなければならない。
  一  次に定めるところによる外箱を有すること。
    イ  材料は、鋼板その他堅ろうなものであること。
    ロ  水又は粉じんの侵入により巻過防止装置の機能に障害を生ずるおそれがないこと。
    ハ  見やすい箇所に、巻過防止装置の定格周波数、定格電圧及び定格電流を標示した銘板が取り付け
      られていること。
  二  接点が開放されることにより巻過ぎが防止される構造のものであること。
  三  接点、端子、巻線その他電気を通ずる部分と第一号の外箱との間の絶縁部分は、絶縁効力について
    の試験において、日本工業規格C八三二五(交流電磁開閉器)の絶縁抵抗試験及び絶縁耐力試験の項
    に定める基準に適合する規格を有するものであること。
  四  じか入れ式のものにあつては、接点、端子、巻線その他電気を通ずる部分は、温度についての試験
    において、日本工業規格C八三二五(交流電磁開閉器)の温度試験の項に定める基準に適合する規格
    を有するものであること。

(傾斜角の度合いを示す装置)
第三十二条  ブームが起伏するデリツクは、これを運転する者が見やすい位置に、当該ブームの傾斜角の
  度合いを示す装置を備えるものでなければならない。

第四節  操作回路等

(電磁スイッチ等)
第三十三条  電磁スイツチ又は電磁接触器の操作回路であつて、これが接地したときに当該電磁スイツチ
  又は電磁接触器が閉路されるおそれがあるものは、次の各号に定めるところにより接続されているもの
  でなければならない。
  一  コイルの一端を接地側の電線に接続すること。
  二  コイルと接地側の電線との間に開閉器がないこと。

(コントローラ)
第三十四条  コントローラは、その見やすい箇所に、当該コントローラが制御する装置の名称、電路の開
  閉の状態並びにデリツクの作動の速度及び方向が標示されているものでなければならない。

第五節  回転部分等

(歯車、軸、軸継手等)
第三十五条  歯車、軸、軸継手等の回転部分は、回転中労働者が接触することにより危害を受けるおそれ
  がある箇所に、当該接触を防止するための囲い又は覆(おお)いを備えるものでなければならない。

(ボルト、ナット等)
第三十六条  ボルト、ナツト、ねじ、キー、コツタ及びピンは、ゆるみ止め又は抜け止めが施されている
  ものでなければならない。

(ウインチ)
第三十七条  つり上装置、起伏装置又は旋回装置に用いるウインチは、浮上り、ずれ又はふれが生じない
  ようにすえ付けられているものでなければならない。